“夏ごもり老化”はプラス10分歩きで解消できる?
毎日の生活の中に“ほんの少しの運動習慣”を取り入れよう!
伊藤和弘=フリーランスライター
日常生活に10分の散歩を加えるだけでOK!?
あえて特別な運動をしなくても、「歩く」だけでもいい。4757人を日中の活動量によって4グループに分けて調べた結果、動かない時間が長くなるほど、ウエストが太くなり、コレステロール値や心疾患リスクが高くなっていた(Eur Heart J. 2011 Mar;32(5):590-7)。米ミズーリ大学の研究から、「1日1万歩歩くと血管内皮機能が改善し、動脈硬化の予防につながる」ことも分かっている。
2013年から始まった厚生労働省の「健康日本21(第2次)」では、平均的な摂取カロリーをもとに、成人男性の1日の目標歩数を「9000歩」としている。これは有酸素運動のウオーキング(早歩き)ではなく、日常的な歩行だ。
時速4km、歩幅70cmという普通のペースで歩いた場合、約10分で1000歩になる。つまり、90分歩けば9000歩というわけだ。
そう聞くと、「毎日1時間半なんて無理!」と思う人もいるだろう。しかし、ちょっと待ってほしい。これはあくまで1日の合計歩数。ウォーキングのような早歩きでもない。
2013年に行われた「平成25年国民健康・栄養調査」によると、30~50代男性の1日の平均歩数は8025歩だった(30代8274歩、40代8216歩、50代7586歩)。あくまで平均値だけど、みなさん意外とたくさん歩いてるじゃないですか! 目標歩数の9000歩まではあと1000歩。つまり、「あと10分」だけ歩けばいい計算になる。
筋トレや本格的な有酸素運動を続けるのは大変だが、「10分の散歩」なら時間的にも精神的にもずいぶんハードルは低い。今まで運動の習慣がなかった人は、まずここから始めてみてはどうだろう。
(イラスト/うぬまいちろう)
健康院クリニック(東京都中央区) 副院長