仕事力に影響する!? あなどれない「ドライアイ」
メタボや運動不足の人は要注意
伊藤和弘=フリーランスライター
オフィスワーカーの3人に2人がドライアイ!
なぜ涙に異常が生じるのか、原因はさまざまだ。涙は3層に分かれていて、いちばん内側にムチンの層、次に涙液水の層、外側に油の層がある。ムチンとは涙を目の表面に留める粘り気のあるたんぱく質。「ムチンが減れば涙を保持できなくなるし、油が減れば蒸発しやすくなる」と坪田教授。
受診する患者の半分は50歳以上のため、かつてドライアイは「加齢によって起こる」病気と思われていた。年を取ると起こりやすいのは確かだが、実際は若者にも少なくない。
2011年の夏、ドライアイ研究会と参天製薬が共同で、大阪市で26~64歳のオフィスワーカー672人を対象に「大阪スタディ」と呼ばれる疫学調査を行っている。専門医の診察によると、上記の診断基準で「確定」が11.6%、「疑い」が54.0%。合計65.6%となり、なんと3人に2人がドライアイ、またはドライアイの傾向があると診断された!
大阪スタディでわかったことは、潜在患者数の多さだけではない。目とは関係なさそうなメタボ(メタボリック・シンドローム)の人にドライアイが多いこともわかり、注目されている。40歳以上にシルマーテスト(涙の量の検査法。専門のろ紙をまぶたに挟み、5分間で何mm濡れるかを調べる)をした結果、メタボの人は明らかに涙の量が少なかった(下グラフ参照)。