日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > からだケア  > Gooday Books  > ゲーム時間は制限すべきか 子供の賢さを伸ばす「ルール作り」  > 2ページ目
印刷

Gooday Books

ゲーム時間は制限すべきか 子供の賢さを伸ばす「ルール作り」

 瀧靖之=東北大学教授

:無理に勉強させて、「勉強とはつらいこと、言われてやること」って子供が思うようになるのは避けたいですし、「親や先生の言うことに従うのが良い子だ」って勘違いされるのも怖いなって思っています。

:100%同意します。それに、「勉強しなさい」と言うよりも、「好きなことをやりなさい」と子供の興味・関心を後押しするほうが、脳の力を伸ばす上ではプラスになるんじゃないかと思っています。

 雑誌の「プレジデントFamily」2016秋号で「東大生174人の小学生時代」という特集があったのですが、その中で東大生が小学生時代に親からかけられていた言葉がまとめられていました。そこでは「何でも好きなことをやっていいよ」「勉強は好きなときにしなさい」「自分の人生なんだから自分で決めていい。サポートするから」といった言葉が紹介されていました。

:それはいいですね! 早速使ってみます。

塾の成績が低かった子供に勉強以外のことをやらせてみた

:「好きなことをやりなさい」と言って、勉強以外のことに熱中したら成績が落ちるんじゃないかと思うかもしれませんが、前々回も述べたように、「子供の幅広い趣味活動が学業成績に良い影響を与える」ことが明らかになった研究もあります(*4)。これはスポーツの世界でも同じで、「超一流の選手はその種目に絞り込むタイミングが遅く、実はいろんなスポーツを経験している」というデータ(*5)があるんです。テニスの錦織圭選手なんてまさにそうだったみたいですね。

:「回り道」しているようで、その経験が後々役に立つということですね。

あの、横から失礼します。私(編集部T)は以前、自分の小学生の子供が塾であまりにも成績が低かったのですが、瀧先生から「子供が好きなことを後押しするのが脳にとって良い」と聞いて、それを実践してみたんです。

:ほほう。どうなりました?

結果として子供が興味を持った2つのことについて、できるだけやらせてみました。1つは自転車です。新しい自転車を買ったらハマって、休日は片道10kmも遠出するようになりました。もう1つはサッカー観戦です。Jリーグのチームをスタジアムで応援するようになって、選手名鑑を買ったら、選手の過去の成績まで暗記するほどハマってます。

:見事に勉強とは関係ないじゃないですか(笑)。

それが、数カ月たって、塾の成績が伸びてきたんです。自信を持ったのか積極的になって、今では塾が楽しいと言っています。

:それはよかったです。もちろん成績が伸びたのは本人が努力したからでしょうが、興味を持ったことに能動的にチャレンジしたり、自分からどんどん調べて突き詰めていったりする経験をすると、それが勉強にも応用できるのでしょうね。

:なるほど。

:子供が好奇心を持てるように、親が環境をつくることが重要なんです。きっかけづくりとしてお勧めなのは、子供向けの図鑑や百科事典、歴史などの学習マンガ、そして親が自分の趣味を楽しんでいる姿を見せることなどですね。それで子供が興味を持ったら、アウトドアや動物園、博物館、コンサートなどに連れて行って、リアルな体験をさせる。すると、脳に刺激が強く入って、知的好奇心が喚起されます。

:親がハマっている趣味を一緒にやるのでもいいんですね。

:人間の脳には「ミラーニューロンシステム」と呼ばれる機能があります。ほかの人の動作を目にしたときに、その情報がミラーニューロンシステムに送られると、少し時間を置いた後でもちゃんと記憶していて、模倣できるんです。「生後12カ月の乳児にある動作を見せてあげたら、4週間もたった後でもその動作の模倣ができた」という研究(*6)があります。子供は模倣で育つので、親が夢中になっていることを自分もやりたいと思うようになるのは自然なことです。

*4 Bergin D.A. Journal of Leisure Research, 24(3):225-239., 1992
*5 Moesch K. et al., Talent Development and Excellence, 5(2):85-100., 2013
*6 Klein P.J. et al., Developmental Science, 2(1): 102-113., 1999

RELATED ARTICLES関連する記事

からだケアカテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 加齢で進む胃の不調 機能性ディスペプシアと逆流性食道炎の原因と対策

    加齢により胃の機能が衰えると、さまざまな不調が起きる。ピロリ菌の除菌が進んで胃がんや胃潰瘍が減ってきた今、胃の病気の主役は、胃もたれや胃痛の症状を招く「機能性ディスペプシア」と、胸やけやげっぷが起きる「逆流性食道炎」の2つに移行しつつある。なぜ機能性ディスペプシアと逆流性食道炎は起きるのか、どのような治療が必要なのか、セルフケアで改善・予防できるのか。このテーマ別特集では、胃の不調の原因と、それを解消するための対策を一挙紹介していく。

  • 「中途覚醒が多く寝た気がしない」 中高年の睡眠の悩み解消術

    「睡眠の途中で何度も目を覚まし、眠った気がしない」「早朝に目覚めてしまい、その後なかなか寝付けない」――。歳をとるにつれ、そんな「中途覚醒」「早朝覚醒」に悩まされるようになったという人も多いだろう。なぜ中途覚醒は起きるのか。中途覚醒を解消して、若い頃のような「熟睡」を手に入れることはできるのか。このテーマ別特集では、中途覚醒の原因と、それを解消するための対策を一挙紹介していく。

  • 強い足腰を維持するための「骨」の強化法

    健康長寿の大敵となる「骨の脆弱化」を予防するには、若いうちから「骨を強くする生活習慣」を取り入れていくことが大切だ。このテーマ別特集では、骨が弱くなるメカニズムや危険因子、骨を強く保つための生活習慣のポイントなどについて解説していく。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.