日経グッデイ

走り亀 ~ヘタレランナー フルマラソンへの道~

ランニング初日、いきなり準備体操で力尽きる

第6回 カメ、ついに走り始める…はずだったが

 カメ子=日経Gooday

運動不足、走るのキライな編集部員(アラフォー♀)が、なんの因果かランニング企画の担当に。『週1回のランニングでマラソンは完走できる!』の著者であるランニングアドバイザー・真鍋未央さんの指導を仰ぎながら、半年後(?!)のフルマラソン完走を目指し、苦難の道を綴ります!

 ついに来るべき時が来てしまった。

 真新しいランニングシューズ(詳しくは前回記事参照)を履き、この企画を応援してくださっているスポーツブランド、ダンスキンさんからお貸しいただいた素敵なランニングウエアを身にまとい、“なんちゃってランナー”と化したカメは、待ち合わせの公園でランニングアドバイザーである真鍋未央コーチを待っていた。

 ここに至るまで、忙しさと、疲れた体を動かすおっくうさから、家での補強トレーニング(筋肉プルプル10分トレーニング)の実践回数はゼロ。やったことといえば、かろうじて、会社の中で階段の上り下りを少々…。いわば、ほぼ “丸腰”状態でこの日を迎えてしまったのだ。

 ええい、仕方がない。ここまできたら、とにかく目の前のハードルを乗り越えるしかない! そう自分を奮い立たせ、いざ、真鍋コーチを迎えてトレーニング開始です!

◆本日のメニュー

1)ウォームアップ(体操、ストレッチ)
2)フォームチェック
3)ウォーキング10分+ランニング(ジョギング)5分 ⇒ ペースの確認

体に「これから走るんだよ」というサインを送ろう

 まずは、ウォームアップから。

 どんな運動でも、いきなり始めるのではなく、ウォームアップで体を温め、関節の可動域を広げ、筋肉をほぐしてやることが大切だ。そうすることで、ケガを予防し、トレーニングの効果を高めることができる。

 「特に初心者の方は、普段動かさない筋肉を動かすことになるので、念入りに体操とストレッチを行い、体に『これから走るんだよ』というサインを送ってあげましょう」(真鍋コーチ)。その際、1つ1つの動作を正確に、ゆっくりと行い、動かす部分、伸ばす部分を意識することが大切だ。初めのうちは、ランニングのメニューも軽いので、体操とストレッチを5~10分程度行えばOK。時間があるときやハードな練習をするときは、より大きな動き(動き作り:後日紹介予定)を加えて、運動強度を上げる。また、走り出す前にウォーキングを10~15分入れてもいい。

 以下に、主な体操メニューを真鍋コーチに紹介してもらった。いずれも「1、2、3、4」と声を出しながら、一定のリズムで進めて行こう。誰もがなじみのある「屈伸」や「伸脚」なので、さすがのカメも、簡単にできる…はずだ。

体操【1】 屈伸~膝回し

 まずは屈伸。手を両ひざについて、ゆっくり膝の曲げ伸ばしを行う。数回行ったら、手を膝についたまま、膝の関節をゆっくりぐるりと回す。右回りと左回り、両方やってみよう。小さい動きから少しずつ大きな動きにしていくのがポイントだ。

屈伸~膝回し
(1)手を両ひざについて、ゆっくり膝を曲げ、(2)ゆっくり伸ばす。これを数回繰り返した後、(3)手を膝についたまま、膝の関節をゆっくり左右にぐるりと回す。小さい動きから少しずつ大きな動きにしていこう。
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体操【2】 伸脚

 次に、伸脚。片足(写真では左足)を外側に開き、つま先を膝と同じ方向に向けながら、もう一方の脚の太腿を伸ばす。伸ばしている脚のつま先は上に向けよう。これを左右交互に行ったら、さらに、腰を深く沈み込ませ、太腿からふくらはぎまでをゆっくり伸ばす。手の位置は特に気にしなくてもいいが、背中を丸めて下を向くのはNG。体幹を意識して上半身の安定を保ちながら、左右交互に行おう。

伸脚
(1)片足(写真では左足)を外側に開き、もう一方の脚の太腿を伸ばす。伸ばしている方のつま先は上に向ける。これを左右交互に行う。(2)さらに深く沈み込み、太腿からふくらはぎまでをゆっくり伸ばす。こちらも左右交互に行う。
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体操【3】 股関節(肩入れ)

 次は、股関節を開き、同時に肩甲骨の可動域を広げる体操。まず、股を広めに開き、両方の膝を外に向け、腰を落として両膝に手をつく。次に、片方の肩を前に突き出し、突き出した側の手で膝をゆっくりと外側に押す。顔の向きはどちらを向いていても大丈夫。

 「この動きによって、肩甲骨回りの筋肉を伸ばしながら、太腿の裏側の筋肉も伸び、股関節の可動域が広がります。初心者に多いトラブルの1つに股関節回りの痛みがありますので、念入りにほぐしましょう」。その際、痛みを感じる手前の、「筋肉が伸びて気持ちがいい」という段階でキープすることがポイントだ。

股関節(肩入れ)
(1)股を広めに開き、両方の膝を外に向け、両ひざに手をつく。(2)片方の肩を前に突き出して、突き出した側の手で膝をゆっくりと外側に押す。肩甲骨回りと太腿の筋肉を伸ばすイメージで行おう。(3)反対側も同様に行う。
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体操【4】 ふくらはぎ~股関節

 次に、ふくらはぎを伸ばす体操。まず、両足を前後に軽く開いてみよう。このとき、無意識につま先が外側や内側を向いてしまっている人は、要注意。それがそのまま走る時の足の向きになり、正しいフォームで走ることができないのだという。「つま先はまっすぐ前に! 体操の段階から、この向きを体に叩き込んでください」(真鍋コーチ)。

 つま先をまっすぐ前に向けたら、前に軽く一歩踏み出し、後ろ足のかかとを地面につけた状態で、ふくらはぎを伸ばす。前の膝は、つま先より出ないように気を付けよう。これを左右交互に行う。

 さらに、後ろ側の脚を一歩後ろに開いて、そのまま腰をぐっと落とす。このときも、前の膝がつま先よりも前に出ないように気を付けながら、太腿全体を伸ばそう。

ふくらはぎ~股関節
(1)両足を前後に軽く開き、つま先はまっすく前を向ける。後ろ足のかかとを地面につけたまま、ふくらはぎを伸ばす。これを左右交互に行う。(2)後ろの脚を一歩後ろに開いて、そのまま腰を落とし、太腿全体を伸ばす。これも左右交互。いずれの体操も、前脚の膝がつま先より出ないように気を付けよう。
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体操【5】 肩甲骨(肩回し)

 最後が、肩回しだ。両肩に手を置き、胸の前で肘と肘を合わせるようにして前から後ろへ大きな円を描くように回す。頭の上から全身を引っ張られているような感覚で背筋を伸ばしながら行おう。数回回したら、後ろから前へも回す。

肩甲骨(肩回し)
(1)両肩に手を置き、(2)胸の前で肘と肘を合わせるようにしながら(3)前から後ろへ大きな円を描くように回す。頭の上から全身を引っ張られているような感覚で背筋を伸ばしながら行おう。数回回したら、後ろから前へも回す。
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デスクワークで背中が凝り固まっている人は さらに肩甲骨ほぐしの体操を!

デスクワークをしていると、肩甲骨を動かす機会が減り、可動域が狭まってくる。そのままの状態でランニングを行うと、腕がうまく振れず、肩に力が入り、呼吸がしにくくなる。毎日の生活に、肩甲骨ほぐしの体操を取り入れてみよう。

(1)まっすぐに立ち、両手を真上に上げて体を伸ばす。(2)両手を外側に向け、ゆっくりおろしながら左右の肩甲骨を背中の中心に寄せるように後ろに引き寄せる。(3)両手を前方水平に伸ばし、肩甲骨をいったん広げる。(4)腕の高さは水平を保ったまま、両肘を後ろに引き、再び肩甲骨をぐっと背中の中央に寄せる。
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「背中の中心を意識して、ここに肩甲骨を寄せるイメージで腕を引きましょう」
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ストレッチ【1】 長座・前屈

 体操で体が温まったら、筋肉や靭帯を伸ばすストレッチで、血液の循環を良くし、関節の可動域をさらに広げよう。「ポイントは、伸ばす部分を意識すること、息を止めないこと、痛くなるまではやらないことです」(真鍋コーチ)。

 まずは長座の姿勢からの前屈。座った状態で両足をそろえて伸ばし、つま先はぴったり閉じて上を向かせる。膝が地面から浮かないように気を付けながら、上体を前に倒し、ふくらはぎを伸ばす。息は止めずに、深く呼吸をしてリラックスしながらやろう。「体が硬くて曲がらない人は、少し膝を曲げても大丈夫です。決して無理せずに」(真鍋コーチ)。

長座・前屈
(1)座った状態で両足をそろえて伸ばし、つま先はぴったり閉じて上を向かせる。(2)膝が地面から浮かないように気を付けながら、上体を前に倒す。
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ストレッチ【2】 開脚・左右

 今度は脚を左右に開き、上体を片方の脚の方向に曲げる。こちらも膝が浮かないように気を付けながら、太腿の裏側を伸ばす。体が前に倒れたり、後ろに反ってしまわないように気をつけよう。これを左右で行う。写真の真鍋コーチのように足がきれいに開く人は少数派だと思われるが、「開脚は無理のない角度で大丈夫です。角度を狭めれば、膝が浮きにくくなりますよ」と真鍋コーチ。

開脚・左右
脚を左右に開き、上体を片方の脚の方向に曲げる。膝は浮かせず、太腿の裏側を伸ばす。
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ストレッチ【3】 股関節

 最後は股関節。両足の裏を合わせて、両手で足を持ち、かかとを体に引き寄せながら上体を前に倒していく。余裕があれば、肘で脚をぐっと開くように押してみよう。

股関節
両足の裏を合わせて、両手で足を持ち、かかとを体に引き寄せながら上体を前に倒していく。
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軽く終わらせるはずの体操でボロボロ…

 というわけで、カメも真鍋コーチの目の前で、体操とストレッチを一緒にやってみたところ…

腰を落とした途端、グラグラッ。バランスを取ることもままならず。
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こ、股関節が硬い! つま先はあさっての方向を向き、背中は思いっきり猫背に…。
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これ、けっこうきます~! 太腿の裏側が~!
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無理っす、これ以上曲がりません!
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 …という惨状…。

 「あの、コーチ…これって、準備体操ですよね? …筋トレじゃないんですよね?」

 「そうですよ(笑)」

 この会話を、少なくとも3回は繰り返しただろうか。

 嗚呼…。カメ、完全に準備体操を甘く見ていました。ガチガチに固まった体中の関節と、落ちまくった筋肉。そのダブルパンチで、まさかのまさか、ウォームアップがトレーニング状態になり、この時点で既に半分燃え尽きてしまった。ゼロからのスタートだと思っていたが、マイナスからのスタートだったとは…。

 …というわけで、意気消沈しながら、初回トレーニングの後半編に続く…。
 (次回は、初回トレーニングの後半、フォームチェックと基本ペースの指導の模様をお届けします)

 (写真:村田わかな)

 (参考資料:真鍋未央著『週1回のランニングでマラソンは完走できる』、メニュー監修:カイロプラクター・青木哲雄氏)

 (衣裳協力:ダンスキン〔タイトル写真真鍋さん着用:NON STRESS ジャケット 7900円/体操&ストレッチ真鍋さん着用:NON STRESS Tシャツ 3600円、ショートパンツ 4900円、NON STRESSタイツ 5300円/トレーニング風景真鍋さん着用:NON STRESS ジャケット 7900円、ショートパンツ 5900円、NON STRESSタイツ 5300円/カメ子着用:ジャケット 8900円、ハーフパンツ6300円、NON STRESSタイツ 5300円、以上すべて税別〕)

真鍋未央(まなべ みお)さん
ランニングアドバイザー
真鍋未央(まなべ みお)さん

福岡県出身。高校時代、中・長距離の陸上選手として活躍し、卒業後は資生堂ランニングクラブに所属。同クラブ在籍中にマラソンに転向。ベストタイムは2時間55分27秒(2006年1月29日大阪国際女子マラソン)。現在は、ランニングアドバイザーとして女性向けのセミナー、ランニングイベント「miobiRun」を定期的に開催するほか、TVやランニング雑誌など各種メディアで活躍している。
著書『週1回のランニングでマラソンは完走できる!』(池田書店)
(写真:村田わかな)

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