健康診断の結果には、赤血球や白血球の数値も「血液一般」として掲載されている。尿酸値やコレステロール値と違って、これらの数値は見過ごされがちだが、実はそこにも重要なメッセージが込められているという。生活習慣病を解消し、一生ものの体をつくるために知っておきたいことを解説する本連載。今回は「血液一般の診断結果」の見方を教えていただこう。

ヘマトクリットって何?
こんにちは。大阪大学大学院で生活習慣病予防の研究をしている野口緑です。健康診断で血液検査を受けると、血糖値やコレステロール値のほかに、赤血球や白血球のデータも載っていますね。これらは「血液一般」と呼ばれ、赤血球数、白血球数、血小板数、ヘマトクリットは、大抵の健康診断で必ず調べる項目です。

赤血球や白血球は知っていても、ヘマトクリットという言葉は聞いたことがないという人が多いかもしれません。でも必ず調べているはずです。血液一般では、まずこのヘマトクリットに注目してください。
血液を採って試験管に入れておくと、やがて2層に分かれてきます。下に沈殿する部分が血球成分で、透明な上澄みが血漿(けっしょう)成分です。血球成分というのは、赤血球や白血球、血小板などの細胞のこと。一方、血漿成分は血糖やコレステロールなど血液中の栄養分と水分です。尿酸やクレアチニンなどの老廃物も含まれます。
ヘマトクリットとは、この血球成分と血漿成分の割合を見たもの。正確には「血液全体に占める赤血球の割合」をパーセントで表しています。
ヘマトクリットが高いというのは、赤血球が多くて血漿成分が少ないということです。つまり、水分の割合が少なくて血液が“ドロドロ”していることを意味します。一般に男性の方が、女性に比べて赤血球が多いので、ヘマトクリットも高くなっています。
基準値は検査機関などにより異なりますが(*1)、厚生労働省のe-ヘルスネットでは、男性の基準値は40~50%、女性の基準値は34~45%程度としています。低いときは貧血、高いときは脱水や多血症(赤血球増加症)が疑われます。