男なら知っておきたい! 実は命にかかわる「LOH症候群」ってなに?
意欲減退に加え、脳疾患、心筋梗塞、がんのリスクも向上
伊藤和弘=フリーランスライター
ストレスはテストステロンの大敵
重症のLOH症候群患者には注射によるホルモン補充療法があるが、これが行われるのは3割程度という。残りは「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」などの漢方薬、バイアグラなどのPDE5阻害薬、食事療法などで対処する。
AMS質問票で「軽度」だった人はあわてて病院に行く必要はない。とはいえ、テストステロンが下がっているのは確か。生活習慣を改善して、テストステロンの分泌を高めるようにがんばってもらいたい。
テストステロンが下がるのはさまざまな原因がある。老化による精巣(睾丸)の衰えは仕方ないとして、気をつけてほしいのはストレスだ。
「強いストレスを感じると、脳の視床下部からCRFというホルモンが出て、精巣がテストステロンを作るのを抑える」と堀江教授。「ストレスで立たなくなる」というのは決して気のせいではないわけだ。深酒やタバコなど肉体に負担をかける方法は避けて、上手にストレスを解消する方法をマスターしよう。
ストレスの他にも、睡眠、食事、運動といった生活習慣によって、テストステロンの分泌量は大きく変わる。詳しく知りたい人は連載第2回「男性ホルモンはこうすればガンガン出る!」を参考にしてほしい。
テストステロンをキープするには、「自分の居場所」を確保することも大切だ。テストステロンは、社会に自分を押し出すホルモン。定年を迎え、社会に居場所を失うことで一気にLOH症候群になってしまう人も多いという。特に仕事一筋の男性は要注意だ。「定年は男性にとって大きな危機。40代くらいから本格的な趣味を探し、定年後に備えてほしい」と堀江教授はアドバイスする。
(イラスト/うぬまいちろう)
順天堂大学医学部附属・順天堂医院泌尿器外科 教授