しょっちゅうトイレに行きたくなる、ふとしたはずみに漏らしてしまう、夜中にトイレのために起きる…。そんな尿の悩みを、実に多くの中高年が抱えています。この連載では、誰もが悩んでいる尿トラブルについて、症状に合わせた対策や治療を医師が解説していきます。今回は、日本医科大学付属病院泌尿器科部長の近藤幸尋さんが、男性の尿トラブルの原因となる「前立腺肥大症」の検査や治療について解説します。

前立腺肥大症の可能性をセルフチェック
前回は、男性の尿トラブルに深く関わる「前立腺」について解説しました。前立腺は男性にしかないものですが、実際にはどんな臓器なのか答えられる人はそう多くはないでしょう。今回は、前立腺が肥大して頻尿や残尿感などの症状が表れる「前立腺肥大症」の検査や治療についてお話しします。
前立腺は40代~50代から肥大してきて、50歳を過ぎると前立腺肥大症の人が急増し、65歳以上では爆発的に増加します。厚生労働省の「平成29年患者調査」によれば、前立腺肥大症の患者数は45~54歳で1万人、55~64歳で4万人、65歳以上ではその10倍を超える41万9000人と報告されています。
男性で尿トラブルがある人は泌尿器科を受診して、前立腺肥大の有無を調べてみるといいでしょう。尿トラブルの原因が前立腺肥大だった場合には、治療をすることで症状の改善が期待できます。
受診の前に、尿トラブルの症状や頻度から、前立腺肥大症の可能性を探ることもできます。以下のチェックシートは「国際前立腺症状スコア(International Prostate Symptom Score=IPSS)」と呼ばれるもので、泌尿器科の問診でも使われています。7項目の質問に沿ってご自身の症状と頻度を回答し、合計点を算出してみてください。
IPSSの7項目の合計点が0~7点なら軽症、8~19点は中等症、20点以上は重症に分類されます。