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男こそアンチエイジング!

急ピッチで老化が進む! 侮れない「睡眠時無呼吸症候群」

メタボ男性の健康状態を悪化させる恐れが

 伊藤和弘=フリーランスライター

使い始めた日から実感できる治療法がある

 SASの治療法には外科的な手術もあるが、最も手軽で有効性も高いのはCPAP(シーパップ。Continuous Positive Airway Pressureの略)療法だ。

 これは鼻につけたマスクから一定の圧力で空気を送ることで気道を広げ、睡眠中に気道がふさがらないようにするというもの。1時間に20回以上呼吸停止が見られる場合は保険適用になり、1ヵ月5000円程度で治療が受けられる。

 熟睡できるようになるのはもちろん、「成長ホルモンの分泌が増え、活力が出て運動するようになるせいか、CPAPを使いだすと体重が減る人も多い」と成井部長。最近は呼吸状態に合わせて自動的に空気を送る圧力が変わる「オートCPAP」も出ている。著名人の間でも愛用者は多く、俳優の高橋英樹氏も成井部長の指導のもと使っているそうだ。

 動脈硬化の改善効果も確認されている。重症のSAS患者を追跡調査したところ、12年間で15%以上が「命にかかわる心血管系疾患」を起こしたが、CPAPを使っている人たちは健康な人と同レベルにまで発症率が抑えられた(Lancet 2005;365:1046-53)。

 冒頭に登場した慶應義塾大学医学部の坪田一男教授は、SASと診断されてから2回手術を受けた。手術直後はぐっすり眠れたが、いずれも数年経つと再発。2008年に成井部長に相談し、CPAPを使い始めたという。

 効果は初めて使った日から実感した。以来、一日も欠かさずにCPAPを使い続けている。出張にも必ず持っていくというから徹底している。

 「夜中にトイレに起きることも少なくなったし、毎朝ゴキゲンな顔をしている。タクシーや電車に乗っても居眠りすることはほとんどなく、時間を有効に使える。貧血が良くなり、血圧が下がるなど、健康診断の数値も軒並み良くなった。唯一悪くなったのがγ-GTP。苦しくて目が覚めることがなくなったお蔭で酒量が増えたせいだろうね。」

 坪田教授はそう言うと、真っ白な歯を見せて笑った。


(イラスト/うぬまいちろう)

成井浩司さん
虎の門病院 睡眠呼吸器科 部長
1982年、東海大学医学部卒業。東海大学第2内科、虎の門病院呼吸器科を経て、シドニー大学のコリン・サリバン教授のもと「オートCPAP」の共同研究に携わる。2003年、虎の門病院睡眠センター長に就任。09年から現職と兼務。日本睡眠学会睡眠専門医、日本呼吸器学会専門医。著書に『睡眠時無呼吸症候群のすべて』(三省堂)、『意外とこわい睡眠時無呼吸症候群』(講談社+α新書)など。
日経トレンディネット2014年6月19日付け記事からの転載です。

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