負荷心電図検査
ふかしんでんずけんさ

狭心症、不整脈の診断に有効な検査
運動を行って心臓に一定の負荷を与えてから、これに伴う心臓の筋肉(心筋)の変化を心電図で観察する検査です。
平静時には何もなくても、運動をすると心臓の痛みを生じ、急性心筋梗塞(こうそく)に移行しやすい病気に狭心症があります。この狭心症では平静時には心電図に異常がないため、狭心症の疑いがあるときは心筋での酸素需要を高めて、心筋の虚血(きょけつ)(心筋に酸素が十分供給されない状態)を誘発して調べます。
その他、不整脈を調べるときや、現在、心臓病の人の運動許容量を決めたりするときにも、この負荷心電図検査を行います。
ST-Tに変化がおこる狭心症
図は、狭心症が疑われた症例の負荷心電図です。通常の心電図では、何ら変化は認められなかったのですが、負荷心電図を行ったところ、V4~6のST-T部分(矢印部分、前項参照)の下降が認められました。これは、冠動脈での血流が少なくなり、虚血に陥ったことを示唆しています。
3つの運動負荷の方法
運動の負荷の方法には、次の3つの種類があります。
・マスター法:2段の階段をメトロノームにあわせて昇降する。運動前、運動後1分、3分、5分、10分の心電図をとり、比較する。
・トレッドミル法:胸に電極をつけ、ベルトコンベアの上をベルトにあわせて歩き(走り)ながら心電図をとる。
・エルゴメーター法:胸に電極をつけ、自転車に類似した器具のペダルをこぎながら心電図をとる。
施設により、これらのうちのどれかを選択しますが、一番頻繁に用いられているのはマスター法です。いずれも30分程度かかります。
検査中に胸が痛くなったら、ただちに医師に申し出る
運動をするので、検査前の飲食は控えめにします。膝が悪かったり、膝の関節痛がある人は事前に医師に申し出てください。また、検査中に胸が痛くなったり、フラフラした場合は、ただちに医師に申し出てください。

◆狭心症→心臓超音波、ホルター心電図、冠動脈CT、冠動脈造影、心筋シンチグラフィなど
◆不整脈→胸部X線撮影、ホルター心電図など
▲医師が使う一般用語:「ふかしんでんず」