次なるレースを控え、スタミナアップのために食事面で注意すべきことを知りたい、ヘタレランナー・カメ子。前編(「ランナーは食事が命、スタミナアップの栄養講座」)に続き、後編では、スポーツ栄養士の「ルミ先生」ことこばたてるみ先生に、レース前後の栄養補給のポイントをうかがいます。
運動後に糖質をとらないと“燃料”はどんどん減っていく
ルミ先生、ランニング前後の糖質(炭水化物)のとり方ってそんなに重要なんですか?
ルミ先生 重要ですよ。長時間走る時、人間の体は、筋肉や肝臓に蓄えられた「筋グリコーゲン」と呼ばれる糖と、脂肪の両方をエネルギー源として利用します。筋グリコーゲンというのは、食べ物から取り込まれた糖質が体内で分解され、筋肉と肝臓に蓄えられたときの呼び名です。「筋肉中の燃料」と思っていただければわかりやすいですね。
なるほど。
ルミ先生 この図は、男性がトレーニングで16km(10マイル)走った後の、筋グリコーゲンの増減を示したグラフです。運動すると糖がたくさん使われますから、筋グリコーゲンはぐっと減ります。そこで「疲れた~」と言いながらビールを飲んで、ごはんも食べずにばたっと寝てしまったら、どうなると思いますか? このグラフの曲線の1つは運動後すぐに十分糖質をとったグループ、もう1つは十分にとらなかったグループです。糖質を十分にとっていないグループでは、翌日、消耗した筋グリコーゲンが回復していないのがわかりますよね。
本当だ…。
ルミ先生 その後、ハードな練習をしなければ、筋グリコーゲンは日常生活の中でゆるやかに回復していきますが、大会が近かったりして、回復しないまますぐに練習して、糖質摂取が不十分な状態が続くと、この図のように、筋グリコーゲンはどんどん減ってしまいます。すると、トレーニングしていても集中力が続かないとか、かぜをひきやすくなるとか、いろいろな弊害が起こってきます。燃料のない車がスムーズに走らないのと同じで、いつエンストを起こすかわかりません。
そうなんですね。知りませんでした(ショック…)