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男こそアンチエイジング!

“座りっぱなし”は喫煙と同じくらい危険!?

2時間に1回は席を立ち、日常生活で歩く機会を増やす

 伊藤和弘=フリーランスライター

早歩きで長寿を目指す

 米国の全国健康栄養調査の結果を解析した研究からは、摂取カロリーが同程度でも、太っている人は座っている時間が長いことも確認された。これを坪田教授は「ニート(NEAT)」という言葉を使って説明する。ニートといっても「働かず、学校にも行っていない若者」ではなく、「Non Exercise Activity Thermogenesis」の略で、「運動以外の日常での活動量」のこと。「歩く機会を増やすなど、日常の中でアクティブに動いてセデンタリーの時間を減らすだけでも肥満を防ぐ効果がある」と坪田教授。

 同じ“歩く”にしても、スピードを上げればより効果が高まる。速く歩くほうがカロリーを消費するのは当然としても、東京都老人総合研究所の研究によると、「歩くスピードが遅い人は速い人に比べて死亡リスクが2.17倍高く、心血管疾患による死亡リスクは3倍高くなる」 (J Am Coll Cardiol.2013 May 14;61(19):1964-72)という。

 もちろん、できればしっかり運動するのがベストだ。

 「運動って30分以上続けないと意味がないんでしょ?」と思われがちだが、そんなことはない。台湾の国家衛生研究院が41万6175人を対象にした調査から、「1日15分」でも大きな効果があることがわかった。

 ウォーキングなど中程度の運動を毎日15分する人は、まったく運動しない人に比べて「病気による死亡率」が14%減り、寿命が3年延びる。さらに1日90分までは、運動時間が15分増えるごとに死亡率が4%ずつ減り、毎日90分運動する人は運動しない人に比べて死亡率が35%も減っていた(Lancet.2011 Oct 1;378(9798):1244-53)。

 忙しくてスポーツクラブに通う時間が取れない人も、1日15分のウォーキングならハードルは低いだろう。2回に分けてもいい。「家から駅まで早歩きで8分なら、その往復だけでも1日16分のウォーキングになる」と坪田教授は話す。

 なお、通勤ウォーキングでは、「いまオレは運動している!」と意識してほしい。面白いことに、意識すると同じ運動でも効果が高まる。ホテルのメイドを2つのグループに分け、一方にだけ「掃除やベッドメイキングも運動です」と教えた。同じ作業をしていたにもかかわらず、そう教えられたグループだけ1カ月後に平均体重が1.5kg減り、血圧や血糖値も下がった(Psychol Sci.2007 Feb;18(2):165-71)という。

 ただのビタミン剤でも、「これをのむと頭痛が治りますよ」と言われると、本当に治ることがある。「プラセボ(偽薬)効果」と呼ばれるが、どうやら運動でも同じような現象が起きるらしい。「その気になる」ことが大切なのだ。

(イラスト/うぬまいちろう)

坪田一男さん
慶應義塾大学医学部眼科学教室 教授
1980年、慶應義塾大学医学部卒業。米ハーバード大学に留学し、角膜クリニカルフェロー修了。2004年から現職。日本抗加齢医学会理事長。ドライアイ研究会世話人代表。著書に『老眼革命』(日本評論社)、『1日6時間座っている人は早死にする!』(ベスト新書)、『アンチエイジング・バトル 最終決着』(朝日新書)など。
日経トレンディネット2015年04月28日付け記事からの転載です。

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