「走る時間を10分延ばす」ことの難しさを、これまでイヤというほど痛感してきただけに、1回の挑戦で10分(距離にして1.2km)も延長し、走行距離5kmをクリアしたことには我ながら驚いた。5kmって、ランナーっぽくってかっこいい~!
「すごいじゃないですか! この調子なら、初レースは完走できますね!」(真鍋コーチ)
そう、実はこの時点で、初めてのレースが約1週間後に迫っていた。エントリーしたのは、3kmのレース。真鍋コーチに「完走間違いなし」の太鼓判を押してもらったものの、初めての参戦なので、勝手がまったく分からない。日が近づくにつれて、緊張はどんどん高まっていく。
皆、きっと速いんだろうな~。こんなゆっくりペースだとビリになっちゃうかも。当日、寒くないかな? 腰や股関節が痛くならないといいな。そういえばゼッケンとICチップが届いていたっけ。忘れないようにしないと…。
そんな風にあれこれと思いを巡らせながら、前日を迎えたのだが…。
レース前日、コーチが発熱でダウン!
「実は今朝から熱を出してしまいました。嘔吐もひどく、状態によっては明日、並走できないかもしれません…!」
真鍋コーチからそんな連絡が飛び込んできたのは、レース前日の午後だった。
え、え、えーっ!! まさか、このタイミングで…!?
「明日の体調をみて、会場には行きます」とコーチは言ってくれているが、いくらなんでもつらいはずだ。底冷えするレース会場に引っ張り出して、無理をさせるわけにはいかない。
「無理せず休んでいてください! こちらは、大丈夫です!」
そう大見得を切ったものの…。
真鍋コーチが並走してくれる、ということが大きな心の支えになっていたカメ。たった1人で、百戦錬磨の(?)ランナーたちに混じって、こんなヘタレが果たして走り切れるのだろうか?
どうしよう、どうしよう…。
急転直下、奈落の底に突き落されてしまったカメ子。不安と緊張で、その夜はよく眠れず、2時間おきに目が覚めてしまった。初めてのレースがまさかの“ぼっち参戦”になるなんて…。果たして、無事に完走できるのだろうか…?!(次回に続く)
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