しょっちゅうトイレに行きたくなる、ふとしたはずみに漏らしてしまう、夜中にトイレのために起きる…。そんな尿の悩みを、実に多くの中高年が抱えています。この連載では、誰もが悩んでいる尿トラブルについて、症状に合わせた対策や治療を医師が解説していきます。今回は、女性医療クリニックLUNAグループ理事長の関口由紀さんが、尿漏れや頻尿の大きな原因となる「骨盤底筋群の衰え」を改善する効果的なセルフケアを解説します。

骨盤底筋群が衰えていると、「動かし方」が分からない
前回、男女ともに頻尿や尿漏れなど尿トラブルの大きな原因に「骨盤底筋群の衰え」があると解説しました。ただ、女性は妊娠・出産、閉経期の女性ホルモンの減少、筋力低下といった複合的な要因によって、男性よりも骨盤底筋群を傷めやすい背景があります。
骨盤底筋群の衰えを改善する方法としてよく知られているのが、骨盤底筋群を貫く肛門・腟・尿道をギュッと締めて鍛える「骨盤底筋体操」です。この連載の第3回でも、基本の骨盤底筋体操を紹介しました。しかし、実際にやってみたものの「効果があまり実感できなかった」という人もいるのではないでしょうか。
基本の骨盤底筋体操

- 遅筋のトレーニング
- 10秒間締めたら、5~10秒間休み、同じ動作を10~20回繰り返す
- 速筋のトレーニング
- 1~2秒間締める動きを3回行う。5~10秒間休んだら、同じ動作を10~20回繰り返す
骨盤底筋群の鍛え方は、実はとてもシンプルです。肛門・腟・尿道をギュッと締めて、息を吐きながら持ち上げるだけ。コツさえ分かれば、特別な体操をしなくても、通勤電車やキッチンで立ったまま、デスクワークをしながらなどでも鍛えられるようになります。