肉料理とビールがこよなく愛されるドイツでは、今、「プチ断食」がブームの兆しを見せている。かつてキリスト教の宗教行事として、心身の清浄を目的とする「断食」が行われていたが、今ではすっかりダイエットに近い「健康」を主体とするスタイルが広まっている。ドイツのプチ断食事情を紹介しよう。
四旬節をきっかけに、「プチ断食」で健康管理
ドイツは今、キリスト教で最も重要な祭日である復活祭(2015年4月5日)を間近に迎え、店のウインドウはどこもかしこも、ウサギやたまごの形をしたチョコなどのデコレーションで埋め尽くされている。復活祭までの40日は「四旬節」と呼ばれ、かつては肉や卵、乳製品などを食べることが禁じられる「断食」の習慣があった。現代では無宗教化が進み、宗教的断食の習慣はもはや昔話に過ぎなくなった。
ところが、四旬節の40日間をきっかけに、これまでのような宗教的な儀式ではなく、個人的な健康管理のために「プチ断食」をしている人たちが増えていることが、今年2月にドイツの保険会社DAKが公表した調査結果で判明。国内でちょっとしたブームの兆しを見せている。
そもそも四旬節に断食する習慣が生まれたのは、古代から古代後期にかけてだとされ、復活祭に向けて自分の行いや生活を悔い改めることが目的だった。断食といっても完全に絶食するわけではなく、期間中は修道院で作られた「黒ビール」と「パン」が食卓に上ることが伝統となっていた。