日経グッデイ

男こそアンチエイジング!

大革命か!? EDを治療するマシン「ED1000」の効果は?

薬が効かなかった人にも朗報! 衝撃波で血管新生を促す

 伊藤和弘=フリーランスライター

年を重ねるごとに失われていく「男らしさ」。いつまでも若い頃の外見・体力・健康は保てない。それを防ぐにはどうすればいいのか? 第一線で活躍する専門家たちに「男のアンチエイジング」の最先端を解説してもらう連載。今回は多くの男性が悩んでいる「ED(勃起障害)」でついに登場したED治療マシンについて。前回に続いて、順天堂大学医学部泌尿器科学講座の堀江重郎教授に解説してもらう。

 前回触れたように(「下半身」だけじゃない!“夢と冒険のホルモン”テストステロンのパワーの秘密」)、現在ED(勃起障害)にはバイアグラ(シルデナフィル)、レビトラ(バルデナフィル)、シアリス(タダラフィル)といった内服薬が使われている。これらはPDE5阻害剤といって、どれも男性がコーフンしたとき勃起の邪魔をするPDE5という酵素を抑える働きを持っている。

 画期的な薬には違いないが、残念ながら「どんなEDもこれでOK!」とはいかず、効果がない人も3割くらいいるのが現状だ。また、心臓病に使われる硝酸塩系薬剤などをのんでいる人は危険なので使えない。そういえば昔、バイアグラを大量にのんで病院にかつぎこまれたお笑い芸人もいましたっけ。

 そんな中、なんと「EDを治すマシン」が登場した! 薬と違って誰でも使えるし、今のところ深刻な副作用はまったく報告されていない。これによって、「EDの世界で大革命が起きようとしている」と、順天堂大学医学部泌尿器科学講座の堀江重郎教授は言う。

EDを治すマシン「ED1000」写真提供:メディテックファーイースト
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 その名はED1000―。低出力の衝撃波をビビビビッと直接ペニスに当てることで、EDを治すという。直接、衝撃波!? そう聞くと思わず二の足を踏むが、「低出力なのでほとんど知覚できない程度の刺激。痛みはまったくないはず」と堀江教授は明るく笑う。

衝撃波を使って海綿体の血管新生を促す

 もともとイスラエルで開発された機械で、2010年に初めて論文が発表された。現在、イスラエル、インド、そして日本で臨床試験が行われており、米国でも近くFDA(食品医薬品局)の認可が下りそうな最新の医療機械だ。

 衝撃波を使った治療は、1980年代に確立した尿路結石破砕術から始まる。やがて衝撃波によってサイトカイン(生理活性物質)が放出されて「新しい血管ができる」作用がわかり、今世紀に入ってから狭心症の治療などにも使われるようになった。 ED1000はこれをED治療に応用したもので、「はっきりと確認されたわけではないが、海綿体の血管新生効果があると推測されている」と堀江教授。実際、ペニスの血管機能が高まることも確認されたという報告がある(Eur Urol 2010 Aug;58(2),243-8)。

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 具体的には、ペニスの5カ所に衝撃波を与える治療を20分程度行う。これを3週間で6回行い、3週間休んで、再び3週間で6回。つまり、9週間で合計12回行えば治療終了というわけだ。

 2011年から帝京大学医学部で、EDに悩む50代以上の中高年を対象に臨床試験が行われた。2012年の日本性機能学会での発表によると、27人中18人(67%)に勃起の改善が見られ、15人(56%)がセックス可能になったという。

治療費は、某クリニックでは約40万円

 EDはさまざまな原因で起こる。甘酸っぱいチェリーボーイにありがちなのは「緊張して立たない」という心因性のもの。それに対し、年を取ると機能的な原因で立たないことが増えていく。そんな悲しいお父さんたちにこそ、ED1000は威力を発揮する。

 ペニスの動脈は細いので、動脈硬化の影響が真っ先に表れる。前回も紹介した日本性科学情報センターで行われた調査によると、日本人男性では40代の20%、50代の40%、60代の60%がEDと推測される(日本臨床60,200-202,2002)。年齢が上がるほど増えていくのは、血管の機能が衰えていくことが大きいのだろう。ペニス(海綿体)の血管からNO(一酸化窒素)が出ることで血管が拡張するが、動脈硬化によって血管が衰えると充分なNOが出せず、若き日のような「ピンピン」は難しくなってしまう。

 バイアグラなどPDE5阻害剤は、あくまで「勃起の邪魔をするPDE5を抑える」ものなので、血管からNOが出なければ効果はない。ところが、ED1000は新しい血管を作ることで血管機能を回復させるため、そういう人にこそ効く。また、セックスのたびにのまなければいけないPDE5阻害剤と違って、「EDを根本的に治す」ことも期待できるのだ!

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 日本でED1000の輸入代行を行っているメディテックファーイーストによると、ED1000による治療を受けられるクリニックは東京、名古屋、大阪、広島の4都市でわずか6施設しかない(2013年6月時点)。健康保険は利かないので自費診療。ちなみに名古屋市の某クリニックでは、約40万円で9週間12回の治療を受け付けている。

 一方、大学病院の臨床試験なら無料だ。堀江教授の順天堂大学でも近い将来、臨床試験を予定しているという。気になる人は要チェックですよ!

 ED1000も万能ではなく、帝京大学の臨床試験を見ても効果がなかった人も意外といる。しかし中高年のED、とりわけ「血管の衰えによるED」に効果が期待できるのは間違いない。何年かしたら、「ED治療にはED1000」が当たり前になるのかもしれないなぁ。

(イラスト:うぬまいちろう)

堀江重郎(ほりえ しげお)さん
順天堂大学医学部泌尿器科学講座 教授
東京大学医学部卒業。東大病院勤務後、米国テキサス州で医師免許取得。2003年に帝京大学医学部泌尿器科学主任教授に就任。12年から順天堂大学医学部・大学院医学研究科教授を兼務。日本泌尿器科学会指導医。日本抗加齢医学会理事。一般向けの著書に『ホルモン力が人生を変える』(小学館101新書)、『ササッとわかる男性機能の不安に答える本』(講談社)など。
日経トレンディネット2013年6月21日付け記事からの転載です。
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