40代に急増する、前立腺がん【前編】
トマトと大豆で予防する
伊藤和弘
年を重ねるごとに失われていく「男らしさ」。いつまでも若い頃の外見・体力・健康は保てない。それを防ぐにはどうすればいいのか? 第一線で活躍する専門家たちに「男のアンチエイジング」の最先端を解説してもらう連載。今回から2回にわたって「前立腺がん」を解説する。前編は、40代になったら必要となる対策について。特に重要なのは食生活だという。順天堂大学医学部泌尿器科学講座の堀江重郎教授に解説してもらう。
男性の3人に1人が前立腺がんになる日も近い!?
前立腺とはクルミほどの大きさの器官。膀胱のすぐ下に、尿道を取り囲むような形で付いている男性だけの器官だ(右記イラスト参照)。そこから分泌される前立腺液は精液を作るためにも必要だが、亜鉛が多く含まれ、殺菌作用がある。
「のどの扁桃腺は雑菌が胃など消化管に入らないようにしている。同じく、前立腺は大切な睾丸を守っている」と、順天堂大学医学部泌尿器科学講座の堀江重郎教授は説明する。その結果、男性は尿道から少しくらい雑菌が入っても膀胱炎を起こすことは少ない。
前立腺肥大症といって、年を取ると前立腺が肥大することが多い。中の尿道が圧迫されて細くなることで、オシッコが長くなるわけだ。
前立腺をクルミと考えると、内部の実(内腺)がふくらむのが前立腺肥大症。一方、がんは外側の皮(外腺)の部分にできる。
欧米ではメジャーながんで、米国ではがんになる男性のうち、実に3人に1人が前立腺がんだ。日本では少なかったが、最近急増している。また、かつては70代が中心で高齢者の病気だったが、どんどん若年化が進み、40~50代でなる人も増えているという。
現在、日本人男性が罹るがんのうち、肺がん、胃がんに続いて前立腺がんは第3位。2020年の患者数は「1995年の6倍以上」に増えると言われ、胃がんを抜いて第2位に上がるのは確実と見られる。前立腺がんで亡くなる人も95年は5399人だったが、毎年確実に増えており、09年についに1万人を突破した(グラフ参照)。
「原因は食生活の欧米化」と堀江教授は指摘する。最近の研究から、前立腺がんと乳がんは動物性脂肪の摂取量と密接な関係があることがわかってきた。
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