しょっちゅうトイレに行きたくなる、ふとしたはずみに漏らしてしまう、夜中にトイレのために起きる…。そんな尿の悩みを、実に多くの中高年が抱えています。この連載では、誰もが悩んでいる尿トラブルについて、症状に合わせた対策や治療を医師が解説していきます。今回は、女性医療クリニックLUNAグループ理事長の関口由紀さんが、女性に多く見られる尿トラブルの治療法について解説します。

骨盤底筋群のトレーニングで尿漏れなどが改善しないときは…
頻尿や尿漏れなどの尿トラブルは、「骨盤底筋群の衰え」が大きな要因となっています。そのため、前回紹介した骨盤底筋群のトレーニングを行うと尿トラブルが改善することもよくあります。
ただ、そのようなセルフケアだけでは改善が難しいケースもあります。その場合は、泌尿器科を受診して、問診や内診、検査によって尿トラブルの原因を調べ、それぞれの原因疾患に合わせた治療を行います。
今回は、女性の代表的な4つの尿トラブル、すなわち「腹圧性尿失禁」「切迫性尿失禁」「骨盤臓器脱」「間質性膀胱炎・膀胱痛症候群」の治療法について解説します。
女性に多い4つの尿トラブルとその主な原因
- 腹圧性尿失禁
せきやくしゃみなどでおなかに力が入ったときに、尿意がないのに起こる尿漏れ。主に骨盤底筋群の衰えなどが原因。 - 切迫性尿失禁
突然強い尿意が起きて、トイレまで我慢できずに漏らしてしまう状態。膀胱に尿を十分にためられなくなる「過活動膀胱」の症状の1つとして起こる。 - 骨盤臓器脱
骨盤底筋群のゆるみによって、膀胱や直腸、子宮が垂れ下がり、腟から突出してくることもある状態。それにより、尿漏れや頻尿、排尿困難、便秘などの症状が出ることがある。 - 間質性膀胱炎・膀胱痛症候群
ストレスや体質などが原因で膀胱の粘膜に障害が起こり、炎症によって慢性的に下腹部痛や頻尿が生じる。細菌感染で起こる急性膀胱炎とは違う病気。