日経グッデイ

走り亀 ~ヘタレランナー フルマラソンへの道~

人生初! 自主トレで10km走れた

第17回 ビールと桜と晴れやかな朝、そしてコーチに感謝!

 カメ子=日経Gooday

真鍋未央コーチの指導の下、初めての8kmランに成功したヘタレランナー・カメ子。1時間以上も連続で走れるようになった自分に感動したのもつかの間、次に立ちはだかったのは、練習時間確保という新たな壁だった。

 初めての8kmランに成功し(詳しくは前回記事「ついに8km完走、1時間も走り続けた自分に驚愕!」)、また1つ山を乗り越えた達成感でいっぱいの、ヘタレランナー・カメ子。「次回指導日までに10kmの大台を達成しよう!」と意気揚々で再び自主トレ生活に戻ったのだが、ふと、あることに気が付いた。

 距離が延びるということは、所要時間も長くなるということ。そうなると、走力アップもさることながら、難しくなってくるのが練習時間の確保だ。

せっかく確保した練習時間に限って雨が…(泣)

 トレーニングを始めたばかりのころは、所要時間は正味30分、ウォームアップを入れても40分程度だったので、週末の“すきま時間”に走ることができていた。だが、じわじわと距離が延び、いよいよ10kmを目指すとなると、トレーニングに1時間半は必要になってくる。フルタイムワーカーであり、2児の母でもあるカメ子にとって、週末の予定の合間を縫って自分専用に1時間半を確保するのは、けっこう難しい。しかも、せっかく確保した時間帯に、体調や天候がいいとは限らない。実際、「今週末は、ここしかまとまった時間をとれない!」というところで雨が降ってしまい、泣く泣くトレーニングを断念したことも…。

 やる気はあるのに、思うように走れない。そんなもどかしい状態の中、ようやく確保したランニングの時間に、5kmでリタイアしてしまった日があった。真鍋コーチと一緒に8kmを走った指導日の翌週のことだ。体調も良く、体の痛みもなかったのだが、「貴重なトレーニング時間だ!」と思って肩に力が入りすぎたのか、「一度クリアした8kmは超えなければ」という気負いがプレッシャーになったのか、2kmすぎに早くも疲れを感じて脚が重くなり、5kmで完全に止まってしまったのだ。

 「せっかくのトレーニング時間なのに、なんで5kmで挫折しちゃったんだろう…」と我ながら情けなくなり、真鍋コーチにトホホな現状を報告してみた。すると、こんなお返事が。

少し停滞期に入っているようですね。

誰もが通る道でもありますので、焦らずに。

前回8km走れているので、必ずまた走れます。

確かに今まで以上にトレーニングの時間確保が難しくなりますが、ここで嫌だと思ってしまうのが一番良くないので、
あ、今日なら走れそう、くらいの気持ちで取り入れてもらえたらと思います。

走れないことに焦りを感じないようにしてくださいね。

 「必ずまた走れます」

 弱気になったカメ子の心に、コーチの力強い言葉が沁みわたる…。

 そう、焦っても仕方がないのだ(もともとカメなんだし…)。せっかく走ることが楽しくなってきたところで、トレーニングの義務感にとらわれすぎて「楽しい」という気持ちを失ってしまうのはもったいない。走れるときに、走る。走れないときは、補強トレーニングをがんばる。そのシンプルなスタンスで続けて行こう、と気を取り直したカメ子なのだった。

ええい、子どもと一緒に走ってしまえ!

 そうはいっても、この状況を少しでも改善できる工夫があれば、取り組みたい。そこでカメ子が試してみた工夫は2つ。

工夫【1】子どもと一緒に走る!

 週末、家に自分以外の大人がいないときは、子どもたちに長時間留守番させることに抵抗があり、なかなか走りに出ることができない。あーあ、今日はいつ走れるのかな、とついイライラ…。そこで、カメ子は考えた。

 じゃあ、一緒に走っちゃおう!

 子どもたちに提案してみると、体育の授業で持久走を控えた息子は、「走る!」とノリノリ。下の娘も、買ったばかりの自転車で伴走する気満々。ということで、親子3人、約5km先の大きな公園を目指してGO!

 途中、バテてしまった息子のために休憩をとったり、道端の草花にいちいち足を止める娘を待ったりして、自分のペースで走ることはまったくできなかったが、普段とは違うコースを、子どもたちとしゃべりながら一緒に走っていると、新鮮な気分で、イイ感じ!

 到着した公園でランチをして、ひとしきり遊んだ後は、子どもたちはすっかり疲れ果て、徒歩の復路はひたすら長かったが…。

工夫【2】平日の夜、友達と走る!

 こちらは、子どもと一緒に走るのとはまったく逆のパターンだ。休日はなにかと予定が詰まっているため、平日の夜、子守りを確保できた日に、思い切って地元の“ラン友”と走ってみた。

 といっても、近所にライトアップされたランニングコースなどなく、街灯がポツポツとついているだけの遊歩道は、人気がなく、あまり安全とはいえない。ただ、このときは特別。そう、桜が満開だったのだ(時差のある話で恐縮です…)。

 ランニングを同じ時期に始めた地元の友人と、いったんそれぞれの自宅に帰宅後、着替えて待ち合わせ。街灯にほんのりと浮かび上がる桜の下を、ゆっくりと2.5kmほど走って、そのまま行きつけの飲み屋へ直行!

 この「夜桜ラン」(&ビール)は、最高に気持ちが良かった。

仲間、ロケーション、走った後のお楽しみ。3つそろえば最強!(イラスト:やまもと妹子)

桜に誘われ、人生初の10kmラン!

 桜の季節はとにかく走ることに幸せを感じ、アドレナリンが放出されていたようだ。実は、この「夜桜ラン」の数日後、平日にもかかわらず、「青空の下、満開の桜並木を眺めながら走りたい!!」という一心で、普段は絶対にやらない早朝ランに挑戦した。朝の爽やかな空気を吸いながら、咲き誇る桜を眺めながら走ると、あまりの気持ちの良さに、頬はゆるみっぱなし。そして、この日、ついにカメ子は到達したのだ。

 人生初の10kmラン(* ̄∇ ̄*)!

 この日は、体が温まってきた1~2kmくらいから5kmあたりまでは快調で、時計をチラチラ見ることもなく、あっという間に経過。5kmを過ぎた辺りで、一瞬、リタイアの記憶が頭をよぎったものの、1km8分前後のペースを保って順調に走れているし、息も苦しくない。脚も痛くない。「まだ大丈夫!行けるところまで行こう!」とポジティブに切り替え、ランニングとはまったく関係のないことを妄想しながら、走る…。そして、自己最高タイの8kmに、ついに到達! この時点で、走り始めてから1時間5分ほどがすぎていた。

桜のおかげです。

 ん? 疲れてはいるけど、まだ余力があるみたい。これ、10kmいけちゃうかな??

 まだ時間も余力もある、となれば、ここでやめるのはもったいない。「もう、いつリタイアしても、自己ベストだ!」。そう思うと一気に“攻め”の気持ちに切り替わり、結果的に、+2kmを走ることができたのだ。

 10km走り終えた時には、さすがに脚はガクガク。全身ぐったりで、このまま会社を休んでしまおうかと思ったほどだ。それでも、その疲れを上回る達成感と高揚感がたまらない! 自分の人生で、まさか10kmなんていう途方もない距離を、自分の脚で走る日が来るなんて…! ああ、感動。

 この日のタイムは1時間22分09秒。後半は少しペースが落ちたが、平均すると1km8分08秒のペースで走ることができた。カメ子は、この10kmは、まぎれもなく“桜マジック”だと思っている。つくづく、距離を伸ばすにはメンタルの状態が大事なんだな、と感じた初めての10kmランだった。

ヘタレランナーを支える3つのモチベーションとは

 これまで、「3歩進んで2歩下がる」というペースで、壁にぶち当たりながらも地道に続けてきたトレーニング。アクシデントや苦労話は尽きないが、幸いなことに、「やめたい」と思ったことは一度もない。もちろん「仕事だから」という縛りは大きいのだが、それだけでは良好なメンタルは保てない。自分なりに感じている、「走るモチベーション」は、以下の3つだ。

1. 無理のないメソッドで、コーチや仲間と励まし合いながら走るのが楽しい!

 真鍋コーチの「週1ラン+週2回の補強トレーニング」というメソッドが、体力的にも精神的にも、ヘタレな初心者にぴったりなので、無理なく取り組めているのが本当にありがたい。真鍋コーチの絶妙な手綱さばきのおかげで、弱音を吐きつつも適度な緊張感を保ち、楽しんでトレーニングを続けることができている(マンツーマンで指導していただけて、本当に贅沢ですよね…感謝、感謝)。

 加えて、ランニング仲間の存在。基本的に普段の自主トレは1人だが、「いつか一緒にレースに出よう!」という仲間との約束が、先々の楽しみになっている。もちろん、読者の方々からの励ましや冷やかし(!)の声も、心の支えになっています!

2. 確実に体力がついてきているので、維持したい!

 走り始めは、日常生活もままならないほどの全身疲労と筋肉痛に悩み、この企画を決めたドS編集長に殺意を抱くほどだったが、トレーニングを重ねるうちに、だんだんと体が軽くなり、目に見えて体力がついてきた。

 もともと、「毎日疲れているのに運動なんてしたくない!!」と思っていたのだが、実際は、運動をすることで、疲れにくい体に変わってきているのだ。これは、大きな発見だった。筋肉がそれなりについて基礎代謝が上がったせいか、以前よりも太りにくくなってきたのもうれしい。お腹回りもすっきりして(注:あくまでも当社比です)、ジーンズも1サイズ小さくなった(誰も気付いてくれないけど…涙)。これは、維持せねば!

3. 自然を肌で感じて、リフレッシュできる!

 四季の変化を肌で感じながら体を動かすのは、理屈抜きで楽しい。走ると頭の中がすっきりして、ストレスも発散でき、ご飯はおいしく、夜はぐっすり眠れる。やっぱり人間、適度に運動しないとダメなんだよ…と、走り始める前のぐうたらカメ子に小一時間説教したい気分だ。

…ということで、練習時間の確保に苦労しつつも、モチベーション高くがんばった今回の自主トレ記録は、こちら。

第23週から30週までの自主トレ記録
(補強トレーニングは別途、週1~3回)
[画像のクリックで拡大表示]

 自力で10km走れたという自信を胸に、次の指導日に挑みます!(次回は、真鍋コーチによる筋トレ新メニューの紹介〔「夏ランの前に補強トレの新メニューをマスター!」〕と、フォームの徹底チェック〔「8kmラン+スピード走でトレーニングも『夏仕様』」〕をお届けします)

真鍋未央(まなべ みお)さん
ランニングアドバイザー
真鍋未央(まなべ みお)さん

福岡県出身。高校時代、中・長距離の陸上選手として活躍し、卒業後は資生堂ランニングクラブに所属。同クラブ在籍中にマラソンに転向。ベストタイムは2時間55分27秒(2006年1月29日大阪国際女子マラソン)。現在は、ランニングアドバイザーとして女性向けのセミナー、ランニングイベント「miobiRun」を定期的に開催するほか、TVや雑誌など各種メディアで活躍している。公式ブログはこちら
著書『週1回のランニングでマラソンは完走できる!』(池田書店)
(写真:村田わかな)