「脂肪肝ドック」で脂肪のたまり具合が正確に分かる?
肝臓に脂肪がたまる仕組みを解説
伊藤和弘=フリーランスライター
脂肪のつき具合、肝臓の硬さが正確に分かる
このように肝臓にたまった脂肪を落とすことはできるが、「いったん繊維化した肝細胞は酒をやめても元には戻らない」と袴田部長。繊維化を起こす前に、早い段階で脂肪肝を自覚して生活を改めることが大切だろう。
とはいえ、脂肪肝は自覚できない。脂肪肝になったからといって痛みや不調は感じないし、急に酒に弱くなるわけでもない。その意味では糖尿病や高血圧など、他の生活習慣病とも似ている。血液検査で肝機能の数値は分かるが、脂肪肝の進行度、肝臓にどれくらい脂肪がたまっているかまでは分からない。
従来の脂肪肝やNASHの検査方法には、針を刺して肝臓の細胞を取り出す肝生検や超音波検査があった。肝臓に針を刺すのはそれなりにリスクも痛みもあるし、超音波検査では軽度の脂肪肝は見落とされる。それに対して、「脂肪肝ドック」ではMRI(磁気共鳴断層撮影装置)による「MRエラストグラフィ」という画像診断法が使われている。
「脂肪のつき具合、肝臓の硬さを正確な数値で割り出すことができるし、がんも発見できる画期的な検査法。30分程度で終わるし、苦痛は全くない。脂肪肝や肝機能障害を指摘された人はもちろん、40歳を超えた人はなるべく受けたほうがいい」と袴田部長は話す。
保険は適用されないが、新百合ヶ丘病院での料金は税別3万5000円。2~3週間後に検査結果が郵送されるという。
実際の検査はどのように行われるのか? 早速、試してみなければ。というわけで、次回は引き続き「脂肪肝ドック」体験記をお届けしよう!
(イラスト/うぬまいちろう)
新百合ヶ丘総合病院予防医学センター 部長