フィブリノゲン
フィブリノゲン
200~400mg/dl
血液凝固因子のひとつ(第Ⅰ因子)で、血液凝固のメカニズムの最終段階でフィブリンという水に溶けない網状の線維素となり、血液を固める働きをする。

出血傾向、DIC、肝機能障害で低値に
フィブリノゲン(血液凝固第Ⅰ因子→参照)も、血液の凝固の異常を調べる検査です。
フィブリノゲンは、血液凝固の最終段階で網状の不溶性物質フィブリンとなり、血球や血小板が集まってできた塊(血栓)のすき間を埋めて、血液成分がそこから漏れ出ないようにしています。このため、フィブリノゲンが低下すると血液が固まりにくくなり、止血されにくくなります(出血傾向)。
例えば、全身のいたるところで血液が凝固する病気として、播種(はしゅ)性血管内凝固症候群(DIC)があります。これは、悪性腫瘍や重症細菌感染症、白血病などから、二次的に発症する病態です。全身で血液凝固がおこるため、凝固因子が消耗してフィブリノゲンも低下し、出血傾向が出現してきます。
フィブリノゲンはまた、肝機能検査としても用いられます。これは、フィブリノゲンが肝臓で合成されるためで、肝硬変や肝臓がんで肝臓の合成能力が低下すると、低値になります。
血栓症、感染症、急性心筋梗塞で高値に
この検査は、感染症や急性心筋梗塞(こうそく)などの疑いがあるときにも行います。フィブリノゲンは、体内に炎症や組織の変性が生じると、5~6時間後に血液中に増加し、高値となるからです。
血液凝固因子であるフィブリノゲンが何らかの原因で増加すると、体のいろいろなところで血栓ができやすくなります。
検査法による誤差もある
検査は、フィブリノゲンをフィブリンとして重さを測定する方法と、トロンビンを加えてフィブリノゲンがフィブリンとなる時間を測定するトロンビン法とが用いられています。
前者は、採血に難渋した検体や古い検体では偽低値になることがあります。後者では、フィブリノゲンに分子異常があると、トロンビン時間が延長して偽低値になります。
症状が落ち着いたら再検査
フィブリノゲンは、急性の炎症や組織の破壊があるときに、血液中に出現する物質(急性相反応(そうはんのう)物質という)であるため、症状の落ち着いた時期に再検査する必要があります。また、100mg/dl以下の場合は低フィブリノゲン血症として注意し、50mg/dl以下では出血する危険があります。
播種性血管内凝固症候群
・紫斑
・下血
・注射部位の止血困難
・乏尿
・ショック
↑
悪性腫瘍、重症細菌感染症、白血病、膠原病など
◆高値→妊娠、感染症、急性心筋梗塞など
◆低値→肝機能障害(肝硬変、肝臓がん)、播種性血管内凝固症候群(DIC)、脳梗塞、急性心筋梗塞後、無(低)フィブリノゲン血症など
▲医師が使う一般用語:「フィブリノゲン」あるいは「フィブリノーゲン」