日経グッデイ

走り亀 ~ヘタレランナー フルマラソンへの道~

ヘタレでも完走できそうなフルマラソン大会を探そう

第14回 カメ子、ついに最終ゴール設定へ

 カメ子=日経Gooday

 記念すべき初レースを無事完走した、ヘタレランナー・カメ子。ランナーとしての自覚も芽生え(?)、勢いがついたところで、いよいよ「ゴール設定」が現実味を帯びてきた。そう、カメ子の最終目標は、「フルマラソン完走」。いつ、どの大会に出場すればいいのか? 右も左も分からない初心者ランナーが、大会選びのイロハを真鍋コーチに聞いてみた。

 初レースを無事完走して(詳しくは前回記事「暴走?迷走? まさかの“ぼっち参戦”で初レースに挑んだ結果」)、一息ついたカメ子。ランナーのはしくれとして、トレーニングにも弾みをつけたいところだが、同時に、そろそろ検討しなければならない課題があった。そう、「ゴール設定」だ。

 連載タイトルにもある通り、カメ子の最終目標は「フルマラソン完走」(ついつい忘れてしまう…いや、わざと忘れようとしているが…)。42.195kmという、3kmの約14倍(ひえ~)、5kmの約8.5倍(ひええ~)の距離を走らなければ、この企画のゴールとみなされないのだ。

 最終ゴールを設定するということは、退路を断つということ。まだやっとトレーニングで5kmに到達したばかりのカメ子としては、もう少し走力をつけて、ある程度(せめてハーフマラソンを完走できる程度)の自信がついた段階でフルマラソンにエントリーしたいと考えていた。でも、そうは問屋が卸さない。

 「最近はランニングブームで、大規模な大会は半年くらい前にエントリーが始まり、あっという間に埋まってしまうんですよ。人気のある大会は抽選の倍率も高くて、プラチナチケットのようになっている大会も少なくないんです。カメ子さんもそろそろ、大会選びを始めましょう」(真鍋コーチ)

 なんと!!

 そんな先の予定を早々と立てなければならないのか。ううっ、ランニングブーム、恐るべし。であれば、とりあえず、大会をリサーチしなければ。

初心者におすすめは制限時間6時間以上でフラットなコース

 真鍋コーチによると、初心者が完走しやすいフルマラソン大会の条件は


  1. 制限タイムが長いこと(6時間以上)

  2. コースの高低差が少ないこと

  3. 暑すぎず、寒すぎないこと(春や秋の大会がベスト)

…の3つ。それぞれについて、詳しく話を聞いてみた。

制限タイムが長いこと

 カメ子がフルマラソン完走のために目指しているペースは、8分~8分30秒/km。仮に8分で完走したとすると、所要時間は5時間36分ほどだ。8分30秒の場合は、ほぼ6時間ジャストとなる。途中、ペースが落ちたり歩いてしまったりする可能性も考えると、制限タイムは6時間以上あった方が安心だ。

 ちなみに、かの有名なホノルルマラソンは、「制限タイムなし」という初心者ランナーにとって夢のような太っ腹の大会だ(恐らく、国内で制限タイムのないフルマラソン大会はないのではないだろうか)。カメ子もあわよくばホノルルの空の下、感動のゴールを迎えたかったのだが、「行ってもいいよ、自腹なら」(ドS編集長)とのことで、あえなく却下…(泣)。

高低差があまりないこと

 大会によっては、かなりの高低差があるコースが設定されていることもある。たとえ歩いているときはほとんど気にならないゆるやかな上り坂であっても、走るとものすごくつらい。下りは下りで脚に負担がかかり、自然とペースが上がるため、その後のペースダウンにつながりがちだ。

 限界ギリギリの力で走る初マラソンでは、体力の消耗を防ぐために、アップダウンは少ないに越したことはない。「フラットなコースといわれているつくばマラソンが高低差10mちょっと。同じく東京マラソンが15mほどですので、初心者には高低差が15mほどに収まるコースが理想ではないかと思います」(真鍋コーチ)。

暑すぎず、寒すぎないこと

 マラソン大会にベストの季節は、秋か春。「真冬はインフルエンザなどで体調管理が難しいこと、また年末年始などの行事があり、なかなか大会準備ができないことも考えられます。一方、真夏は体力を激しく消耗し、通常よりもトレーニング量が落ちてしまいますし、熱中症のリスクも高まります」(真鍋コーチ)。

 さらに、秋といっても、涼しくなってすぐに開催される大会は避けた方がいいのだそうだ。「初秋の大会に出る場合、真夏になかなか長距離を走り込めないため、準備不足で本番を迎えることになりがちです。地域にもよりますが、初マラソンで秋の大会に出る場合は、9月中は避けて、10月後半から12月末くらいまでの期間がお薦めです」(真鍋コーチ)。

 一方、春の場合は、3月から5月にかけての期間がベスト。「6月に入ってしまうと、関東以南の地域では既にフルマラソンには過酷な気温となりますので、初心者は避けた方が無難です」(真鍋コーチ)。

 大会前のトレーニングのしやすさも考慮に入れなければならないので、意外に時期の制約は大きいことを知る。そうだったのか…。

閑散としたコースは心が折れる 周回コースも避けよう

 これらの条件に加えて、大会選びにはモチベーションを保つための要素も重要なのだそう。「参加ランナーの数が多く、地元密着で沿道の応援がある大会を選ぶといいですよ。フルマラソンはメンタルの良し悪しが結果を大きく左右します。見知らぬ人に声をかけてもらうと、それだけで力がわいてきますし、逆に、誰もいない閑散としたコースを走っていると、孤独で心が折れそうになります」と真鍋コーチ。

 さらに「周回コースでない大会を選びましょう。周回コースはペース管理がしやすく、リタイアしてしまった場合にスタート地点に戻りやすいという利点がありますが、半面、単調でレースの楽しさを味わいにくく、あと〇周もあるのか、とカウントすることで気が滅入りがちです」(真鍋コーチ)。

真鍋コーチと一緒ならがんばれるはず!(写真:村田わかな)

ヘタレランナーが選ぶマラソン大会のワガママ条件とは…

 以上のアドバイスを勘案して、カメ子の初フルマラソンは、以下の条件を満たす大会の中から選ぶことにした。

 「制限時間が6時間以上で、周回ではない平坦なコースで、大会規模が大きく、できるだけ涼しく快適な時期(今年の10月~12月、または来年3月~5月)に開催される大会。できれば、アクセスが良く変化に富んだ景色を楽しめて、さらに言えばエイドや参加賞が充実している大会」

 …ってかなり、ワガママ放題じゃ…?!∑(; ̄□ ̄A

 実際、いざ大会をサーチしてみると、帯に短し襷(たすき)に長し。「景色を楽しめそう!」と思って食いついたらアップダウンが激しかったり、「平坦で走りやすそう!」と期待したのに制限時間が短かったり。はたまた海沿いのコースでロケーションは最高に見えても、「風が強くてつらかった」との口コミが多くて腰が引けたり…。ヘタレランナーのワガママな条件を満たす大会は、そう簡単には見つからない。

 フルマラソンは街中を走り抜けるイメージがあったが、意外に公園内などの周回コースが多いことにも驚いた。恐らく、その方が大会を運営しやすいのだろう。だが、せっかくフルマラソンに挑戦するのだから、街中を華々しく走り抜けてレースの醍醐味を味わいたい!

 これでもない、あれでもない…としばらくネットサーフィンに没頭し、最終的に、条件を完璧には満たしていないものの、「これならがんばれるかも」と思う大会が2~3件見つかった。だが、初心者にやさしい大会は、当然、人気も高い。まずはエントリーしてみて、運を天に任せるほかないようだ。

フルマラソンから逆算して2カ月以内にハーフマラソンに出場しよう

 実際にフルマラソン大会のエントリーが決定したら、そこから逆算して、トレーニングの予定を立てていく。真鍋コーチから、おおまかな流れを示してもらった(準備期から調整期までの全体の流れは過去記事「目標は『速く走ること』ではなく『楽に走ること』」参照)。


  1. フルマラソンの2~3週間前に、練習で20~25kmの最終ロング走を行う。この後は調整期に入り、ロング走は行わない(5~10kmを週1~2回の練習にとどめる)

  2. 最終ロング走の1カ月ほど前にハーフマラソンに出場する

 仮に、11月末のレースに出ることになったら、11月上旬に最終ロング走、10月上旬にハーフマラソン出場、というスケジュールになる。これがもし10月末のレースだったら、最終ロング走が10月上旬、ハーフマラソンが9月上旬となり、真夏のトレーニングがきつくなりそうだ。

 「レース経験を積むため、ハーフの前に10kmレースに出場してもいいでしょう。注意したいのは、ハーフマラソンとフルマラソンの間を空けすぎないこと。ハーフを走ったら1カ月半から2カ月以内にフルを走るよう、スケジュールを組んでいきましょう」(真鍋コーチ)

 ということで、カメ子、秋になったらハーフに出場(時期はフルマラソンが決定次第決定)という方針の下、とりあえず、トレーニングのペースが落ちる真夏を迎える前に、10kmのレースに挑戦してみたいと思います!(次回「インフルエンザ、ペース配分失敗…近くて遠い「8kmラン」」に続く)

真鍋未央(まなべ みお)さん
ランニングアドバイザー
真鍋未央(まなべ みお)さん

福岡県出身。高校時代、中・長距離の陸上選手として活躍し、卒業後は資生堂ランニングクラブに所属。同クラブ在籍中にマラソンに転向。ベストタイムは2時間55分27秒(2006年1月29日大阪国際女子マラソン)。現在は、ランニングアドバイザーとして女性向けのセミナー、ランニングイベント「miobiRun」を定期的に開催するほか、TVや雑誌など各種メディアで活躍している。公式ブログはこちら
著書『週1回のランニングでマラソンは完走できる!』(池田書店)
(写真:村田わかな)