日経グッデイ

走り亀 ~ヘタレランナー フルマラソンへの道~

カメ、初めて「10分」連続で走る!

第9回 ようやく進歩を実感してやる気倍増! …あの人が来るまでは…

 カメ子=日経Gooday

「フルマラソン完走」という、地平線のはるか彼方の目標を目指し、自主トレを開始して5週間。基本的なメニューはこなしたものの、まったくレベルアップができないまま次の指導日を迎えてしまったカメ。本当なら、ドヤ顔で進歩した姿を真鍋コーチに見せたかったのだが…。

 気合い十分で地元ランナー(ウォーカー?)の仲間入りをして、はや5週間。その間、「週1回のウォーク&ラン+週2~3回の補強トレーニング」を重ねながら、ついつい自己流でレベルアップを試みては跳ね返される、というジタバタを繰り返してきた(「自主トレ開始、強気のレベルアップで痛い目に遭う」)。で、まったくレベルアップができないまま、次の指導日がやってきてしまった。

 「こんにちは~! 今日もがんばりましょう!」

 さわやかな笑顔で登場した真鍋未央コーチに、ちょっと後ろめたい気持ちを抱きつつ、本日の練習スタートです!

◆本日のメニュー

1)ウォームアップ(体操、ストレッチ)
2)ウォームアップ(動きづくり:股関節3メニュー)
3)補強トレ新メニュー(だるま腹筋)
4)ウォーク&ラン(10分ウォーク、5分ラン、5分ウォーク、10分ラン、10分ウォーク)

 まずは、前回と同じようにウォームアップから(ウォームアップの実際は「ランニング初日、いきなり準備体操で力尽きる」参照)。相変わらず体は硬いが、毎週やっているだけに、少しだけ体が一連の動作に慣れてきたような感じがする。体操とストレッチで体をほぐすと、真鍋コーチが、新しいメニューを紹介してくれた。

 「今日は、走る前の動きづくりをやってみましょう」

 動きづくりとは、走るときの体の動かし方を覚えるためのもの。走る動作で大切な股関節と肩甲骨の動きがスムーズになり、正しいフォームを身につけるのにも役立つ。特に、長い距離を走る前には、体操、ストレッチの次に必ずやっておきたいウォームアップだ。

 今回、真鍋コーチに教わったのは、股関節の動きづくりだ。

動きづくり【1】 股関節回し(後ろから前へ)

 まず、両足をそろえて立つ。手の位置は自由で、腰に当てても、水平に広げてもいい。次に、片足を軽く後ろに引き、体の横にある小さなハードルを越えるようなイメージで足を外側からぐるっと回して体の正面まで持ってくる。このとき、お尻の筋肉を使って、膝をしっかり持ち上げ、股関節の付け根からしっかりと脚を回すようにしよう。これを5~10回繰り返し、反対側の脚でも行う。

股関節回し(後ろから前へ)
(1)両足をそろえて立つ。(2)片足を軽く後ろに引き、(3)(4)体の横にある小さなハードルを越えるようなイメージで足を外側からぐるっと回し、(5)膝の高さを変えずに体の正面まで持ってくる。(6)そのまままっすぐ着地する。これを5~10回繰り返し、反対側の足でも行う。
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動きづくり【2】 股関節回し(前から後ろへ)

 次は、股関節を前から後ろに回す動きだ。こちらも手の位置は自由。両足をそろえて立ち、股関節を曲げて片足の膝をまっすぐ正面に上げる。膝の高さをキープしたまま、脚を横からぐるっと後ろに回す。脚が後ろまで回ったら、着地せずにもう一回膝を体の正面に引き上げて、着地する。これで1回の動作だ。これも、左右の脚で5~10回ずつ行う。

股関節回し(前から後ろへ)
(1)両足をそろえて立つ。(2)片脚を股関節からしっかり曲げて正面に引き上げ(3)膝の高さを変えないように横に回し(4)後ろまで持っていく。(5)後ろからもう一度膝を正面に引き上げて(6)着地する。これを片脚ずつ5~10回行う。
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 早速やってみたが、カメの股関節、案の定ガチガチです…。特に真横から後ろにかけての可動域が狭く、パキパキ音を立てて、うまく回らない。重心も安定せず、グラグラ…。

 「普段、歩くときに股関節を意識することはほとんどないですよね。でも、ランニングでは、股関節をスムーズに動かすことが、安定したフォーム作りのためにとても重要なんです。股関節からしっかり脚を持ち上げるように意識してやってみてくださいね」と真鍋コーチ。

四股踏みに見えなくもない?!カメの股関節回し。
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動きづくり【3】 股関節ほぐし

 股関節の動きをさらにスムーズにするために、もう一つの動きづくりを教わった。こちらは、足元に置いてある空き缶をよけるようなイメージで、股関節から脚を引き上げて右から左、左から右へと動かす。その際、足の裏は地面に平行にして、着地はせずに地面の少し上で寸止めを繰り返す。5~10往復したら、脚を代えて同様に繰り返す。

 「おへそとお尻は動かさないように固定して、体が頭の上の方に引っ張られているような感覚でバランスを保ちましょう」(真鍋コーチ)

股関節ほぐし
(1)片足を股関節から引き上げる。(2)足元に空き缶やティッシュ箱が置いてあるイメージで、それをよけるように脚を左に下ろす。(3)着地はせずに再び持ち上げ(4)右に下ろす。5~10往復したら、もう片方の脚でも行う。足の裏は常に地面に平行になるように気を付けよう。
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相手の脚をよけながら、股関節をしっかり曲げて右へ、左へ。疲れるとだんだん脚が上がらなくなってくる。脚を差し出す側の役目も、地味ながらつらい…。

 もし、2人いるときは、片方の人が足を出してあげて、もう片方の人がその足を越えるようにして上げ下げすると、よりやりやすくなり、またお互いにトレーニングにもなるという。そこで実際に、真鍋コーチと2人組でやってみた。

 着地をせずに、寸止めで、1、2、1、2…。こ、これは…つらい!

 「コーチ、これ、完全に筋トレですよね?」

 「違います(笑)」

 なんだか同じような会話を前回も交わした気がするが、言わずにはいられない。だって、筋肉がプルプルするんだもの!

 以上で、股関節の動きづくりは終了だ。つ、疲れた…。またしても、ウォームアップで力尽きそうだ…。

いつもの補強トレーニングに飽きたら、「だるま腹筋」に挑戦!

 週2回の補強トレーニングとして、本連載では6つのメニューを紹介している(「実践!筋肉プルプル10分トレーニング」)。このうち3つを選んで週に2~3回行うのが基本だが、「やっているうちに、同じメニューでは飽きてしまう人もいると思います。そんな人のために、別のメニューをご紹介しましょう」と真鍋コーチ。

 こちらは、腹筋のアレンジ版。両足を曲げて「体育座り」の姿勢になり、両手で膝を抱えたまま後ろに倒れ、背中がついたら、再びゆっくり起き上がって基本姿勢に戻る。これを連続で30回繰り返す。

だるま腹筋1 回数:30回
(1)体育座りの姿勢から(2)膝を抱えたまま後ろに倒れ(3)背中全体が地面についたら(4)ゆっくり起き上がる。これを30回繰り返す。
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 「割と簡単かと思いきや、やっているうちに体が持ち上がらなくなってくる人もいるんですよ」と真鍋コーチ。

 カメ、試しにやってみたところ、これは(珍しく)楽勝!

 「おっ カメさん、できますね。でしたら、こちらもやってみてください」

 先ほどの腹筋の(3)の状態から起き上がり、足が地面につく手前の状態で止まり、そのまま両足を前へ、上体は後ろへ伸ばし、もとの体勢に戻る。足は地面につけずに、再び後ろに倒れて、この動作を繰り返す。5~10回×2セットが基本となるが、「回数よりも形重視でやってみましょう」(真鍋コーチ)。

だるま腹筋2 回数:5~10回×2セット 
(3)後ろに倒れ、(4)起き上がりながら地面に足をつく手前で止まり、(5)そのまま両足を前へ、上体を後ろへ伸ばし、(6)もとの体勢に戻る。足は地面につけずに、再び後ろに倒れて(3)~(6)を繰り返す。5~10回×2セット。
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 ぬおおっ これは、かなり難易度が高い! 真鍋コーチのお手本を見ていると、まるでブートキャンプのような体のキレと力強さに惚れ惚れてしまう。腹筋運動は比較的得意なカメも、これは2~3回であえなく挫折…。

 だがこのメニュー、腹筋はかなり鍛えられそうだ。なにより、できるようになったら、かなりかっこいい。補強トレーニングに変化をつけたい方は、ぜひお試しください。

走る前に腕の振りを確認!

 さて、いよいよウォーク&ランだ。

 「今日は、10分ウォーク、5分ランの次のウォークを5分にして、最後に10分ランを入れてみましょうか」(真鍋コーチ)。

 10分間のラン…。自主トレではまだ走ったことのない未知の領域だ。でも、今日はコーチと一緒だから、気合いで乗り切れるような気がする。というか、そのくらいレベルアップしないと、この企画、先に進めないし…(汗)

 走る前に、フォームのワンポイントチェックを受けた。正しいランニングフォームには6つのチェックポイントがあるが(詳しくはこちら)、一度にすべてを意識すると動きがぎこちなくなってしまう。今日は、上半身と下半身をうまく連動させ、リズムの良い走りをするための「腕の振り」を重点的にチェックしてもらった。

 腕振りのポイントは、肩甲骨を動かして、肘をまっすぐ後ろに引くこと。そのとき反対側の肘は前に出るが、あまり出し過ぎると上体が後ろに反り返ってしまうので、肘は脇の下あたりで止める。これを交互にリズミカルに繰り返す。体の前で小太鼓を叩くようなイメージを持つといい。

腕振りの練習
(1)ひじをまっすぐ後ろに引いて(2)前に出す。あまり肘を前方に出し過ぎると上体が後ろに反ってしまうので、脇の下あたりで止める。(3)また後ろに引く。これを左右リズミカルに。
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 「体が頭の斜め上から引っ張られている感覚で、私の手につくくらい肘をしっかり後ろに引いてくださいね!」

 伴走するコーチの手に肘が当たるよう、しっかり後ろに引くことを意識して、いざ、出発です。

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「体が斜め上に引っ張られている感覚で、肘が私の手につくようにしっかり引いて」

 まずは10分ウォークの後、5分ラン。初回指導日は、横っ腹が痛くなり、「5分って長いんですね…」と息も絶え絶えだったが(詳しくはこちら)、今日のカメは5週間前のカメとは違っていた。5分ラン、あっという間に終了です。

 「おおっ 余裕が出てきましたね!」

 真鍋コーチにそういわれ、喜ぶカメ。その勢いで、5分のウォークを入れた後、10分ランに挑戦だ。これはさすがに余裕というわけにはいかなかった。最後はつらかったが、コーチとのおしゃべりで気を紛らわせながら、いつものジョギングペースでクリア!

 「おおーーーっ!! コーチ、走れちゃいました! 10分!!!」

 「すごいですね! 前回とは全然違いますよ!」

 この5週間、レベルアップできない自分に焦りを感じていたが、それでも、地道なトレーニングの積み重ねが、ヘタレランナーにも確実に進歩をもたらしていたのだ。たかが10分。でも私にとっては、初めて実感した、トレーニングの成果だ。

 う、うれしい~~~! もしかしたら、これから一気に好循環に入って行けちゃうんじゃないの?

 そんなウキウキ気分と、「やり遂げた感」いっぱいでスタート地点に戻ってきたときだった。

 …あっ…!!

あれはもしや…
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 ドS編集長、なぜかランニングウエアで登場!

 「ドS編集長! 来てくれたんですか!」

 「来てやったよ。で、調子どう?」

 「はい! 今終わったところです! 今日、私がんばりましたよ。実は10分も…」

 「は? 終わった?! 何言ってんだ。せっかく来てやったのに、終わってる場合じゃないだろう。一緒に走ってやろうと思って着替えて来たんだから、走るぞ!」

 「ええええ~~~~ む、無理っす~~~~(泣)」

「もう、走れません…」「ダメ!」
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 …というわけで、いったんトレーニングを終了し、真鍋コーチと別れた後、カメラマンM氏(こちらもシューズ持参でやる気十分)を交えた3人で、まさかのもう1周…。

 しかも、「一緒に走ってやる」と言ったくせに、普段から週末に10km走っている編集長は、ジョギングペースにしびれを切らし、あっという間にカメを抜き去っていく。

 なんだよ~、一緒に走ってないじゃん!!

 仕方なく、ウォーク10分、ラン5分、ウォーク10分、ラン5分くらいで公園内を1周してきたカメ(もはや10分ランは無理)。クタクタになって、今度こそ練習終了です。

 その日の帰り道。電車に揺られていると、急に頭がズキズキと痛くなってきた。全身が、明らかにキャパシティをはるかに超えた運動量のダメージで、悲鳴を上げていたのだ。ヘロヘロになりながら家にたどり着き、必死の思いで夕食を作ったが、いったい何を作ったのか、まったく覚えていない。食事を作り終えると、

 「ごめん、かーちゃん、もうダメだ…」

 そう言い残して布団に倒れ込み、子どもたちを残して寝込んでしまった。

 教訓。やはり急激な練習量の増加は危険です。てきめんにダメージが来ます。下手をすると廃人同然になります。

…って、わかってたのにーーー!! 編集長のバカヤロー!!

 この怒りをバネに、自主トレ編に続く…。

 (写真:村田わかな)

 (参考資料:真鍋未央著『週1回のランニングでマラソンは完走できる』)

 (衣裳協力:ダンスキン〔真鍋さん着用:BODYSWEATパーカー 7900円、ショートパンツ 4900円、NON STRESSタイツ 5300円/カメ子着用:光電子フードジャケット 9500円、NON STRESSロングスリーブ 4300円、GYM-PANハーフ 3900円、NON STRESSタイツ 5300円、以上すべて税別〕)

真鍋未央(まなべ みお)さん
ランニングアドバイザー
真鍋未央(まなべ みお)さん

福岡県出身。高校時代、中・長距離の陸上選手として活躍し、卒業後は資生堂ランニングクラブに所属。同クラブ在籍中にマラソンに転向。ベストタイムは2時間55分27秒(2006年1月29日大阪国際女子マラソン)。現在は、ランニングアドバイザーとして女性向けのセミナー、ランニングイベント「miobiRun」を定期的に開催するほか、TVや雑誌など各種メディアで活躍している。公式ブログはこちら
著書『週1回のランニングでマラソンは完走できる!』(池田書店)
(写真:村田わかな)

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