「ここからフィニッシュまでは練習で走りましたよね。あの時は本当に寒かったし、膝も痛くてつらかったですね」(真鍋コーチ)
そう言われて、あの時の情けない気持ちを思い出し、ちょっと泣けてくる(詳しくは「東京マラソン目前、膝が痛い、距離が伸びない」)。あの時は膝が痛くて、走れなくて、泣きたかった。でも今日は違う。5時間半かけて、35kmの道のりを走ってきたんだ。えらいぞ、私。がんばってるぞ、私。
「カメ子さん、皆、歩いているのに走っているじゃないですか。えらい…」(真鍋コーチ)
コーチが振り向いて、つぶやく。はい、ただし歩いているのと同じ速さですが…。それでも、走れる限りは走っていなければ、という思いがあった。
38km、豊洲に到着。ここにも友人・家族が最後の応援に来てくれた。ここまで来ると、気持ちもだいぶ強気になり、「ありがとう! 絶対ゴールするから!」と宣言する。
フィニッシュゲートが見えた!
40km。遠くに東京ビッグサイトが見えてきた。本当にあと一息だ。もはやほとんど動かない脚を引きずるように進む。最後の橋を渡るころには、急速に気温が下がり、風も強くなり、どんどん体温を奪っていった。レースを終えて家路につくランナーたちの行列と逆方向を目指して、ただただ、進む。
そして、最後のコーナーを曲がると…
ついに、憧れのフィニッシュゲートが視界に飛び込んできた。
「おおーっ、ついに終わるぞ」(ドS元編集長)
「終わっちゃう!」(真鍋コーチ)
長い長い42.195kmの先に待っていたゴール。それは、この連載のゴールでもあった。準備運動で筋肉痛になり、5分走っただけで息切れしていた1年半前。そんなヘタレな初心者を、いつでも笑顔で、決して追い立てることなく、親身になって指導してくださった真鍋コーチとの二人三脚も、もうすぐ終わってしまう。
なんだろう、この気持ち。うれしいのに、寂しい。
そんな感情に戸惑いながら、スローモーションのように近づいてくるフィニッシュゲートを見つめる。
そして最後は、コーチと手を取り合ってゴール!!
タイムは6時間39分35秒、ネットタイムは6時間24分15秒。
総合順位は、3万4677人中3万3355位。マラソン女子7572人中7153位。
終わったあああああああああ。・゜・(/Д`)・゜・。
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