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男こそアンチエイジング!

前立腺がんを医療ロボットで手術すれば男らしさもUPする!?

50歳を過ぎたら一度はPSA検査を受けてみよう

 伊藤和弘=フリーランスライター

 ところで、前立腺の摘出にはプラスの副作用もある。前立腺を取ると、なぜか血中のテストステロン(主要な男性ホルモン)の数値が上がるのだ。そのため、従来までは手術して性欲が高まったのに、肝心のムスコがウンともスンとも言わなくなるという非劇も多かったという。しかし、ダ・ヴィンチを使えば、セックスも充実するわけだ。

 さらに、前立腺がんの摘出手術を受けた1万8209人を追跡調査した結果、「手術を受けた人は通常よりも長生きする」こともわかった(J Urol.2012;188(3):798-801)。

 「前立腺は謎の多い臓器。年を取ると、なぜか前立腺から悪い物質が出るようになる。老化によって、テストステロンを抑える物質が出るようになるのかもしれない」と堀江教授は話す。

気になったら簡単な検査でチェックを

 他のがんに比べると前立腺がんの死亡率は高くないが、それでもがんであることに変わりはない。いくら画期的な治療法が登場したとはいえ、発見が遅れれば命にかかわることになる(だから性機能を犠牲にしても手術していたわけだ)。前回も触れたように、日本でも2009年以降は毎年1万人以上の人が命を落としている。

[画像のクリックで拡大表示]
2人で同時に操作ができるダ・ヴィンチSiのコンソールに座って操作する堀江教授(右)

 そんな前立腺がんの早期発見に有効なのがPSA(前立腺特異抗原)検査だ。

 PSAとは前立腺から血中に出てくるたんぱく質。前立腺肥大症などでも高くなるが、前立腺がんになると確実に数値が上がる。正常値は1ng/ml以下とされ、「6以上になると、約20%の確率で前立腺がんができている。40代で2以上、50代で3.5以上、60代で4以上は要注意」と堀江教授。

 多くのがんと同じく、自覚症状が表れてから病院に来る人は、すでにかなり進行していることが多い。

 米国では50歳以上の75%がPSA検査を受けているのに対し、日本で受けているのはわずか8%。そのため、手遅れになりやすい。前立腺がんが発見された時点で転移があるケースは米国では3%しかないのに、日本では実に20%もの人に転移があるという。転移があれば、ダ・ヴィンチで前立腺を摘出してもそれでおしまい、とはならない。

 「50歳を過ぎたら一度はPSA検査を受けるべき。数値が高かった場合、年1回受け続けるのが望ましい」と堀江教授はアドバイスする。

 PSA検査は泌尿器科で簡単に受けられる。費用も数百円しかかからないので、50歳を過ぎた人は積極的に受診してもらいたい。

 早期発見さえできれば、前立腺がんは決して不治の病ではないのだから。

(イラスト/うぬまいちろう)

堀江重郎(ほりえ しげお)さん
順天堂大学医学部附属・順天堂医院泌尿器外科 教授
 東京大学医学部卒業。東大病院勤務後、米国テキサス州で医師免許取得。2003年に帝京大学医学部泌尿器科学主任教授に就任。12年から順天堂大学医学 部・大学院医学研究科教授。日本泌尿器科学会指導医。日本抗加齢医学会理事。一般向けの著書に『ホルモン力が人生を変える』(小学館101新書)、『サ サッとわかる男性機能の不安に答える本』(講談社)など。2013年6月『ヤル気が出る! 最強の男性医療』(文芸春秋 文春新書)を出版。
日経トレンディネット2014年2月18日付け記事からの転載です。

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