辛いカレーで憂うつな春を乗り切る! クルクミンはアンチエイジングの救世主!?
ウコンに含まれるクルクミンの嬉しい効果とは
伊藤和弘=フリーランスライター
気分が落ち込んだら辛~いカレーを食べよう!
まだある。クルクミンは脳にも効くのだ。

「ウコンは漢字で鬱金と書きますが、これは漢方薬で抗うつ剤として使われていたため。また、カレーをよく食べるインドではアルツハイマー病の発症率が米国の4分の1しかないことから、アルツハイマー病に対する効果も研究されています」と、高吸収型クルクミンを使ったサプリメント「キョークルミン」を販売する杏林製薬ヘルスケア事業部の大熊喜久子 NR・サプリメントアドバイザーは話す。
実際、クルクミンは脳内のセロトニンを増やす抗うつ作用がある(Psychopharmacology(Berl).2008 Dec;201(3):435-42)。脳のBDNF(神経細胞を育てる神経栄養因子)を増やすことでうつ病を治すともいわれる。一方、アルツハイマー病は脳にアミロイドβというたんぱく質がたまることで起こるが、クルクミンにはこのアミロイドβを分解する作用がある(J Pharmacol Exp Ther.2008 Jul;326(1):196-208)。

こう並べてみると、クルクミンは万能薬的な側面がある! その最大の理由は「強い抗炎症作用にある」と堀江教授は説明する。
「NF-kBという炎症を引き起こす生理活性物質があるが、クルクミンはこの働きを抑えることで体内の炎症を抑える。心筋梗塞、がん、アルツハイマーなど、すべてが炎症に関係しており、炎症から引き起こされる病気。さらにクルクミンは抗酸化力も強く、体の酸化ストレスを抑えてくれることでもアンチエイジングに役立つ」(堀江教授)
筋肉疲労に効くという報告もあるが、これもクルクミンが筋肉の炎症を抑えてくれるため。万病のもととなっている炎症を抑えることで、クルクミンはたくさんの病気に効果を発揮する可能性があるわけだ。
なお、ウコンには鉄が多く含まれているので大量にとると害があるが、クルクミン自体は安全性が高く、少々とりすぎても危険はないとされている。
食事からクルクミンをとろうと思ったら、手っ取り早いのはカレーライスだろう。「クルクミンは吸収されにくいのが欠点。しかし、カレーのようにスパイシーなものを食べると血流が良くなって、腸から吸収されやすくなる。カレーはなるべく辛いものを食べたほうがいい」と堀江教授はアドバイスする。
ただし、カレーライス1杯に入っているクルクミンは5~10mg程度しか含まれない。効果を期待できる量をとるには、サプリメントのほうがいいだろう。サプリメントでは30mg程度を一日目安量にしているものが目立つ。
年度末を迎え、異動も多くなる季節。歓迎会や送別会などお酒を飲む機会も増え、慣れない仕事や人間関係もあって体調を崩しやすくなってくる。辛~いカレーやサプリメントで、積極的にクルクミンを補充しよう!
(イラスト/うぬまいちろう)
順天堂大学医学部泌尿器科学講座 教授