アミラーゼ
アミラーゼ
40~130U/l
(JSCC勧告法)
膵臓から十二指腸に分泌され、栄養素のひとつである澱粉(でんぷん)(糖質)を分解する消化酵素。

膵炎で高値に
アミラーゼは、おもに膵(すい)臓の細胞に存在し、膵細胞が破壊されると血液中に出てくる(逸脱)ため、これが高値を示していれば、膵臓の障害が疑われます。
急性膵炎は激しい腹痛を伴い、血液中のアミラーゼをはじめとする膵酵素が基準値の10数倍の高値になります。
アルコールが原因の60~80%を占める慢性膵炎では、持続した腹痛(軽度の鈍痛)と、アミラーゼが2~3倍の高値になります。
膵臓がんでは、2~3倍の軽度の上昇が一般的ですが、がんに急性膵炎を合併すると、10数倍の高値になります。
アミラーゼは、血液中から尿中へ排泄されるため、血液中と同時に尿中アミラーゼを測定することも重要で、上昇の程度は血液中アミラーゼに比例し、急性膵炎では10数倍に、慢性膵炎や膵臓がんでは数倍になります。
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)でも上昇
アミラーゼは、唾液腺にも多く含まれているため、唾液腺の病気の疑いがあるときも調べます。
このアミラーゼ(S型)は、膵臓のアミラーゼ(P型)とは区別できます。ウイルスが耳下腺に感染して発症するおたふくかぜは、耳下腺のはれと痛みに加えてアミラーゼ(S型)が2~3倍の高値になります。
重症急性膵炎では2~3週間、繰り返し測定
血清を用いて、自動分析器で測定します。測定法により基準値が異なります。検査当日の飲食は普通にとってかまいません。
急性膵炎では、発病1~2日でアミラーゼの値が最高になり(10数倍の値)、その後、急激に低下して約1週間でほぼ基準値に戻ります。激しい腹痛があるので判別することができますが、ほかの血液中膵酵素の判定や腹部超音波(→参照)、腹部CT(→参照)で確定診断します。
重症急性膵炎や膵嚢(のう)胞を合併しているときは改善が遅れるため、2~3週間は繰り返し測定して、改善の確認が重要です。
持続する軽度の高値のときは、慢性膵炎や膵臓がんなどを考え、上記の検査のほかに逆行性膵胆管造影(→参照)、MR(MRCP→参照)、腫瘍マーカー(→参照)、PET-CT(→参照)の検査が行われます。
◆高値→膵疾患:急性膵炎、慢性膵炎、膵臓がん、膵嚢胞など
その他:流行性耳下腺炎、イレウス(腸閉塞)、卵巣腫瘍、肝炎、腎不全など
◆低値→慢性膵炎(膵機能荒廃期)など
▲医師が使う一般用語:「アミラーゼ」