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COML患者相談室

回復不可能な息子の延命治療に悩んで

 NPO法人 ささえあい医療人権センターCOML(コムル)

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)では、1990年に活動を開始して以来、医療に関する電話相談を実施しています。これまで、5万件を超える相談に対応してきました。この連載では、プライバシーに配慮した上でCOMLの会報誌に掲載された相談内容と、COMLからのアドバイスをご紹介します(本記事はCOML会報誌2015年3月号からの転載です)。

 約1年前、43歳の息子が胸部大動脈解離で入院 しました。すぐに手術を受ける必要はないと言われ、 約3週間様子を見て退院になりました。その後も薬による治療は続いていたのですが、血圧がなかなか下がらず、仕事も休みがちになったのです。息子は独身で、ある技術職のため全国の現場を転々としていました。1つの現場には数年滞在するのですが、 胸部大動脈解離で入院したのは私たち両親が暮らす県から車で片道4時間ほどかかるところです。

 半年ほど前、息子から「手術を勧められている。ドクターが『家族同席のうえで説明したい』とのことなので、来てくれないか」と電話があり、父親である私が出向いて一緒に説明を受けました。ドクターの説明では、薬による血圧コントロールが難しくて大動脈に負担をかけている状態なので、このままでは動脈乖離が致命的になる可能性がある、手術をするなら体力のある若いうちのほうが回復もいいということでした。私は息子に元気になってほしいのはもちろん、これまで積み重ねてきた技術者のキャリアを考えると再び仕事に戻らせてやりたいという思いで、息子に手術を受けるように積極的に勧め、息子も決心しました。

手術中、脳幹がダメージを受け、脳梗塞になってしまった(©Thanawat Wongsuwannathorn  -123RF)
手術中、脳幹がダメージを受け、脳梗塞になってしまった(©Thanawat Wongsuwannathorn -123RF)

 ところが手術中、脳幹がダメージを受け、脳梗塞になってしまったのです。それ以来、まったく意識が戻らず、人工呼吸器につながれた状態が続いています。確かに、術前の説明で合併症として脳梗塞が起きる可能性が2%ほどあると聞かされていました。そして、術後の説明でも、ドクターから「残念ながら合併症が生じてしまいました」と言われました。しかし、まさか実際に息子の身に起きるとは考えてもいなかったのです。

 半年の間に、何度か状態が悪化しましたが、いまは持ち直して安定しています。もう元に戻る可能性はないでしょうし、単なる延命治療を続けているだけだという自覚もしています。しかし、それ以上の決心はつかず、時折ドクターから「今後どうされますか?」と聞かれても、「このまま治療を継続してください」としか答えようがないのです。

 ドクターは求めればきちんと説明してくれますし、身体障害者の申請の書類も嫌な顔をせず書いてくれました。しかし、それらの制度については私自身が調べて申請するまで、病院からは何の説明もなかったのです。妻と2週間に一度は泊まり込みで3~4日面会に行くのですが、70歳を過ぎた身には負担も大きくなってきています。

 私の印象では、もうさほど長くないと思うのですが、ドクターは「先のことはわかりません」と言うばかり。どうすればいいのか悩みに悩んで、相談室の医療ソーシャルワーカーに相談したところ、「それで、何をしてほしいんですか?」と言われて失望しました。結局、誰にも答えの出せる問題ではないことはわかっています。でも、この気持ちを誰かに吐き出して、せめて受け止めてもらいたいのです。

COMLからのアドバイス

 助からないとわかっていても、息子のいのちを絶つ選択はできない……。とてもお辛いお気持ちだと思います。ともかく語られるままに時間をかけ、お気持ちを受け止めながらじっくりと耳を傾けました。それにしても、医療ソーシャルワーカーの対応にはがっかりです。

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者が自立・成熟し、主体的に医療に参加することを目指して1990年に設立。患者と医療者が対立するのではなく、“協働”する医療の実現を目的としている。患者の悩みに対する電話相談、各種セミナー・講座などに積極的に取り組んでいる。

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