摩天楼が建ち並ぶ大都会・香港には、英国植民地時代に入って来た優雅な食習慣や中国古来の健康の知恵、そして現代の欧米から伝わったトレンドが、不思議なバランスで共存している。その牽引役になっているのは、食いしん坊の香港人たちの飽くなき好奇心だ。
スパサロンで食べるアフタヌーンティーの進化系

「もうご飯食べた?」が日常の挨拶になるほど、食へのこだわりが強い香港人。レストランの栄枯盛衰も激しい香港で、次々と新作が発表され、レストランの話題作りに一役買っているのがアフタヌーンティーだ。
紅茶、サンドイッチ、スコーンなどをセットにした伝統的な英国式は今や珍しく、チョコレートやマンゴ尽くしなど、お題を決めてみたり、ファッションブランドとのコラボでデザインに凝ってみたり。バラエティーの豊かさでは、本場英国をはるかに越えた独自の進化を遂げている。
もう一つ、香港でここ数年、急激に盛り上がっているのが、オーガニックやベジタリアンなど、主に欧米から入ってきた食のヘルシー志向。かつては調理にたっぷり使用されていたラードや、MSG(グルタミン酸ナトリウム)などの化学調味料の未使用を掲げたり、中国本土から入る食材にスキャンダルが相次いで以来、出所の明確な安全な食材使用をうたう店が急増している。
こうしたトレンドを一体化させた「食べて癒されるアフタヌーンティー」を発表したのは、レストランではなくスパサロン。エッセンシャルオイルやアロマセラピー製品の販売とスパ、カフェを兼ねた「DKアロマセラピー」だ。


経営者でこの道20年のアロマセラピスト、キャット・レイさんが、専門知識を生かして自らデザインしたアフタヌーンティーセットは、アロマセラピーに使うラベンダーやローズの高品質エッセンスオイルを使ったクッキーやチーズケーキ、有機小麦のパンと低脂肪チーズを使ったサンドイッチなど、軽めのランチやデザートにちょうどいい内容だ。
食い倒れの街に現れた新顔は、健康志向と優雅さを融合させて、今後のアフタヌーンティーの進化の方向性を見せてくれている。
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