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炎上、電凸… 医師が実感した「コロナと言論封殺」

肺炎を正しく恐れる(1)

 大谷義夫=池袋大谷クリニック院長

家族と患者を守るため出演を取りやめ

肺炎を正しく恐れる』の著者である、池袋大谷クリニック院長の大谷義夫さん。
[画像のクリックで拡大表示]

 確かに当時は、国もPCR検査を拡充したくてもできなかったのかもしれません。ですが私の発言は、政権を批判したのではなく、医学的見地から必要性を訴えただけなのです。

 それに対して、怒りに任せて抗議の電話をかけてきたり、突然訪問して診療を妨害したりするのは、一種の“言論封殺”ではないかとすら思います。

 私は、家族と患者さんを守るため、しばらくテレビなどの出演を取りやめました。

 このような形で呼吸器の症状で悩む患者さんの診療を妨害するのは、許されることではありません。

 数カ月後、NHKの報道番組でこの“事件”が取り上げられました。テレビでPCR検査の拡充を訴えたことで、抗議の電話が多数かかってきて、診療が妨害された件が報じられると、今度はありがたいことに、温かいメールやお手紙、電話をたくさんいただいたのです。

 ただでさえ、このコロナ禍で、医療従事者はさまざまな問題に直面しています。自分が感染するリスクと隣り合わせであるのは、覚悟してやっているのでまだいいでしょう。ですが、医療従事者やその家族が、周囲の人から言われなき差別を受けたりしていることには心が痛みます。

 「コロナうつすな、学校に来るな」などと言われたお子さんがいると聞くと、想像しただけでも涙が出そうです。

 不安を抱えているのは、患者さんも、感染を恐れる一般の方も、医療従事者とその家族も、みんな同じです。

 新型コロナウイルス感染症は、簡単にはこの世から消えてなくなりません。だからこそ、日々の診察やメディアでの発信を、これからも続けていこうと、私は自分に誓っています。

◇     ◇     ◇

 次回は、新型コロナの「家庭内感染」を防ぐ方法についてお伝えします。

(写真:鈴木愛子)

肺炎を正しく恐れる

大谷義夫 著

新型コロナウイルスによる肺炎は、これまでとは何が違うのか。
なぜ、一気に悪化してあっという間に亡くなる人がいるのか。
肺炎を避け、予防するにはどうすればいいのか――。
呼吸器内科医として肺炎と向き合って30年。テレビにもたびたび出演する、池袋大谷クリニック院長の大谷義夫さんが徹底的に解説する一冊。

大谷義夫(おおたに よしお)さん 池袋大谷クリニック院長 呼吸器内科医
大谷義夫(おおたに よしお)さん 2005年に東京医科歯科大学呼吸器内科医局長に就任。米国ミシガン大学に留学などを経て、2009年に池袋大谷クリニックを開院。全国屈指の呼吸器内科の患者数を誇るクリニックに。呼吸器内科のスペシャリストとしてテレビ等で情報発信を行う。著書に『絶対に休めない医師がやっている最強の体調管理』など多数。最新刊は『肺炎を正しく恐れる』(日経プレミアシリーズ)。

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