「アンチエイジングドック」ってなんだ? 人間ドックとどう違うの?
筋肉、血管、神経、ホルモン、骨の5つを調べ、自分の“かくれ老化”を知る
伊藤和弘=フリーランスライター
自分の“かくれ老化”を知ろう!

人間の体は部位ごとに年齢(老化度)が異なる。例えば骨。骨密度が同じ50歳のレベルでも、実年齢が60歳なら問題ないが、40歳なら病的老化ということになる。一見ほっそりとしていても体脂肪率が高い人を「かくれ肥満」というが、これも外見からは分からないという意味で、“かくれ老化”と呼べるだろう。
アンチエイジングドックでは、まず「筋肉」「血管」「神経」「ホルモン」「骨」という5項目それぞれの老化度を調べ、「年齢」で表す。
「すべてバランスよく老化しているのが自然な老化。それに対して、特定の部位だけ老化が進んでいるのが病的老化。実際にアンチエイジングドックを始めて、老化のしかたは人それぞれ、集団や職種によっても違うことが分かった」と米井教授は話す。
例えばメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の人たちを見ると、5項目の中で血管が最も老化している人が50%、神経が最も老化している人が30%、骨が最も老化している人が15%程度になるという。一方、米井教授が現在在籍する同志社大学の教職員は骨と筋肉の老化が目立った。
血管年齢が高いのは、動脈硬化が進んでいることを意味する。ご存じの通り、動脈硬化は脳卒中や心筋梗塞といった命にかかわる病気に直結する。「糖尿病、高血圧、高脂血症(脂質異常症)、タバコが動脈硬化の4大リスク。このリスクを減らしていくことで血管年齢が若返る」と米井教授。
余談だが、筆者も血管年齢が高い。1年前にメンズヘルスクリニック東京(東京都千代田区)で「男性力ドック」を受けた結果(「“男の健康度”が分かる男性力ドック体験記」参照)、血管年齢が実年齢よりも10歳以上高くてショックを受けた。4大リスクの中では血圧も高めだが、いちばんの問題は脂質異常症。中性脂肪の数値が異常に高かった。これが動脈硬化を進め、血管年齢を上げているのだろう。
骨年齢は骨密度で決まる。つまり、骨年齢が高い人は骨粗しょう症ということだ。
「骨密度を高めるには、まずビタミンとミネラルの補給。よく知られているビタミンDやカルシウムの他にも、多くの栄養素が必要になる。さらにウォーキングやジョギングなど、骨に適度な刺激を与える有酸素運動をするといい」と米井教授はアドバイスする。
ホルモン年齢は、成長ホルモンとDHEA(男性ホルモンの一種)の量で見る。睡眠中に分泌される成長ホルモンは肉体を修復する作用があり、アンチエイジングでは非常に重要なホルモン。スムーズに分泌させるには、睡眠と運動が大切になる。「睡眠時間が短い人は早く老ける」というのも、あながち俗説とは言えない。
