日経グッデイ

メタボ腹が凹む 1カ月サーキットプログラム

メタボ改善の第一歩は「キツイ運動を避ける!」

中野ジェームズ修一監修! たった5分「1日3メソッド+ストレッチ」で体が劇変【1週目】

年齢を重ねるにつれて“成長”し、立派に前へ突き出した「腹」。この腹を「男の貫録だ」のひと言で片づけてはいけない。ちまたでいわれている通り、メタボ腹の中には多くの健康不安の要因がため込まれている。この状態を是正するには、全身の筋肉量を増やして代謝を上げていくことが必要だ。「1日3メソッド+ストレッチ」、たった5分のプログラムを1カ月続けるだけで体は劇変する!

1週間ごとに変わるメソッドで腹をへこませ、引き締まった体に改造!

 年齢を重ねるごとに蓄積される脂肪は、消費エネルギーに比べて摂取エネルギーの収支が“黒字”であることの証し。貯金ならば喜べるが、これが脂肪となると高脂血症や高血圧、動脈硬化に導かれ、心臓や足腰への負担…などと、かんばしくない“利息”が増えてくる。

 ならば、「摂取カロリーを減らして運動を!」と、一時は燃え上がるが続かないのが常…。

 「ダイエット、あるいはボディメイキングのためにトレーニングするとき、多くの人が設定を高く置き過ぎるのです。一流アスリートでも、大きな目標を達成するには、小さなことを積み重ね、その一つひとつの成功体験を蓄積させていきます」

 こう語るのはオリンピックのメダリストをはじめ、多数のプロアスリートや著名人のパーソナルトレーナーを務める中野ジェームズ修一さん。

 「今回のトレーニングは、体の部位別に筋トレとストレッチ、さらにコアトレーニングを行い、筋肉量を増やして代謝を上げ、お腹をへこます組み立てになっています。はじめに回数や頻度は“たぶんできるだろう”という程度の目標を設定して構いません。達成できたら少し強度や頻度を上げ、そして次も…、と少しずつ積み重ねていくのです」(中野さん)

 健康心理士の認定資格も持つ中野さんによると、これが「心理学の『50:50の法則』」にあたるのだという。

 「成功率が50%だから達成したときに成功体験になり、続ける意欲になります。逆に“たぶんできない”と思うことは、一回でも失敗すれば、やる気が低下し、セルフエフィカシー(自己効力感)も下げてしまう。こればかりは本人だけにしか決められないので、これから解説するエクササイズを行ってみて、自分の50%はどれくらいかを実感してください」(中野さん)

[画像のクリックで拡大表示]

 時間をかけて積み重なってきた脂肪の層には、小さな成功体験を積み重ねるエクササイズで対抗する。そして、軽く流れる汗が確実に脂肪を洗い流し、増える筋肉がたるんだ体を引き締め、腹をへこませていくのだ。

メタボ改善には3つの運動を使い分ける!

 中野式サーキットプログラムには、3つの運動が組み合わされている。その内訳と狙いは、以下の通りだ。

レジスタンス運動

 筋肉に抵抗(=レジスタンス)をかけて発達させる運動。筋肉量が増えると基礎代謝も増すので、脂肪が燃焼しやすい体作りには不可欠。この運動を行うと、直後から成長ホルモンやアドレナリンが分泌され、脂肪代謝を促進する作用も高まる。

コアトレーニング

 コア、すなわち体幹部に刺激を入れて、普段あまり動かしていない深層部の筋肉を目覚めさせれば、腹圧や内臓の重さでせり出す腹を引き締められる。メタボ腹には1種目のトレーニングでたくさんの筋肉を使う比較的消費カロリーが高いメソッドをセレクト。

ストレッチ

 運動の前後にストレッチを取り入れることで筋肉を柔軟に保つことができる。柔軟性が上がると、運動によって形成された疲労物質の排出も促されるので疲れも残りにくい。それにより日々の生活での消費カロリーも自然と上がっていくのだ。

体を4つのパーツに分けて集中的に刺激する

 上で紹介した3つの運動を組み合わせながら、さらにメタボ解消に必要な体の筋肉群を4つのパーツに分けて、それぞれを刺激していく。各パーツを見てもらえれば、これまでメタボ腹を引き締めるために床上で反復を繰り返していた「腹筋運動」が、いかにメタボ解消とはどれだけ程遠かったかがお分かりいただけるだろう。

パーツ(1) 胸まわり
[画像のクリックで拡大表示]

 胸部前面の左右を覆う大胸筋(だいきょうきん)は、広い面積を持つ筋肉。主に上腕を押し出すときに働く筋肉だが、トレーニングすると、代謝アップと同時に“男らしい胸板”を形作ることができる。


パーツ(2) 背中全体
[画像のクリックで拡大表示]

 体の背面は首から腰までの長い距離に、比較的大きい複数の筋肉が縦横に走っている。ダイナミックな動きが可能となって、脂肪燃焼に役立つだけでなく、猫背の予防・解消にもなる。


パーツ(3)(4) 太ももの前部と後部
[画像のクリックで拡大表示]

 殿部(でんぶ) から、下肢は太く大きな筋肉が密集し、この部位だけで全身の筋肉の約70%の割合を占めるといわれている。それゆえ、筋量を増やせば、基礎代謝の増加率も高くなる。


1カ月サーキットプログラム : 早速、1週目スタート!

 「このままじゃ、いけない!」と一念発起。すぐさま行動に移すのはよいが、いきなり激しい運動をしては、むしろ失敗やケガなどの原因になってしまう。まず1週目は、眠っていた筋肉を一つずつ目覚めさせることを念頭にを始めよう。

 「お腹をへこませる、脂肪を落とすといった目標を立てたとき、重要になってくるのが全身の筋肉量です。とはいえ、いきなり強度の高いトレーニングをする必要はありません。“肩ならし”の意味合いで、エクササイズを始めてみて、今の自分の体の状態をどう感じるかに気づくことを意識してみましょう」(中野さん)

 目標の回数を実行してみて、きつく感じるならば回数を減らしていい。大切なのは、筋肉に“小さな成功体験”を積み重ねさせ、動きを覚えさせることに価値がある。それによって、あなたの筋肉は本来の力を取り戻し始める。焦る必要はない。

1週目~レジスタンス運動

レジスタンス運動 1~上肢ストレートバックロウイング

 上背部から腰にかけての筋肉を動員する。本来は1kg程度のダンベルを使って行うが、なければ1Lのペットボトルに水を入れて代用してもいい。椅子に座ってリラックスした体勢から、肩甲骨を寄せながら背面の筋肉すべてが動くことを実感することが大切だ。

肩甲骨と背骨周辺の筋肉を動かそう
[画像のクリックで拡大表示]
レジスタンス運動 2~下肢フロントランジ

 脚部の筋力は加齢とともに確実に衰えていくもの。普段の歩行や散歩程度では負荷が足りず、同時に代謝も落ちてしまうのだ。1週目のここでは大きな負荷をかける必要はない。自分の筋力がどれくらいあるかを試すつもりで、ぐっと深く踏み込んでみよう。

殿部から脚全体の筋肉を動かそう
[画像のクリックで拡大表示]

1週目~コアトレーニング

コアトレーニング~体幹ハンドウォーク

 一見すると腕力をつける筋トレのようだが、ここで重要なのは体幹、つまり腹部の筋肉を緊張させるように意識すること。腹筋群をしっかり締めつけなければ、上半身が下がってしまう。体幹をぐっと締めて固定し、腕で上半身を軽く前に運ぶ感覚で動作するようにしよう。

腹まわりの筋肉が締まる感覚に気づく
[画像のクリックで拡大表示]

1週目~ストレッチ

ストレッチ 1~大腿四頭筋(だいたいしとうきん)&腸腰筋(ちょうようきん)

 椅子に座った生活が続くと、股関節から太もも前面の筋肉が縮まり、血行が悪くなる。また、腸腰筋は上半身と下半身をつなぐ大きな筋肉なので正しい姿勢を保持するのにも関与する。ストレッチで筋肉を柔らかくしていこう。

[画像のクリックで拡大表示]
ストレッチ 2~ハムストリングス&腰背部

 腰背部の筋肉群からハムストリングス、つまり腰から太ももの裏側までは普通に生活していても張りやすい。これは普段使っているようで、実は筋肉の収縮が足りていないから。まずはじんわり伸ばして硬くなった筋肉をほぐそう。血行も促進できる。

[画像のクリックで拡大表示]
1週目コラム

日常生活の中で、できるだけ階段を使うようにしましょう

 「トレーニングを始めたら、普段の生活活動に少しだけ変化をつけるようにしてみると、より効果が実感できます」(中野さん)とはいえ、あまり気負う必要もない。中野さんによると「できるだけ階段を使うことを心がける、という程度でいいのです」と。これこそ小さな成功体験、達成感の積み重ね。腹をへこませるためのモチベーション維持にもなる。


(取材・文・構成:松尾直俊/写真:岡﨑建志/モデル:島尾ケンジ・HEADS)

中野ジェームズ修一さん
フィジカルモチベーター、パーソナルトレーナー
中野ジェームズ修一 さん 1971年生まれ。1996年にアメリカより帰国。その後、米国スポーツ医学会認定のヘルスフィットネススペシャリストとして、国内外各地で生活習慣病予防の運動やゆがみ改善、メンタルヘルスなどの講演を行っている。また、日本を代表するトップアスリートから モデル、若年者から高齢者まで多くの クライアントの個人指導に携わる。

(出典:日経ヘルス for Men 2012 SUMMER)