エボラ出血熱へのファビピラビル投与広がる
ドイツに続き、スペイン、ノルウェーでも
久保田 文=日経バイオテク
出典:日経メディカル 2014年10月10日(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
エボラ出血熱患者に対する、ファビピラビル(商品名アビガン)の投与が広がっている。フランスに続き、ドイツ、スペイン、ノルウェーにおいても、ファビピラビルの投与が開始された。投与を受けているのはいずれも医療従事者だ。
ファビピラビルは富山化学工業が創製・開発し、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効または効果不十分な新型または再興型インフルエンザウイルス感染症を効能・効果として、2014年3月24日に日本で承認を取得した。ただし、承認時に条件が課せられ、現在は流通していない。また現時点で、日本以外に承認されている国はない。
これまでの動物実験の結果などから、ファビピラビルのエボラ出血熱への有効性が期待されており、患者への投与が広がっている。リベリア共和国での医療活動中にエボラ出血熱に感染していると判明し、フランスへ移送されたフランス人の女性看護師に初投与された後、現在は4カ国で投与が実施されている。
ファビピラビルが投与されているのは、シエラレオネ共和国で活動中に感染が分かり、ドイツへ搬送されたウガンダ人の男性医師、スペインでエボラ出血熱患者の治療に当たっていたスペイン人の女性看護師、シエラレオネ共和国で医療活動中に感染し、ノルウェーに搬送されたノルウェー人の女性医師の3人。ウガンダ人の男性医師には、当初ファビピラビルが単独投与された。スペイン人の女性看護師、ノルウェー人の女性医師への投薬の内容は不明。
ファビピラビルに関しては、フランス政府とギニア政府がギニアにおいて、エボラ出血熱に対するファビピラビルの臨床試験を実施することを検討中。臨床試験は2014年11月にもスタートする見込みだ。
