学年ビリだった僕が医者になった理由
中山 祐次郎
大変な仕事なのに子供にやらせてもいいと思うなら…
中山さんは日々、外科医として手術を行っているわけですが、高校生のころから「現場で体を動かすタイプ」だったんですね。
中山:そうですね、中高の文化祭や体育祭でも、率先して何かやるのが好きでした。そこから、自分の適性は現場だなと。
3人は、医学部を志望するきっかけは何だったのでしょうか。
A君:僕は両親とも医者で、文系・理系を選択するときに、「医者になることについても考えてみたら」と親に言われたことがきっかけです。
中山:ご両親は、何科のお医者さんですか?
A君:父が救急科で、母が麻酔科です。子供のころは、親が当直で帰ってこないのがいやだなと思ったりしたこともありました。中山さんの『泣くな研修医』(幻冬舎文庫)を読んだときも、医者は大変な仕事だというところに目が行って……。でも親が、そんなふうに大変な仕事なのに自分の子供にやらせてもいいと考えているということから、それだけやりがいのある職業なんじゃないかと思ったんです。
中山:なるほど。拙著を読んでいただいてありがとうございます! B君はどうですか?

B君:僕は子供のころにアトピーや喘息(ぜんそく)で病院に通っていて、お医者さんと触れ合う機会が多かったので、憧れを持つようになりました。
中山:子供のころに接したお医者さんはすてきな人が多かったんですね。
B君:はい。一緒にゲームをしてくれたこともあって、すてきだなと思いました。一方で、最近ある心療内科を見学したら、それまでのお医者さんのイメージとは違う、ちょっとびっくりするような先生でした。カウンセラーの方から、「心療内科の先生はちょっと変わった人が多いかも」と言われて驚きました。
中山:確かに、お医者さんは全般にちょっと変わった人が多いかもしれませんね(笑)。医者同士で話をしていると普通なんですけども。C君はどうですか?
C君:僕も両親が医者で、その影響から、小学校の卒業アルバムには将来の夢として「医者」と書いていました。母が産婦人科で、父が整形外科です。あと、コロナ禍になってオンライン授業が増えてから、ストレスのせいか分からないですけど皮膚の疾患で大学病院にお世話になって……。患者の気持ちに寄り添うような先生で、それも医学部を志望するきっかけになりました。
中山:大学病院の皮膚科に行かなければならないほどというのは大変でしたね。そのとき先生は、どんなふうに寄り添ってくれたのですか?
C君:症状を見て、「今までにもそういう人がいたから大丈夫だよ」と言ってくれたのはありがたかったです。
中山:病気になるときって、体だけじゃなくて心にもダメージを負うんだよね。そのつらさを周囲に分かってもらえないと、本当につらい。そういう気持ちに寄り添うのは、医者をやっていくうえで簡単なことではないんだけれども、普段から気を配っていかなければと思っているところです。