日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > からだケア  > Gooday Books  > 地頭は伸ばせる! 最新の科学が出した結論を気鋭の脳医学者が解説  > 3ページ目
印刷

Gooday Books

地頭は伸ばせる! 最新の科学が出した結論を気鋭の脳医学者が解説

 瀧靖之=東北大学教授

「脳トレ」より「趣味にハマる」が有効なワケ

:脳に刺激を与えれば成長できるという話なんですけど、それってやっぱりゲームやパズルみたいな、いわゆる「脳トレ」をやるのでしょうか?

:脳トレが楽しく続けられるのなら、もちろんそれでかまいませんよ。楽しくなかったら、無理に続けなくていいです。苦痛を感じて過度なストレスが発生すると、逆に海馬が萎縮しちゃいますから。

 それよりも、自分の興味や関心のあることに、どんどんチャレンジしてみてください。仕事でも趣味でも何でもいい。それが脳に負荷をかけることになります。

:え、趣味でもいいんですか。私は川釣りが趣味なんですけれども、それでも脳にいいんですか?

:はい。楽しみながら何かに没頭することが脳に良い影響を与えます。私も新しい趣味にどんどん挑戦するようにしています。最近は、ピアノ、ドラム、スノーボード、筋トレなどにハマっています。古い車をいじるのも好きです。

:自分が楽しいと感じることに取り組むのがよいということは、能動的にやるのが脳にとって良い影響を与えるということですか?

:その通りです。自分が興味を持つ対象には「知的好奇心」が湧いてきますよね。長生きする人ほど知的好奇心が強いというデータもあるんですよ。100 歳以上のお年寄りを調べたところ、60~84 歳の普通の高齢者と比べて男女ともに知的好奇心が強かった、という研究があります(*8)。

 ほかにも趣味や好奇心が脳に良い影響を与えて、認知症予防にもつながるというエビデンスはたくさんあります。

:認知症予防になるなら、趣味を大切にしないとなぁ。

:趣味以外にも、大人の脳を若々しく保ち、脳のパフォーマンスをアップさせる方法があります。詳しくは次回解説しましょう。

「勉強しなさい」より「好きなことをしなさい」

:子供の脳はネットワークを作るスピードが速いということでしたが、この時期にどんなことをすれば、脳の能力がさらに伸びるのでしょうか?

:基本的には大人と同じですよ。子供が興味を持ったことを後押ししてあげて、とことんハマらせる。勉強以外でも、スポーツでも趣味でも何でもいい。

:えっ、何でもいいんですか? 趣味でも?

:そうです。私は『東大脳の育て方』(主婦の友社)という本を監修したのですが、東大生によく見られる共通点として、音楽やスポーツ、ゲームなどで並外れた「熱中体験」をしているというのがあるんです。勉強とは関係のないことでも熱中した経験があるというのがポイントです。

 だから親は、「勉強しなさい」と言うより、「何でも好きなことをしなさい」と言うほうが子供の脳にとっては効果的かもしれません。

:勉強以外のことにハマっても、学校の成績は伸びないんじゃないですか?

:そうでもないんです。「子供の幅広い趣味活動が学業成績に良い影響を与える」ことが明らかになった研究もあります(*9)。別の研究では、「思春期にダンス、音楽、美術、科学、文学創作、演劇、スポーツなどの余暇活動で成果を出した人は、将来の仕事においても成果を出している」ということが分かっています(*10)。さらに、「ノーベル賞受賞者はほかの一般的な研究者と比べて本格的な芸術活動の趣味を持っている人が多い」というデータもあります(*11)。

:親が口うるさく言って勉強だけやらせればいいってことじゃないわけですね。

:はい。子供の脳の力を伸ばす方法については、次々回に詳しくお話ししましょう。

*8 Masui Y. et al., Age, 28(4): 353-361., 2006
*9 Bergin D.A. Journal of Leisure Research, 24(3):225-239., 1992
*10 Roberta M.M. et al., Journal of Advanced Academics, 8(3):111-120., 1997
*11 Root-Bernstein R. et al., Journal of Psychology of Science and Technology, 1(2):51-63., 2008

(聞き手 郷和貴=ライター)

脳医学の先生、頭がよくなる科学的な方法を教えて下さい

瀧靖之 東北大学教授・著
瀧靖之 東北大学教授・著

子供4人を東大理IIIに合格させた佐藤亮子ママ推薦!

 猛スピードで環境が変化する現在、「スキルより地頭が重要」と考えられるようになってきた。

 この地頭は、「持って生まれたもの」であり、あとから鍛えたり伸ばしたりする余地はあまりないと思っている人も多いが、東北大学教授の瀧靖之氏はそれを否定する。成長期にある子供だけでなく、中高年のビジネスパーソンでも、脳に適切な刺激を与えれば能力が伸びるという。

 最新の脳科学の成果を基に「地頭を伸ばす方法」を具体的に解説したのが『脳医学の先生、頭がよくなる科学的な方法を教えて下さい』だ。

  • 子供を賢くする声かけは「勉強しなさい」より「好きなことをしなさい
  • 結果」を褒めるより「努力」を褒めたほうが学力は伸びる
  • 東大生は勉強以外のスポーツや音楽、ゲームなどに熱中した体験を持つ人が多い
  • 中高年になると脳の能力は衰える一方」というのは間違い

 子供はもちろん大人の「脳の基礎力UP法」を一挙に紹介した一冊!

瀧靖之(たき やすゆき)さん 東北大学 スマート・エイジング学際重点研究センターおよび加齢医学研究所 臨床加齢医学研究分野 教授
瀧靖之(たき やすゆき)さん 医師。医学博士。東北大学医学部卒業、東北大学大学院医学系研究科博士課程修了。脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍。読影や解析をした脳のMRI画像は、これまでに16万人に上る。10万部を超えたベストセラー『生涯健康脳』(ソレイユ出版)、『回想脳 脳が健康でいられる大切な習慣』(青春出版社)など著書多数。

先頭へ

前へ

3/3 page

RELATED ARTICLES関連する記事

からだケアカテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 怖い病気を招く「中性脂肪」を食事・運動で徹底対策!

    健康診断でもおなじみの項目である「中性脂肪」。血液中の中性脂肪が150mg/dLを超えると、脂質異常症の1つ、「高中性脂肪血症(高トリグリセライド血症)」と見なされる。血管の老化を防ぎ、心筋梗塞や脳梗塞を遠ざけるためにも、中性脂肪が上がるのを避けなければならない。そこで、今回はやっかいな中性脂肪の正体や、食事や運動でできる鉄板の対策法を一挙紹介していく。

  • 長年の悩み「腰痛」を解消! 痛みを和らげる体操4選

    腰痛は日本人の国民病とも言える身近な症状だ。特に問題なのは、原因がはっきりしない、「なんだか知らないけど、いつの間にか…」始まってしまう「慢性腰痛」だ。長年にわたって慢性腰痛で悩む人は少なくない。そこで、今回は長引く腰痛の解消が期待できる体操を一挙紹介する。

  • 怖い緑内障 忍び寄る失明を回避するには

    緑内障は放っておくと失明を招く怖い病気だが、病気が進んでも中心部の視力は保たれるため、自分ではなかなか気づきにくい。本記事では、緑内障による失明を回避するために知っておきたい期症状の特徴や、早期発見のために必要な検査、最新治療などについてコンパクトに解説していく。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2022 Nikkei Inc. All rights reserved.