スタミナを持続させるためにはビタミンB1、B2が不可欠
バランスの重要性はよく分かりましたが、中でも特にランナーがとるといい食材や栄養素はありますか?
ルミ先生 ランナーは体の中でエネルギーをたくさん作り出さなければ疲れがたまってしまうので、体の中で不完全燃焼を起こさないようにすることが大切です。私はこれをたき火にたとえて説明しています(下図)。
「たき火」ですか?
ルミ先生 たき火をするためには、まきが必要ですが、まきだけでは燃えませんよね。まきと一緒に新聞紙を用意して、マッチで火をつけて、うちわであおいでようやくまきが燃えます。この「まき」の役割をしているのが体脂肪や血中脂質。「新聞紙」がごはんやパンといった糖質です。皆さん、だいたいここまではとれています。
ところが、「マッチ」の部分をとっていない人がけっこういるんです。マッチの役割を果たしているビタミンB1は別名「元気のビタミン」といわれるほど、エネルギーの燃焼に不可欠な栄養素です。さらに、ビタミンB1が入ってやっと燃料に火がついても、それだけでは、燃えているのは「新聞紙」(糖質)だけで、すぐ消えてしまいます。火を持続させようと思ったら、「うちわ」で風を送って「まき」(体脂肪)を燃やさなければなりません。そこに関係しているのは主にビタミンB2です。
ビタミンB1がないと、せっかく食事からとった糖質はうまくエネルギーになりませんし、ビタミンB2がないと体脂肪まで燃えずに「不完全燃焼」を起こし、長い距離を走ることができなくなってしまいます。
非常に分かりやすいたとえですね。
ルミ先生 ビタミンB1は豚肉やレバー、ハム、鮭、豆腐類、アスパラガス、アジなどに含まれます。ビタミンB2はサバや卵、乳製品、うなぎ、ソラマメ、レバー、緑黄色野菜などに含まれますので、ランナーの方はぜひ積極的にとっていただきたいです。
その際、食べ合わせも大事です。ビタミンB1は水溶性で、取りすぎた分は体の外に出てしまい「とりだめ」がききません。ところが、ビタミンB1をアリシンという成分と一緒に取ると、ある程度は体の中にとどめておくことができるんです。つまり、一度きりしか使えない「マッチ」が「ライター」になるんですね。
アリシンはネギやにんにく、ニラなど、香りの強い野菜に豊富に含まれています。豚肉を食べるならにんにくや玉ねぎと一緒に炒める、レバーはレバニラ炒めにする、納豆にはネギやあさつきを刻んでのせる、という組み合わせは非常におすすめです。
どれも割と定番の組み合わせですが、非常に理にかなっているんですね。ルミ先生、実は私、以前から鉄欠乏性貧血(以後、貧血)で鉄剤を飲んでいるのですが、ランナーは貧血になりやすいというのは本当でしょうか?
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