日経グッデイ

走り亀 ~ヘタレランナー フルマラソンへの道~

ヘタレランナー・カメ子、ついに「30分」走る!

第11回 最後はウインドスプリントでフィニッシュ

 カメ子=日経Gooday

「フルマラソン完走」という、地平線のはるか彼方の目標を目指し、なんとか「25分連続で走る」ところまでたどりついた、アラフォーヘタレランナー・カメ子。自主トレ期間中に出現した股関節痛も治まり、ちょっぴり自信をつけて、第3回の指導日を迎えます!

 長い長い助走期間を経て、ようやく「25分連続で走る」ところまで到達したカメ子(詳しくは前回記事「走るのが楽しい、なのにドクターストップ?!」参照)。真鍋未央コーチの指導日は、いつも緊張して腰が引けていたのだが、今日はちょっと違う。コーチに見てほしい、25分も走れるようになったカメ子の勇姿を!

◆本日のメニュー

1)ウォームアップ(体操、ストレッチ:股関節ストレッチ新メニュー)
2)ラン(30分)+ウインドスプリント

 「25分も走れるようになったなんて、すごいじゃないですか! がんばりましたね。では今日は、30分を目標に、走れるところまで走ってみましょう」(真鍋コーチ)

 「はい!(≧▽≦)」

 開口一番、お褒めの言葉をいただき、テンションが上がるカメ子。自主トレで25分走れたのだから、あと5分ならなんとかなるはず…そう信じて、早速ウォームアップを始めた。すると…

 「あ!」(真鍋コーチ)

 「あ!」(カメラマンM氏)

 「?」(カメ)

 「カメ子さん、前よりも柔らかくなってますよ!」(カメラマンM氏)

 なんと。自分ではあまり感じていなかったのだが、明らかに、最初のころよりも体が柔らかくなっているようなのだ。

 「確かに、進化してる…」。そう言ってニヤリとする真鍋コーチ。

 本当ですか? いや~~~ん、うれしい!!!

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カメ子のストレッチを観察する真鍋コーチ。柔らかくなったといっても、進化の度合いはあくまでも“当社比”です。

【新メニュー】お尻と股関節のストレッチ

 この日は、ストレッチの新メニューとして、お尻と股関節まわりを伸ばすストレッチを紹介してもらった。

 まず、地面に腰をおろし、右足の膝を軽く立てる。次に、左足の足首を右足の膝の上に乗せる。この状態で、背筋を伸ばしながら、脚をゆっくり上体に引き寄せていく。お尻から脚の付け根にかけての筋肉を伸ばすイメージでやってみよう。これを、反対側の脚でも行う。

お尻と股関節のストレッチ
(1)地面に腰をおろし、右足の膝を立てる。次に、左足の足首を右足の膝の上に乗せる。(2)脚をゆっくり上体に引きつけていく。お尻から脚の付け根にかけての筋肉が伸びる。(3)正面からみたところ。これを、反対側の脚でも行う。
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 実際にやってみると、股関節が硬いカメ子は、まず足首を反対の脚に乗せるのに一苦労。乗せた脚を引きつけていくと、上体が後ろに反ってしまい、あやうくひっくり返りそうに。ううっ… せっかく柔らかくなったとほめてもらったばかりなのに、やはり股関節の硬さは健在のようだ。

 「足首をなかなか乗せられないときは、立てている方の脚の高さを低くしても大丈夫ですよ。自分のレベルに合わせて高さの調整をしましょう」(真鍋コーチ)

股関節が硬く、脚を折りたためない…。

ウォークなしでいきなりランニング

 ウォームアップも終了し、いよいよランニングに移る。

 「今日は、いつものようなウォーキングとの組み合わせではなく、最初から走りましょう」(真鍋コーチ)

 おおーっ、なんだかようやくランニング企画っぽいメニューになってきた~! そんなうれしさと緊張感の入り混じった気持ちで、いざ、ランニングコースへ。今日は真鍋コーチと一緒なので心強い。30分、走り続けられるかどうかは分からないけれど、行けるところまで、行ってみようじゃないか。

 公園内のランニングコースをぐるっと一回りすると、およそ1.2km。いつものジョギングペース(=1kmあたり8分~8分30秒)で走るので、30分だと3.5~3.75km走ることになる。つまり、3周半くらい。

 自主トレでは1人で音楽を聴きながら走っているが、今日はコーチという話し相手がいるので、かなり気が紛れる。走りながら、相談をしたり、アドバイスをもらえたりもする。企画開始当初は、「仕事で走らされるなんて地獄だ」と思っていたのに、今ではすっかり「仕事で走れるなんて贅沢だなあ」と思っている私。走るってけっこう楽しい!

少しは走る姿も板についてきた…?
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残り10分でヘタレモードが…

 「腰がちょっと落ちちゃっていますね。上から引っ張られるようなイメージで走ってみてください」

 「肘をしっかり引いて、腕を大きく振れているのはいいんですが、最初、ちょっと意識しすぎて硬くなっちゃっていますね。走っているうちに体が温まると、いい感じに力が抜けるんですけど」

 「走りながら自分の影を見ると、フォームがよくわかりますよ。上体が左右に揺れていないか、腕は振れているかなど、チェックしてみてください」

 真鍋コーチからそんなアドバイスをもらいながら、いつものゆっくりペースで順調に走る。だが、さすがに2周を過ぎた辺りから、だんだん疲れを感じるようなってきた。

 「コーチ、ちょっと疲れてきました~。あと何分ですか?」(カメ子)

 「あと10分くらいですよ」(真鍋コーチ)

 「10分…。そっか。まだ3分の1もあるのか…orz」(カメ子)

 すっかりヘタレモードに入ってきたカメ子に、真鍋コーチは言う。

 「あまりガチガチに、あと何分だとか、ペースがどうだとかは、考えない方が楽ですよ~。それよりも、『今日の夕飯は何を食べようかな』とか、『夏休みにはどこに行こうかな』とか、ランニングとは全然関係ないことを考えていた方が、距離が伸びたりします」

 「確かに、あと何分かな、と思って、残り時間が意外に長かったりすると凹みますよね…今みたいに」

 「そうそう。あまり逆算せずに、行けるところまで行こう、という気持ちでいいんです。無理ならやめればいいんですから。距離が伸びる・伸びないには、メンタルな部分の影響がものすごく大きいんです。こうやっておしゃべりできているカメさんは、まだ体力に余裕があるということです。大丈夫ですよ!」

最後にウインドスプリントに挑戦

 そんなコーチの言葉に励まされ、気を取り直して走るカメ。口数は徐々に減るが、息が切れるほどでもない。「そろそろだめかも」と感じる、限界のちょっと手前くらいの状態が、意外にキープできている。そのまま淡々と走り続けていくうちに、気づけばラスト数分になった。もうすぐだ。すると、真鍋コーチは言った。

 「最後に、ウインドスプリントをやってみしょうか。全力疾走の8割くらいのスピードで、100mくらい走ってみましょう!」

 「えっ?!」

 ウインドスプリントって何? という説明は後回しにするとして、最後の最後に、ダッシュですと?! もうヘトヘトで、そんな力は残ってないです~! 涙目になりつつも、これを走り切れば終わると思えば、やるしかない。最後の力を振り絞り、ぐおーっと疾走して、無事、30分ラン、終了です!

ぬおおおおーーーっ
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ついに30分、完走!

 無事に30分、走り切ったカメ子を、カメラマンのM氏が興奮気味に迎えてくれた。

 「びっくりしました! カメ子さん、すごくないですか?! 30分も走っちゃいましたよ? だって、1カ月前はアレですよ? 10分がやっとでしたよ? 最初のトレーニングのときなんて、10分歩いて5分走る、ですよ?」

 そうなのだ。この企画で最初からずっと撮影を担当してくれていたM氏は、カメ子のヘタレっぷりをつぶさに見てきたのだ。そんなM氏に目を丸くして驚かれると、うれしさがこみ上げてくる。

 「いや~、本当に走れるようになるものなんですね!」

 M氏の感想は、まさにカメ子の感想そのものだった。30分って、遠い昔、イヤでイヤでたまらなかった、体育のマラソン大会並みの長さではないか? それを、こんなに楽しくできるなんて。信じられない。

 「がんばりましたね! もう、自主トレでもウォークはやらなくていいですよ。最初からランで。目標はあまりぎちぎちに決めず、20~30分の間でやってみてください」

 キタ―――(゜∀゜)―――!!

 苦節3カ月弱。ついについに、準備期=「30分無理なくジョギングを続けられるようになるまでの期間」を卒業し、めでたくレベルアップ期に突入です!!!(トレーニングの3つの期間についてはバックナンバーを参照)。

ウインドスプリントはフォームを整えるのに役立つ

 最後に、ウインドスプリントについて、少し解説しよう。

 カメ子は初め、この陸上部っぽいトレーニングを、心肺機能を高めるためにやるのかと思ってしまった。だが、そうではないらしい。

 真鍋コーチの著書『週1回のランニングでマラソンは完走できる!』によると、ウインドスプリント(Wind Sprint)とは、80~100mほどの距離を、全力の80%くらいのスピードで軽快に走るトレーニング。全力でがんばるのではなく、少し余裕のあるスピードで、体をリラックスさせて、風(=Wind)のように走る。

 ウインドスプリントは、スタートからゴールまで一定のペースで走るマラソレース中に使うことはない。だが、普段のトレーニングに取り入れることで、力みのない、効率のよい走りを身につけるのに役立つのだという。

 「ゆっくりのペースで長い時間走っていると、どうしてもフォームが崩れて、だんだん小さい走りになってきてしまいます。そのまま走っていると、スピードの出にくいフォームが身についてしまうので、ウインドスプリントを入れて、いったん大きな動作で体をリラックスさせてやるんです。トレーニングの最後にウインドスプリントを行うと、本来の正しいフォームに整えて終わることができますし、ジョギングの途中に2~3本取り入れても良い刺激を与えることができます」(真鍋コーチ)

 なるほど。疲れているときにさらにスピードを上げて100m走ったら、よけいに疲れるような気がするが、実際にやってみると、長く走っていてダレてきたところで、体を大きく動かすことが、意外にも爽快で気持ちが良かった…ような気がする。これから走る距離が伸びていくので、自主トレ中にも取り入れてみよう。

 「一度ランニングを終えた後に、水分をとってから、ウィンドスプリントを行うことも可能です。くれぐれも無理のないようにトレーニングに取り入れてくださいね」(真鍋コーチ)

 ということで、30分の壁を突破したカメ子。ついに、フルマラソンが視界に入ってきました…!(←それはない)

 次回(「初レース参加直前、思わぬアクシデントが」)に続く。

クールダウンも忘れずに!
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(写真:村田わかな)

(衣裳協力:ダンスキン〔真鍋さん着用:フーディジャケット 7900円、ロングレングスロングスリーブ 4900円、アンクルタイツ 5600円/カメ子着用: ジャケット 8300円、NON STRESSロングスリーブ 4900円、ショートパンツ 6300円、NON STRESSタイツ 5900円、以上すべて税別〕)

真鍋未央(まなべ みお)さん
ランニングアドバイザー
真鍋未央(まなべ みお)さん

福岡県出身。高校時代、中・長距離の陸上選手として活躍し、卒業後は資生堂ランニングクラブに所属。同クラブ在籍中にマラソンに転向。ベストタイムは2時間55分27秒(2006年1月29日大阪国際女子マラソン)。現在は、ランニングアドバイザーとして女性向けのセミナー、ランニングイベント「miobiRun」を定期的に開催するほか、TVや雑誌など各種メディアで活躍している。公式ブログはこちら
著書『週1回のランニングでマラソンは完走できる!』(池田書店)
(写真:村田わかな)