日経グッデイ

走り亀 ~ヘタレランナー フルマラソンへの道~

初心者は小さめのシューズを選んで失敗する

第5回 ランニング初心者のシューズ選びのコツ

 カメ子=日経Gooday

運動不足、走るのキライな編集部員(アラフォー♀)が、なんの因果かランニング企画の担当に。『週1回のランニングでマラソンは完走できる!』の著者であるランニングアドバイザー・真鍋未央さんの指導を仰ぎながら、半年後(?!)のフルマラソン完走を目指し、苦難の道を綴ります!

 前回記事(「実践! 筋肉プルプル10分トレーニング」)では、週1ランを支える補強トレーニングの実際を、真鍋コーチに伝授してもらった。気づけば本連載も今回で第5回。さすがに「いつ走り始めるんだろう、このカメ…」と首をかしげている読者の方もいらっしゃるだろう。

 ええ、いよいよです。いよいよ、走り始めますよ~。

 …と、その前に。まだ書いておかなければならないことがある。それが、ランニング初心者のための、シューズ選びのポイントだ。

なぜスニーカーではダメなの?

 ゴルファーにはクラブ、サイクリストには自転車、スイマーには水着が必需品であるように、ランナーにはシューズが必要だ。とはいえ、ランニングド素人のカメは、この企画が決まった当初、こう考えていた。

 「とりあえず手持ちのスニーカーで走ればいっか。だって自腹だし…(- .-;)

 ところが、その考えは甘かった。

 「えっ スニーカー? ダメです! 必ずランニング専用のシューズで走ってください!」

 と真鍋コーチ。

 「ええっ、どうしてスニーカーじゃダメなんですか? 十分、快適で歩きやすいですよ?」

 カメの素朴すぎる疑問に、真鍋コーチは丁寧に答えてくれた。

 「ランニングは、ウォーキングとは違って、一歩一歩、着地するたびに大きな衝撃が足に加わります。普通のスニーカーではクッション性と安定性が不十分なので、着地の衝撃に足が耐えられず、ケガの元になってしまうんです。特に初心者ランナーは筋力が弱いので、専用シューズを履いて、衝撃から足を守ってあげることがとても大切です」

 へえ~。そういうものなのか。

 「ちなみにカメさん、ランニングシューズって、履いたことありますか?」

 「ありません!(きっぱり)」

 「だったら、履いてみると、きっと驚きますよ! スニーカーとは全然違いますから」

 その言葉に、がぜん、好奇心を刺激されたカメ。早速、わが運命の一足(?)を求めて、真鍋コーチと一緒にスポーツショップに足を運んでみることにした。

専門店のスタッフに自分の走力と目的を伝えて相談

 まず、真鍋コーチに教えてもらった、ランニングシューズ選びの基本をまとめてみよう。

ランニングシューズ選びの基本

・必ずランニング専用のシューズを選ぶ

・スポーツ専門店で、店員さんに「自分の走力」と「目標とするレース」を伝え、お薦めのシューズを何足か選んでもらう

・試着してフィット感(安定性)とクッション性を確認し、自分の足に一番合っているものを選ぶ

・初心者はトレーニング用の1足があれば十分

 ランニングシューズは、レース用、トレーニング用に大きく分かれている上に、ブランドの種類も多く、それぞれ素材や機能に工夫を凝らした商品が揃っている。同じサイズでも、メーカーによって少しずつ形の特徴は異なる。初心者がいきなり専門店を訪れて、ずらりと並んだこれらのシューズの中から自分に合ったものを選び出すのは至難の業だ。もともと無精者な上に、店員さんと1対1で話すのが苦手なカメは、つい、セール品の中から適当に見繕ったり、デザイン先行で選んだりしてしまいそう…。だが、そこで労を厭ってはいけない。

 「自分の足に合わないシューズを買ってしまうと、摩擦でマメができたり、ゆるすぎて地面を蹴る力がうまく伝わらなかったりして、走っているときにストレスになります。専門店のスタッフはプロですから、相談しながら買うのが一番ですよ」(真鍋コーチ)

 はい、わかりました(^^;)

 売り場で店員さんにまず伝えるべきなのは、自分の走力。つまり、走り始めてどれくらいか、普段どのくらいの速さでどのくらいの距離を走っているのか、といったことだ。次に、走る目的。フルマラソンを目指しているのか、ハーフマラソンなのか、10km程度のレースなのか。あるいは、レースに出る予定はなく、普段ジョギングをするためだけに履くのか。そうした情報を伝えれば、その人のレベルに合ったシューズをいくつか推薦してくれるはずだ。数種類の中から選ぶのであれば、迷いは少なくて済む。

  「上級者は、レース用、トレーニング用を履き分けますが、初心者はトレーニング用が1足あれば十分です。シューズの消耗頻度は、走る場所(地面の状態)や距離、体重、脚力によっても違ってきますが、だいたい半年から1年をめどに、靴底が擦り減ってきたら買い替えればいいですよ。もし余裕があれば、同じシューズを2足そろえて交互に履くのもお勧めです」(真鍋コーチ)

店頭で3次元足形計測を体験!

4カ所の計測ポイントにシールを貼ってもらう。指で示されているところは舟状(しゅうじょう)骨の位置で、土踏まずの高さを示す。

 ということで、今回、カメの初めてのランニングシューズ選びにご協力いただいたのは、ランニング専門ショップ「B&D渋谷店」。このお店では、3次元の足形計測機を使って、最適なシューズ選びの手助けをしてくれる(計測は無料)。

 「足の形は一人ひとり違います。当店では、足形計測機と目視の両方でお客様の足の特徴を把握し、さらに、会話の中で普段のランニングのレベルや足の痛みの有無などを尋ねながら、その方に合ったシューズをご提案しています」と、店長代理の佐藤元気さん。特に、外反母趾や偏平足といった“くせ”がある人は、着地の衝撃を受ける際にバランスが崩れ、膝などに負担がかかりやすいため、足の機能を補うシューズ選びが重要になるという。

 足の形を測ったことなど、今まで一度もなかったカメ。やや緊張しながらも、早速挑戦してみることに。まず、裸足になって台の上に乗り、計測の指標となる左右各4カ所のポイントにシールで印を付けてもらう。次に、片足ずつ計測器に足を入れ、姿勢を正して待つこと数秒。レーザーがシールの位置を識別して、足の長さ、幅、親指・小指の傾斜角度など、11項目を測定してくれる。

 カメの場合、昔から「幅広・甲高」の足の形が悩み。幅の狭い、きゃしゃな靴を無理して履いて小指が痛くなったりしたことも数知れず。果たして、どんな結果が出るのか…。

 計測結果は、あっという間にプリントされて出てきた。「サイズは、左足が24.0のE、右足が23.5の2Eです。左の方が右よりも少し長く、逆に幅は右の方が少し広いようですね。足裏のアーチの高さ(舟状骨点高)は女性の平均的な値なので、偏平足ではありません。外反母趾(第1指側の角度が15度以上)もないですし、大きな問題はないですね」と佐藤さん。

カメの両足の測定結果。
足長:かかとからつま先までの長さ、足幅:足の一番広い部分(親指の根元から小指の根元まで)の長さ、足囲:足幅の周囲をぐるりと測った長さ、インステップ囲長:足の楔状(けつじょう)骨(甲の最も高い部位)の周囲をぐるりと測った長さ、第1指側角度:親指の内側への傾斜角度、第5指側角度:小指の内側への傾斜角度、舟状骨点高:床から舟状骨までの高さ(土踏まずのアーチの高さ)
[画像のクリックで拡大表示]

 よかったあ。ちなみに足の幅と厚みを反映する「足囲」はC、D、E、2E、3E、4E…という段階で表されていて、女性の平均は「E」なのだとか。カメの足は左がE、右が2Eなので、右が少し幅広だが、恐れていたほど極端な幅広ではないようだ。これらの情報と、「初心者かつフルマラソン完走を目指す」というカメの(身の程知らずな)目的を踏まえて、佐藤さんは3種類のシューズを持ってきてくれた。

普段よりもワンサイズ大きいものを選ぶ

 試着の際のポイントは、座ってシューズに足を入れ、かかとを地面に軽くトントンと当てて、しっかり合わせながらひもを締めること。そして、つま先に1cmほどの余裕があるかどうかを確かめることだ。

 「初心者、特に女性の場合、小さめのサイズを選んでしまって失敗することが多いんです」と佐藤さん。ランニングでは足の前方に体重がかかるため、ぴったりのシューズだと爪がシューズのつま先部分に押し付けられてうっ血してしまう。また、長い距離を走っているうちに、足はむくんでくる。そうした点を踏まえ、実寸+1cmのサイズを目安に選ぶのがポイントだそうだ。でも、シューズの中で足が遊んでしまったりしないのだろうか?

 「そうならないように、幅はぴったりでつま先に余りが出るシューズを選びます。その上で、しっかりひもを締めてホールドしてあげれば大丈夫ですよ。足が動いてしまうリスクよりも、つま先が当たってしまうリスクを重視してください」(佐藤さん)

 ということで、早速、見繕ってもらったシューズに足を入れてみたところ…

 「なんじゃこりゃ~!!」

まるで背中に羽が生えたような履き心地!
(イラスト:やまもと妹子)

 なんでしょう、このホールド感、柔らかさ。そして軽さ。歩いてみると、ふわっと前方に押し出されて浮き上がるような感覚に驚く。まるで背中に羽が生えたみたい!

 完全に舞い上がり、売り場をルンルン歩き回るカメのリアクションを見ながら、真鍋コーチは満面の笑み。

 「ウフフ。やっぱり! みなさん、初めてランニングシューズを履くと、感動されるんですよ~」

カメ運命の一足?! アディダス「ウィメンズ Snova Glide boost [ブースト] W ランニングシューズ」。エントリーランナー、完走ランナー向け。サイズは普段の靴よりも1サイズ大きい24.5cm。

 結局、候補の3足の中から、自分の足に一番フィットしていて歩きやすいと感じた1足を選んで、お買い上げ。

 いやあ、恐るべし、ランニングシューズ。これなら、確かに気持ちよく走れるような気がする。なんだか早く走りたくなってきた。というか、すっかり走れる気になっている自分が怖い。まだ、1cmたりとも走っていないのに…。

 ということで、次回、ついにカメが重い甲羅を持ち上げて(!?)走り始めます!

(取材協力:B&D渋谷店)

真鍋未央(まなべ みお)さん
ランニングアドバイザー
真鍋未央(まなべ みお)さん

福岡県出身。高校時代、中・長距離の陸上選手として活躍し、卒業後は資生堂ランニングクラブに所属。同クラブ在籍中にマラソンに転向。ベストタイムは2時間55分27秒(2006年1月29日大阪国際女子マラソン)。現在は、ランニングアドバイザーとして女性向けのセミナー、ランニングイベント「miobiRun」を定期的に開催するほか、TVやランニング雑誌など各種メディアで活躍している。
著書『週1回のランニングでマラソンは完走できる!』(池田書店)
(写真:村田わかな)