難しい給水、落ち着いて、落ち着いて…
東京マラソンの給水所は、5km地点から始まり、5km以内に2カ所の間隔で用意されている。うち1カ所はスポーツドリンクがなく、水のみなので、筋肉疲労を軽減するために、顆粒タイプのアミノ酸サプリを持参し、水に溶かして飲んだ。給水所のテーブルの列は長く、常に行き交うランナーで混雑しているため、時にはぶつかったり、コーチとはぐれたり、なかなかスムーズにいかない。
「ランナーは手前のテーブルに殺到しがちなので、あわてずに奥のテーブルまで走ってから取った方がいいですよ」と真鍋コーチ。給水のテクニックって奥深い…。
それでも、「カップをゴミ箱に投げ入れるの、上手になりましたね。落ち着いて狙いを定めてますね(笑)」(真鍋コーチ)と褒められ、ちょっとうれしいカメ子。
コース途中にランナー用のトイレはたくさん設置されていたが、どこも大行列。並び始めたら10分、15分はかかってしまいそうだ。ここで時間を無駄にしたくないので、トイレに行きたくなりませんように、と祈りながら走る。途中、ドS元編集長がトイレに消えたが、その間、待つことなく進む(←荷物を持ってもらっておいて、われながらひどい…)。
案の定、はぐれてしまったが、なんとか合流し、3人そろって内幸町交差点の20km関門(20.4km)を通過!
時刻は12時00分52秒(制限時間は12時31分)。スタートからのタイムは、ネットで2時間35分32秒。直近5kmのラップは41分16秒、ペースは8分15秒/km。ペースは落ちてきたが、ここまで来られただけで信じられない思いだ。
見知らぬ人からチョコを差し出される
銀座の手前、21km地点にさしかかると、脚が重くなってきた。さすがに疲れたな…。みるみるペースが落ち、真鍋コーチに「ちょっと歩きましょうか?」と声を掛けられる。

少し歩いていると、沿道から「みおさーん!」の声。見ると、先ほどとは別の生徒さんが、真鍋コーチとカメ子のための応援うちわを持って立っていたのだ!
うれしい…。
歩いているところを目撃されたのはちょっと恥ずかしかったが、温かい応援に感激し、思わずその方とハグ。
さらに、その先で、ガードレールを使って脚をストレッチしていたら、すぐ脇に立っていた女性がじっとカメ子を見て、
「…食べる?」
と、小さな容器に入ったチョコレートを差し出してくれた。
それを見て、「食べます!!」と即答するカメ子。
すると、その勢いを見た隣の男性(おそらくその女性とは関係のない方)も「これも持っていきます?」と別のチョコをカバンの中から出してくれた。
「ありがとうございます!」
とこれまた即答して受け取るカメ子。
「お前、子どもか(笑)。普通、少しは遠慮して『いいんですか?』とか言うだろう。こういうときに人間の本性が出るんだよな~」
と、ドS元編集長から軽くジャブが飛んでくるが、気にしない。
ありがたい。人の温かさが身に染みる…。なんていい大会なんだろう。いただいたチョコを頬張り、思わず声が出た。
「っしゃー、行くぞ銀座!!」
再び走り出し、銀座を目指すカメ子。だが、レース後半は、経験したことのない苦難がカメ子を待っていた…(後編「ヘタレランナー・カメ子、42.195kmを走り切る」に続く)。
地点名 | グロスタイム(ネットタイム) | ラップ | 通過時刻 |
5km | 00:52:08(0:36:48) | 0:36:48 | 10時02分08秒 |
10km | 01:30:32(1:15:12) | 0:38:24 | 10時40分32秒 |
15km | 02:09:36(1:54:16) | 0:39:04 | 11時19分36秒 |
20km | 02:50:52(2:35:32) | 0:41:16 | 12時00分52秒 |
(協力:ダンスキン〔カメ子着用:Non Stress ジャケット 9000円、Non Stress Tシャツ 5000円、ショートパンツ 6000円、以上すべて税別〕、大塚製薬)
ランニングアドバイザー

福岡県出身。高校時代、中・長距離の陸上選手として活躍し、卒業後は資生堂ランニングクラブに所属。同クラブ在籍中にマラソンに転向。ベストタイムは2時間55分27秒(2006年1月29日大阪国際女子マラソン)。

著書に『キレイになるランニング』(青春出版社)、『週1回のランニングでマラソンは完走できる!』(池田書店)。公式ブログはこちら。