日経グッデイ

男こそアンチエイジング!

男性ホルモンはこうすればガンガン出る!

ニンニク、タマネギ、ウリ類が男に効く

 伊藤和弘=フリーランスライター

年を重ねるごとに失われていく「男らしさ」。いつまでも若い頃の外見・体力・健康は保てない。それを防ぐにはどうすればいいのか? 第一線で活躍する専門家たちに「男のアンチエイジング」の最先端を解説してもらう連載。今回は男性ホルモン「テストステロン」の値を高いままキープする方法を、前回に引き続き、順天堂大学医学部泌尿器科学講座の堀江重郎教授に解説してもらう。

 前回で触れたように、主要な男性ホルモンのひとつ、テストステロンが“下半身”だけに関係するホルモンと思ったら大間違い。肥満や生活習慣病、さらには性格や職業選択といったメンタル面にまで影響を与えることが、最近の研究から明らかになってきた。ではどうすればテストステロン値が上がり、男らしく、若々しくいられるのだろうか。

“ハゲ”は悪玉テストステロンの仕業

 テストステロン値は一般に年を取ると低下するが、個人差も大きい(グラフ参照。Int J Urol.2009 Feb;16(2):168-74)。ストレスや食生活など、ちょっとしたことでも変化する。

 順天堂大学医学部泌尿器科学講座の堀江重郎教授は次のように話す。

 「たとえば熱心なプロ野球ファンの場合、応援しているチームが勝つとテストステロン値が上がり、負けると下がる。また、意欲や気力とも密接な関係があり、テストステロン値が下がるとうつ病になりやすい(Endocr J.2012 Dec 28;59(12):1099-105.Epub 2012 Aug 31)。俗に“ハゲにウツなし”というのも、あながち根拠がないわけではない」

 男性型脱毛症、いわゆるハゲもテストステロンが関係している(J Cosmet Dermatol.2005 Jan;4(1):41-3)。テストステロンには善玉と悪玉があり、髪が抜けるのは悪玉テストステロンの仕業だが、「一般に悪玉が多い人は善玉も多い」と堀江教授。つまり、ハゲはテストステロン値が高い傾向にあるというわけだ。すると、“ハゲは絶倫”という俗説も意外と……。

 昔に比べて気持ちが沈みがちな人は、テストステロンの分泌量が下がってきているのかもしれない。テストステロン値が下がるとセックスのパワーが衰え、ED(勃起障害)などだけでなく、「LOH症候群」と呼ばれる“男性更年期”的な症状も表れてくるらしい。前回挙げた肥満や糖尿病に加え、うつ病やアルツハイマー病のリスクも高まってしまう。

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Int J Urol.2009 Feb;16(2):168-74

 しかし希望はある。分泌量が安定せず、ちょっとしたことで下がるということは、ちょっとしたことで上がるのだ。年を取れば下がるが、前述したように個人差も大きく、「80歳の老人でも40歳の人より高いこともある」と堀江教授は言う。そこで、堀江教授に、「テストステロンの値を高く保つ生活」のコツを教えてもらった。次のページで紹介しよう。

テストステロン値を高く保つ生活とは?

 毎日の生活で気をつけたいのはやはり、睡眠と食事の質だ。

1.睡眠

 まずは「よく眠る」ことが大切だ。しっかり睡眠を取ることで疲労とストレスが解消され、テストステロン値は高くなる。実際、睡眠時間が短い人はテストステロン値が低いという研究も(Clin Endocrinol(Oxf).2012 Nov;77(5):749-54)。ぐっすり眠るために、毎日規則正しい生活を心がけよう。ベッドに入る前にぬるめの風呂にゆっくり浸かると副交感神経が優位になり、熟睡しやすくなる。

2.食事

 テストステロン値を高めるには、たんぱく質をしっかり摂ること。テストステロンを作る精巣(睾丸)は活性酸素による酸化に弱いので、タマネギやニンニクなど抗酸化作用の強い食品もお薦めだ。特にタマネギにはケルセチンという成分が含まれており、悪玉テストステロンの排出も抑えてくれる。「毎日2分の1個」を目標に、積極的に食べてほしい。スイカや冬瓜など、ウリ類に含まれるシトルリンは一酸化窒素を作って血管を拡張させる作用があり、勃起力とテストステロン値を高めてくれる。カキなど、亜鉛が豊富な食品もいい。

さまざまな刺激がテストステロン値を高める!

 性格や職業選択といったメンタル面にまで影響を与えることが分かってきたテストステロン。そこで提案したいのが、プライベートタイムの過ごし方だ。

3.運動

 運動で筋肉に刺激を与えると、テストステロン値が高くなることが確認されている(Metabolism.1996 Aug;45(8):935-9)。ジョギングなどの「有酸素運動」とマシンなどを使った「筋トレ」、どちらも効果的。前回触れたように、太るとテストステロン値は低くなる。ぜひ、カラダを動かす習慣を。

4.友達に会う

 友達と会うことでストレスが解消され、テストステロン値も高くなる。学生時代の友人など、気の置けない関係がベスト。リラックスして付き合えるし、現在抱えている仕事の悩みを忘れられる。ただし、深酒は逆にテストステロン値を下げてしまうので要注意だ。

5.習い事

 仕事とまったく関係ない「習い事」もテストステロン値を高めるにはいい。気分転換にもってこいだし、異業種の人との出会いは刺激を与えてくれる。ワクワク感が強いほどテストステロン値も高まるし、長く続けられるので、女性が多いサークルのほうが望ましい。

 気になる人は、自分のテストステロンの値を確認しておくといいだろう。帝京大学医学部附属病院(東京都板橋区)や聖路加国際病院(東京都中央区)など、泌尿器科に「メンズヘルス外来」を設けている病院に行けば、テストステロン値を測ってもらえる。

 最も手軽で、自分でわかりやすいバロメーターは「朝立ち」だ。男性諸氏には言うまでもなく、朝立ちはあくまで機械的な勃起で、性欲や性的興奮とは関係ない。良質な睡眠、充分なテストステロンの量、過度なストレスがない、動脈硬化が進んでいない――。正常な朝立ちには、以上の条件がそろうことが必要になる。毎日ピンピンになっていれば、まず心配ないだろう。

 「年齢にもよるが、40代で1週間朝立ちがなければ問題がある。泌尿器科で診てもらった方がいい」と堀江教授はアドバイスする。

(イラスト:うぬまいちろう)

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 今回、教えていただいたのは、
 順天堂大学医学部泌尿器科学講座の堀江重郎教授

 東京大学医学部卒業。東大病院勤務後、米国テキサス州で医師免許取得。2003年に帝京大学医学部泌尿器科学主任教授に就任。12年から順天堂大学医学部・大学院医学研究科教授。日本泌尿器科学会指導医。日本抗加齢医学会理事。一般向けの著書に『ホルモン力が人生を変える』(小学館101新書)、『ササッとわかる男性機能の不安に答える本』(講談社)など。

日経トレンディネット2013年04月26日付け記事からの転載です。