カロテンが豆や野菜の50倍にも!
解毒成分スルフォラファンに注目

スプラウト
野菜の新芽のこと。歴史は古く、欧米ではラディッシュやマスタードの新芽が食され、ビクトリア朝時代にブームになったという記録がある。古代中国では豆類の新芽が栽培されていた。日本で、カイワレ大根は平安貴族も食べた高級食材だったが、1970年代以降、栽培が広がり安価になった。
スプラウトに含まれる栄養価は、発芽前の豆や種、あるいは成長後の野菜をしのぐ。その理由をサラダコスモ研究開発課リーダーの中田光彦さんはこう解説する。
「豆や種より栄養価が高いのは、発芽に使うエネルギーとして、種のときにはなかった、もしくは微量だったビタミン類やフィトケミカルなどが生成されるから。結果、抗酸化力や抗菌力も豆や種より高まる。そして、それらの栄養は発芽直後をピークに、成長につれて減少する」
例えば豆苗は、βカロテン量が乾燥豆の約53倍。ビタミンEやK、B2、葉酸も多い。大豆モヤシは乾燥大豆に比べ、「GABA(ギャバ)が約6倍、大豆イソフラボンが約1.3倍ある。ビタミン類も全体に多い」(中田さん)。
中でも、注目はブロッコリースプラウトの辛み成分「スルフォラファン」だ。解毒作用や抗酸化作用があることがわかっており、含有量は成熟したブロッコリーの7~20倍以上。「研究が盛んなのはブロッコリースプラウトだが、カイワレ大根など、アブラナ科に含まれる辛み成分のイソチオシアネートにも同様の作用があるとされ、現在研究が進んでいる」(中田さん)。
発芽でビタミンやカロテンが増加