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救急外来での暴力、医師の4割、看護師の9割超が経験

 三和 護=日経メディカル

出典:日経メディカル 2014年11月26日(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 救急外来において患者やその関係者から暴力を受けたことがある医療従事者は、6割近くにのぼることが報告された。医師では4割、看護師は9割以上が経験していた。大浜第一病院(那覇市)の大城淳氏らが自院の事態を明らかにし、第9回医療の質・安全学会(11月22~24日、千葉市開催)で発表した。

 医療スタッフへの暴言、暴力に対して大浜第一病院は、2012年6月に院内暴力対策委員会を設立、院内暴力対策マニュアルを作成し、「暴力対策ポスター」を院内に張るなど対策に取り組んできた。今回、大城氏らは、救急外来における患者の暴力の実態を把握するとともに、整備したマニュアルの評価と今後の課題を抽出するため職員に対するアンケート調査を実施した。

 同病院の救急外来は、日勤帯は必要時に各専門科が応援する前提で、救急科常勤医師2人体制で運営している。時間外は、内科系医師1人、外科系医師1人、研修医の計2~5人の体制だ。看護師については、日勤3人、準夜勤3人、深夜勤2人となっている。救急車搬送数は2000年以降、年間1800~2000件近くの実績がある。

 同科ではこれまで、発生時の連絡網を整備するなど科としての対策も実施してきた。また、院内暴力歴のある患者の救急搬送依頼に対して、院内暴力対策委員会の承認を前提に、搬送を断ることも可能としている。

 アンケートは第9回医療の質・安全学会での発表を目的に、救急外来で勤務する職員69人を対象に実施した。内訳は、医師が30人、事務職員が21人、看護師が18人だった。回答は医師27人、事務職員17人、看護師15人の計59人から得られ、回収率は85.6%だった。

 調査の結果、救急外来において患者や患者の関係者から暴力を受けた経験がある職員は、全体で57.6%だった。職種別に見ると、医師が44.4%、事務職員が47.1%、看護師が93.3%と、看護師が飛び抜けて多かった(図1)。男女別では、男性は58.1%、女性は57.1%だった。

図1◎ 救急外来において患者らから暴力を受けた経験がある職員(大城氏らの発表から)

 暴力の種類は、言葉による暴力が34件、身体的暴力が9件、セクシャルハラスメントが3件だった(複数回答)。

 暴力を受けてどのように感じたかの質問には、「怒り」との回答が17件、「怖い」が9件と多く、「仕事を辞めたくなった」も6件、「悲しい」も4件と続いた(複数回答)。

 一方、対策面では、「マニュアルに従い担当課または警察を呼んだ」が14件、「(暴力を)止めるように話した」が12件と多かった。「何もしなかった」も6件あった。そのほかでは、「上司に相談した」が4件、「同僚に話した」が3件だった。「傾聴した」の回答も1件あった(複数回答)。

 暴力を受けたことのある34人に対して、病院が整備したマニュアルについて尋ねているが、「有用であった」は47.1%にとどまっていた。この点について演者らは、今後の継続的な対策が必要と指摘している。

 アンケートでは、今後の必要な対策についても尋ねている。その結果、「さすまた」などの身を守る器具の用意、マニュアルの周知、男性職員の配置、警備の充実、防犯ベルや防犯カメラの整備などが挙がった。

 演者らは考察の中で、「暴力など一般社会で許されないことは病院内でも当然許されないとする断固とした意識を(医療従事者が)持つことが必要」と指摘している。また、6割近くが経験していた点については、救急外来では夜間に飲酒した患者が受診することが多いことも要因の1つと考察している。

この記事は、日経メディカルからの転載です

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