医療費の伸びが鈍化、受診抑制が一因か
厚労省が2012年度の国民医療費の概況を公表
豊川琢=日経ヘルスケア
出典:日経メディカル 2014年10月13日(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
厚生労働省は10月8日、2012年度の国民医療費の概況を公表した。国民医療費は、医科・歯科診療費、薬局調剤医療費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費など保険診療に関する費用(患者自己負担含む)を推計したもの。2012年度の国民医療費総額は39兆2117億円で、前年度(38兆5850億円)より6267億円増加(1.6%増)して過去最高となったが、伸びは従来より鈍化した。
国民医療費の国内総生産(GDP)に占める比率は8.30%で、前年度より0.15ポイント上昇した。人口1人当たりの国民医療費は30万7500円で、前年度(30万1900円)比1.9%増だった。
国民医療費総額の伸び率は2007年度以降、高齢者の急増や医療技術の進歩などにより2~3%台で推移していたが、2014年度は1.6%にとどまった。外来の受診抑制や入院時食事・生活医療費の減少などが影響したと考えられる。
医科診療医療費は28兆3198億円で、区分別に見ると、入院医療費が14兆7566億円(対前年度比2.7%増)、入院外医療費が13兆5632億円(同0.9%増)。入院医療費のうち病院は14兆3243億円(同2.8%増)となったが、一般診療所は4323億円で前年度より0.8%減少した。一方、入院外医療費は、病院が5兆4434億円(同1.9%増)、一般診療所が8兆1197億円(0.3%増)だった。
制度区分別に見ると、後期高齢者医療給付分が12兆6209億円(制度全体に占める割合32.2%)、被用者保険給付分が8兆7480億円(同22.3%)、国民健康保険給付分が9兆5331億円(同24.3%)、患者等負担分が4兆9296億円(同12.6%)などとなった。
財源別では、公費が15億1459億円(財源全体に占める割合38.6%)、保険料が19億1203億円(同48.8%)。公費のうち国庫は10億1138億円(同25.8%)だった。
年齢階級別で見ると、65歳以上が22兆860億円(国民医療費総額に占める割合56.3%)、65歳未満が17兆1257億円(同43.7%)。75歳以上は13兆5540億円(同34.6%)だった。