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COML患者相談室

高齢の母に負担のかかる手術なんて

 NPO法人 ささえあい医療人権センターCOML(コムル)

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)では、1990年に活動を開始して以来、医療に関する電話相談を実施しています。これまで、5万件を超える相談に対応してきました。この連載では、プライバシーに配慮した上でCOMLの会報誌に掲載された相談内容と、COMLからのアドバイスをご紹介します(本記事はCOML会報誌2014年11月号からの転載です)。

 東北地方で兄夫婦と暮らしている85歳の母に、胆のうがんが見つかりました。兄が「がんの専門病院で診てもらいたい」と考え、インターネットで調べて、東京にあるがんの治療で有名な病院に母を連れて行きました。

 その病院には初診日を入れて4回外来に通院し、さまざまな検査がおこなわれたそうです。その結果、手術を受けることになったと兄から報告がありました。入院したら家族に対して詳しい説明があると言うので、その場には私(患者の長女)も同席したいと希望し、先日、一緒に説明を受けてきました。

85歳の母親の手術を巡って兄弟で意見が対立し…(©Andrey Malov/123RF.COM)

 説明は担当医に若いドクター2人が同席して、3人から受けました。説明のポイントとしては、「最後におこなったMRI検査で予想以上に病状が進んでいるとわかったので手術予定を1週間繰りあげる」「肝臓に転移していることは明らかで、大腸にも転移の可能性がある」ということなのですが、覚えきれないぐらい臓器の名前をあげて「それらを摘出する予定です。手術の予定時間は約10時間と思っておいてください」と言われました。

 説明の内容は私には専門的すぎて、終始圧倒され、質問の言葉も浮かびませんでした。ドクターも家族が理解しているかどうかなんてお構いなしで、ともかく一方的に説明して終わり、という感じでした。でも、そのあと落ち着いて考えてみると、85 歳という高齢の母が10時間もの手術に耐えられるのだろうか、そんなに多くの臓器を摘出してからだが持つのだろうか、手術以外の選択肢はないのだろうか……、と疑問が湧いてきたのです。

 兄にそのことを伝えると、「がんの専門病院の先生が判断したことなんだから、間違いないだろう。きちんとした治療を受けるために東京の病院を選んだんだから、つべこべ口を出すな」と言われました。兄とは、もともと仲がよくないので、話し合いにもなりません。それに、実家がある地域は、この時代になっても長男に大きな権限があって、母自身も兄の言いなりなのです。ただ、私にとっても大切な母なので、いま引き下がって後悔したくありません。そこで、ドクターと話し合えるぐらい胆のうがんについて調べて相談したいと思っています。しかし、手術の予定日が繰りあがったことで、もう数日後に迫っているのです。どうすればいいのでしょうか。

COMLからのアドバイス
 家族といえども意見が一つにまとまるとは限らず、どうしても立場の強い人の意見が通りがちです。しかし、異なる意見を医療者に主張したのでは、医療側も困ってしまいます。兄妹の不仲は他人の関係修復よりも難しい場合がありますが、しかしここは家族でしっかり話し合うことが不可欠です。そして、患者本人である母親自身がほんとうは手術についてどう考えているのかを言える雰囲気づくりと、想いを尊重することが何よりも大切ではないかと思います。後悔しないためにも、まずはお兄さんとの早急な話し合いをしてはどうかとアドバイスしました。
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者が自立・成熟し、主体的に医療に参加することを目指して1990年に設立。患者と医療者が対立するのではなく、“協働”する医療の実現を目的としている。患者の悩みに対する電話相談、各種セミナー・講座などに積極的に取り組んでいる。
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