日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様

日経 Gooday

ホーム  > 医療・予防  > SGLT2阻害薬の市販直後調査で5人の死亡例
印刷

SGLT2阻害薬の市販直後調査で5人の死亡例

利尿薬との併用は要注意、下痢や嘔吐時にはすぐに休薬を

 高志昌宏=日経メディカル

出典:日経メディカル 2014年10月17日(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 10月上旬までにメーカー各社が公表したナトリウムグルコース共輸送担体(SGLT)2阻害薬に関する市販直後調査の中間報告から、同薬3剤で5人の死亡例が報告されていることが分かった。

 発売が最も早かったイプラグリフロジン(スーグラ)は、製造販売承認取得日(2014年1月17日)から発売開始5カ月後に当たる9月16日までの中間集計(第6回中間報告)が、10月14日に公開された。死亡例は1人で、動悸、胸痛、発熱、冷汗が発現し本剤の投与を中止したが、その5日後に自宅で倒れているところを発見された。調査の結果、死因、発見時の状況などは不明だった。

 5月23日に発売されたダパグリフロジン(フォシーガ)は、承認日から発売開始4カ月後に当たる9月22日までの中間集計(第4回中間報告)が10月7日に公開された。死亡例は以下の3人だった。

・60歳代男性。もともと服薬コンプライアンス不良で血糖値が乱高下していた。併用糖尿病薬はグリメピリド、ボグリボース、シタグリプチン。本剤投与約2カ月後、患者自身が低血糖症状を訴えて来院。血糖測定をしたところ160mg/dLで、低血糖の可能性は低いと判断、グリメピリドが中止された。4日後に倒れて救急車で搬送され、搬送先の病院で死亡した。死因不明。詳細調査中。

・50歳代男性。高血圧、脂質異常症、メタボリック症候群(体重99.4kg)、関節リウマチを合併。併用被疑薬は糖尿病薬(グリメピリド、ビルダグリプチン、メトホルミン)、プラバスタチン、テルミサルタン・ヒドロクロロチアジド配合剤、ニフェジピン、センノシド、酸化マグネシウム、抗リウマチ薬(ステロイド、免疫抑制薬=詳細不明)。本剤開始46日後に下痢、嘔吐、倦怠感、発汗を訴え、補液開始15分後にショック状態となったため救急蘇生術を施行した。救急隊により他院搬送されたが、約9時間後に死亡(本症例は第3回中間報告から記載あり)。

・60歳代女性。腰椎すべり症、高血圧、高コレステロール血症、骨粗鬆症を合併。併用被疑薬はイルベサルタン・トリクロルメチアジド配合剤、アスピリン、ニフェジピン、ピタバスタチン、アレンドロン酸。本剤開始50日後、自宅の布団の中で死亡しているのを家人が発見。死亡直前の服薬状況および死因は不明。

 同じ5月に発売されたトホグリフロジン(デベルザ/アプルウェイ)も、承認日から発売開始4カ月後に当たる9月22日までの中間集計が10月6日に公開された。本剤での死亡例は1人。60歳代男性で、慢性心不全、低酸素症、発作性心房細動などを合併していた。本剤開始119日目、下痢・嘔吐が頻回に発現していたが水分摂取が不十分であり、脱水により高血糖昏睡が発現し死亡に至ったとみられる。脱水の原因として、本剤以外に、下痢、嘔吐、入浴による発汗、利尿薬併用が考えられた。

 ルセオグリフロジン(ルセフィ)については、9月24日に公開された発売16週後(9月11日)までの中間報告では、死亡例の報告はない。9月3日に発売のカナグリフロジン(カナグル)も10月17日付で発売1カ月後の中間報告が公表されたが、死亡例はないとのことだ。

 いずれのケースでも、SGLT2阻害薬の服用と死亡との因果関係は明確ではない。また、これらの集計は主に医療機関からの自発報告に基づくため、総投与患者数が明らかではない。そのため発現頻度は不明で、各SGLT2阻害薬間での比較も不可能だ。

 死亡例の報告について杏林大学糖尿病・内分泌・代謝内科准教授の犬飼浩一氏は、SGLT2阻害薬と利尿薬の併用によるイベントリスクの上昇を指摘する。実際、死亡した5人中3人で利尿薬が併用されていたとの記載がある。

 「SGLT2の阻害によりナトリウムも体外に排泄される。生体の代償反応によって遠位の尿細管でナトリウムの再吸収が高まるが、利尿薬を併用しているとそれも抑制され、脱水が顕著になる。糖尿病のため動脈硬化の進行も早い患者であるだけに、脱水による易血栓性の亢進がイベントにつながりやすい。これに嘔吐や下痢が加われば脱水はさらに高度になり、リスクも増すだろう」と犬飼氏。そこで嘔吐や下痢などを来した、いわゆるシックデイのときはすぐにSGLT2阻害薬を休薬するよう指導しておくことも大切とのことだ。

 日本糖尿病学会などは、副作用事例の増加を受け「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」を8月29日に改訂発表している。今後、SGLT2阻害薬を投与する症例の選択や特に投与初期の経過観察に関して、より慎重な対応が要求される。

この記事は、日経メディカルからの転載です。

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 「胃がん」撃退のため知っておきたい最新情報

    これまで多くの人の命を奪い、「死の病」であった胃がんが、「ピロリ菌」除菌の登場によって未然に防ぐことができる病気になってきた。また、万が一胃がんになってしまった場合も、胃カメラによる検診を定期的に受けていれば、超早期の段階で見つけて治療し、胃の機能をほとんど損ねることなく日常生活に戻ることができる。本特集では、近年死亡率が大きく減少している胃がんの最新事情をまとめる。

  • 寝ても取れない疲れを取るには?

    「疲労大国」といわれる日本。「頑張って仕事をすれば、ある程度疲れるのは当たり前」「休む間もないほど忙しいが、やりがいがあるから、さほど疲れは感じない」などと思っている人も多いかもしれない。だが、睡眠時間を削るような働き方を続けていると、知らぬうちに疲れはたまる。結果、「寝てもなかなか疲れがとれない」という状態に陥るばかりか、免疫力の低下や、生活習慣病の発症につながることは多くの研究で知られている。疲労の正体から、疲労回復の実践的な方法までをまとめた。

  • つらい筋トレ不要? 効率的に「お腹を凹ませる」トレーニング

    薄着の季節になると、何かと気になる“お腹ぽっこり”。短期間で何とか解消したい!と思う人は多いだろう。しかし、スポーツジムでしっかり運動するのはつらいし、運動する時間を確保するのも大変だ。そこで、今回のテーマ別特集では、手軽に実践できる「ドローイン」と「猫背姿勢の改善」で“ぽっこりお腹”を解消していこう。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2018 Nikkei Inc. All rights reserved.