焦ってはペースを上げ、徐々にペースが落ちる…といった不安定な緩急を繰り返しながら、ひたすら真っ直ぐの一本道を走る。15kmの関門(第4関門、制限時間1時間56分)、なんとか無事通過。
疲れた…。膝は痛いし、脚はイメージ通りに動かない。
「できるだけ平坦で安定している、道の真ん中を走ってください。段差やマンホールに気を付けて。疲れが出てくるレース後半は特に、足場の悪い場所や曲がり角で足をひねることが多いんです」(真鍋コーチ)
余裕がない中で、コーチの冷静なアドバイスがありがたい。大きな角を二度曲がり、次の17.6km関門(第5関門)は、再び続く一本道の先、線路を超えたところにあるはず。だが、走っても走っても、線路が見えてこない。
あのバスに収容されるのはイヤだ!!
「関門まだかな?」「あと何分? もしかしてちょっとやばい?」
周りのランナーから、徐々に焦りの声が聞こえ始める。
つらい…。それほどきついペースではないはずなのに、終盤の疲れがたまったころにタイムに追い立てられ、一気に過酷なレース展開になってきた。まだあと4kmもあるのに、関門を2カ所もクリアしなければならない…!
線路手前に給水所が見えてきた。だが、もはや立ち止まっている暇はない。そのまま走り抜け、関門手前の線路を越える上り坂を走っていると、スタッフの声が響いてきた。
「がんばれー!」「急げばまだ間に合うから!」
え、それってつまり、急がないと間に合わないってこと?!
コース脇をちらっと見ると、強制リタイアとなったランナーを運ぶためのバスが何台も待機している。
怖い、怖すぎる…! あれに収容されるのは、いやだ…!
バスを横目で見ながら、なんとか17.6kmの関門を通過! タイムは恐らく、制限時間の1~2分前、2時間13~14分くらいだったはずだ。
ここからが、修羅場だった。
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- 7分ペースで走れって、無理!
