男性ホルモンで認知症を抑制!?
バランスのいい食事と運動、知的な趣味を楽しもう
伊藤和弘=フリーランスライター
もともとアルツハイマー病は女性のほうがなりやすく、三村教授によると「患者の男女比は女性が倍近く多い」という。男性がなりにくいのは、もしかするとテストステロンのおかげなのかもしれない。
なぜテストステロンが認知症を防ぐのか、そのメカニズムはまだはっきりしない。ただ、これまでの研究から、テストステロンに「アミロイドの蓄積を抑える」作用があることは分かっている(Brain Res Rev.2008 March;57(2):444-53)。
一般に年を取るとテストステロンの分泌は少なくなるが、個人差はとても大きい。
「発展途上国の男性は年を取ってもテストステロン値が下がらない。先進国よりもストレスが少ないせいかもしれない」と堀江教授。強いストレスを感じると、脳の視床下部からCRFというホルモンが出て、テストステロンの生産にブレーキをかけるという。
ほかにも、睡眠、食事、運動といった生活習慣によって、テストステロンの分泌量は大きく変わる。詳しく知りたい方は本連載の過去記事「男性ホルモンはこうすればガンガン出る!」を参考にしていただきたい。
(イラスト:うぬまいちろう)
慶應義塾大学医学部 精神・神経科学教室 教授
順天堂大学医学部附属・順天堂医院泌尿器外科 教授
