なるほど。スポーツマッサージと聞くと、アスリート専門のマッサージという印象があって、敷居が高く感じるのですが、実際にはどんな人が受けに来るんですか?
金子さん 確かに「スポーツ」という言葉がついているので、スポーツをする人のためのマッサージというイメージが強いかもしれませんね。実際、当院のお客さんはランナーの比率が非常に高いです。
でも基本的には、どなたが受けてもOKなんですよ。誰でも毎日、全身の筋肉を使って生活していますから、使い方によっては張りや凝りが生じます。普段特に運動をしていなくて、肩凝りや腰痛に悩んで来られる方もたくさんいます。アスリートであってもなくても、筋肉の状態をみて整える、という点で施術側のとらえ方は同じなんです。
そうなんですね。ちょっと安心しました。スポーツマッサージを受けにくるランナーの悩みで多いのはどんなものですか?
金子さん 一番多いのが、ケガや痛みです。それをきっかけに来院して、その後もメンテナンスのために継続して通ってくれる方が多いですね。ちなみに初心者にトラブルが出やすい部位は膝と股関節です。体を使いすぎると、まず一番弱いところに痛みが出てきます。それが膝関節と股関節なんです。
まさに私のようなケースですね(^^;) 特定の部位の痛みに悩んで来院した場合、スポーツマッサージではどのようなことをしてくれるのですか?

金子さん まずは痛みを取り除く方法を考えます。一切走るのをやめて経過をみるのか、軽く走り続けながらストレッチを入念にするのか、といったおおまかな方向性ですね。これは、痛みの特徴(痛みの出るタイミングなど)や、触ってみて熱感や腫れがあるかどうか、といった点から判断します。
それから、全身の筋肉をほぐしながら、筋肉の付き方、左右差、張り具合などを確かめ、痛みの原因を探ります。筋肉の張りを見つけると、その人の仕事や普段やっているスポーツ、痛む場所などの情報と組み合わせながら、どういう動きをした結果、その部位の張りにつながっているのかを想像します。そして、その張りが痛みにどうつながっているのかを考えるわけです。
例えば、カメ子さんは左膝の外側が痛いんですよね。そして、普段からランニングフォームで右膝が内側に入ってしまっていると指摘されている。となるとおそらく、右脚にかかった力が逃げてしまい、その分左脚に負荷がかかって左の膝の痛みにつながっているのではないかなと想像します。あとで実際に見せてもらいますが、おそらく脚の筋肉に左右差があるのではないかと思います。
な、なるほど…(すごい!)。痛みの原因が分かったら、次はどうするのですか?
金子さん 痛みの原因で多いのは、筋力の弱さや、形(アライメント)の崩れです。施術ではまず全身の張りをほぐすことで、筋肉の形を整えます。その後、足りない筋力を補強するためのメニューやトレーニング量の調整、フォーム改善のポイントなどをアドバイスします。特定のコーチについている方の場合は、コーチと連絡を取って直接対処法をご提案することもありますよ。
こうしたアプローチは一見「回り道」のようにも見えますが、痛みの根本を改善することが、「痛みを悪化させない」「繰り返さない」ためには必要不可欠なんです。痛くなったらしばらく休んでなんとなく良くなり、「だましだまし」走っているうちにさらに痛くなった…というサイクルを繰り返すうちに、走り続けられなくなってしまったランナーはたくさんいますからね。
(ドキッ)身につまされます…!
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