私たちの体には、年齢とともに体力の低下、目の不調、痛みや不具合など、さまざまな「老化現象」が現れます。この連載では、これらの老化現象を「衰え」ではなく「変化」としてポジティブにとらえ、上手に付き合っていく術を、これまでに延べ10万人以上の高齢者と接してきた眼科専門医の平松類先生が解説します。今回のテーマは「眼鏡のメンテナンス」です。
眼科の診察室での会話です。
患者「先生、最近目が見にくいんですよ」 |
医師「そうですか、診察してみますね。うーん、目はキレイですね」 |
患者「でも、前よりかなり見にくくて」 |
医師「ちょっと待ってください。その眼鏡、貸してください」 (眼鏡を拭く医師) |
患者「あ、見えるようになりました」 ![]() |
眼鏡をかけたままお風呂に入っていませんか?
眼鏡というのは多くの人がお世話になるものです。近視・老視(老眼)・乱視など、さまざまな場面で使う道具です。しかし、どういうふうにケアをしたらいいのか? 眼鏡を替えるタイミングは?…といった眼鏡の扱い方・メンテナンスのしかたをご存じの方はかなり少ないのが現状です。
まず、普段のケア次第で眼鏡は早く劣化してしまいます。「レンズが机の表面に当たるように置く」というのはもってのほかですが、そのほかについやりがちな間違いとして「眼鏡をかけてお風呂に入る」というものがあります。
眼鏡のフレームには熱によって変形しやすい性質があります。お風呂は温かいのでフレームの変形をきたしやすいだけでなく、レンズ表面のコーティングも悪くなってしまいます。とはいえ「お風呂に入るときも眼鏡がないと見にくい」という人もいると思います。そういうときは、以前使っていた古い眼鏡をお風呂のときだけ使うというように、お風呂用の眼鏡を別途用意しておくと、普段の眼鏡を劣化させずに済みます。
熱が良くないのですから、眼鏡をサウナや暑い車内に置きっぱなしにするのもお勧めできません。お風呂や暑いところに置いた場合に限らず、レンズのコーティングは劣化しやすいので、見えにくさの原因になりがちです。メーカーによって推奨の交換時期は違うものの、1つの目安として、2年に1回はレンズのコーティングに問題ないかなどをチェックしたほうがいいでしょう。