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一介の外科医、日々是絶筆

『泣くな研修医』著者、外科医の子育て、意外なスキルが役立つ

 中山 祐次郎

 私がやれることの1つに、赤ん坊をお風呂に入れるというものもありました。キッチンで、片手でベビーを支えつつ、あいた手で体を洗い、お湯をかけていく。利き手ではない方で赤ん坊を支えたり、細かいところを洗ったりするのは難しいものです。

 これは数少ない、外科医スキルが日常に役立つシーンですが、私はどちらの手でも利き手と同じレベルで器用なので、最初からスムーズに洗うことができました。

「子育てを一切しない」医師もやはりいる

 普通、外科医の職場は「病院に長時間いればいるほど偉い」という一昔前の文化が残っていることが多いのですが、私のところは幸いそうではありませんでした。

 職場の同僚や上司はありがたいことに、仕事をさっさと切り上げて早い時間(つまりは定時の午後5時ごろ)に病院を飛び出す私に、何も言いませんでした。

 ただ、70歳近い先生と話していて「最近は子育てで眠い日々でして」と言ったら「ハッハッハ、私のように『子育てを一切しない』という選択肢もありますぞ!」と言われたときには驚きましたが、そういう時代もあったのですね。

 同僚の外科医にも、たまたま0歳児、1歳児の父が多かったのですが、育児や家事をしている人としていない人は、話を聞いていてわかりました。あるとき「オムツってけっこう高いのな」という話をしたら、「ですよね!」と言うドクターがいる一方で、「すいません、僕一度もオムツ買ったことがないので」と言った人もいました。

 コロナ禍は、感染の危険が高くなければ、出張と飲み会が減る分、家にいる時間を増やすことができ、メリットさえ感じていました。

 こんなふうにして、僕はなんとか「お手伝い」ではないレベルを目指して育児・家事をしていたのです。

中山祐次郎さん原作ドラマ「泣くな研修医」
(写真提供:テレビ朝日)
(写真提供:テレビ朝日)

テレビ朝日系「土曜ナイトドラマ」
(毎週土曜よる11時~)

出演:白濱亜嵐、野村周平、恒松祐里ほか

原作:中山祐次郎『泣くな研修医』(幻冬舎文庫)

[日経ビジネス電子版 2021年5月7日の記事を再構成。過去の連載記事はこちら

中山祐次郎(なかやま・ゆうじろう)さん
外科医
中山祐次郎(なかやま・ゆうじろう)さん 1980年生まれ。聖光学院高等学校を卒業後、2浪を経て、鹿児島大学医学部医学科を卒業。その後、都立駒込病院外科初期・後期研修医を修了。2017年2~3月は福島県広野町の高野病院院長、現在は郡山市の総合南東北病院で外科医長として勤務。資格は消化器外科専門医、外科専門医、がん治療認定医、感染管理医師など。モットーは「いつ死んでも後悔するように生きる」。Yahoo!ニュース個人連載では計4回の月間Most Valuable Article賞を受賞。主な著書に『幸せな死のために一刻も早くあなたにお伝えしたいこと~若き外科医が見つめた『いのち』の現場三百六十五日~』(幻冬舎) 、『医者の本音』(SBクリエイティブ)、『泣くな研修医』(幻冬舎文庫)ほか。

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