“座りっぱなし”は喫煙と同じくらい危険!?
2時間に1回は席を立ち、日常生活で歩く機会を増やす
伊藤和弘=フリーランスライター
年を取ると「男らしさ」は失われていく。残念なことだが、いつまでも若い頃の外見・体力・健康は保てない。それを防ぐにはどうすればいいのか? この連載では第一線で活躍する専門家たちに、「男のアンチエイジング」の最先端を解説してもらう。今回のテーマは「座りっぱなしと病気との関係」。座りっぱなしで体を動かさないことはタバコを吸うのと同じくらいに体に良くないらしい。日本抗加齢医学会理事長を務める慶應義塾大学医学部の坪田一男教授に解説してもらう。
“座りっぱなし”は喫煙と同じくらい危険!?

セデンタリー(Sedentary)という言葉をご存じだろうか?
意味は「座りっぱなしで体を動かさない」こと。単なる運動不足ではなく、長時間じっとしている状態を指す。仕事はデスクワークが中心という人も多く、現代人には特に珍しくない状態だが、最近の医学界ではこれが「寿命を縮める」と注目されている。
日本抗加齢医学会理事長を務める坪田教授はこう話す。
「セデンタリー・ライフスタイル、すなわち動かない生活はタバコと同じくらい体に悪く、がんや心血管障害など命にかかわる病気の原因になることがわかってきた。2012年にWHO(世界保健機関)は、1日10時間以上座っている人は4時間以下の人に比べて病気になるリスクが40%も高くなると発表している」
長時間座っていると病気になる――。「ホントに?」と思ってしまう話だが、わかりやすい例に「エコノミークラス症候群」(正式には深部静脈血栓症/肺塞栓症という)がある。飛行機の狭い座席(エコノミークラス)に長時間座っていることで脚の血行が悪くなり、静脈の中に血栓ができる。それが肺動脈に詰まると呼吸困難や発熱を起こし、死に至ることもある病気だ。
エコノミークラス症候群の原因は「血行が悪くなる」こと。それに加えて「交感神経の緊張、エネルギー消費の低下がセデンタリーの問題」と坪田教授は指摘する。